- 熟年離婚とは
- 熟年離婚の慰謝料の相場とは 熟年離婚をする場合の慰謝料の交渉のコツ
【Cross Talk 】熟年離婚を考えていますが慰謝料はどのくらいもらえるのでしょうか?
夫と離婚を考えています。もうすぐ夫が定年を迎えて、夫との時間が増えると思うと、暴言ばかりの夫とは暮らせません。熟年離婚にあたると思うのですが、慰謝料はどのくらいもらえますか?
慰謝料は精神的苦痛の程度にもよるので、熟年離婚であることが慰謝料に影響することがあります。どのような暴言を吐かれてきたのか、どのくらいの期間なのか、その他の一緒に暮らせないと思う原因とあわせて検討しましょう。
はい、よろしくお願いします。
熟年離婚を考えている人にとって最も関心事なのは慰謝料ではないでしょうか。精神的苦痛を受けた場合に発生する慰謝料ですが、婚姻期間が長い熟年離婚の場合、婚姻期間の長さが慰謝料の額に影響することがあります。熟年離婚をする場合の慰謝料請求と、交渉のコツについてお伝えいたします。
熟年離婚の慰謝料の相場とは
- 熟年離婚とは
- 熟年離婚の場合の慰謝料の相場
熟年離婚の場合には慰謝料に影響するんですね?
婚姻期間が長いことが慰謝料の相場に影響することがあります。
熟年離婚をする場合の慰謝料の相場について確認しましょう。
熟年離婚とは
熟年離婚とは、中高年の離婚のことをいう一般的な用語です。
「熟年離婚」という名前のテレビドラマがきっかけで広まったもので、熟年離婚という言葉はその年の流行語対象を獲得するほどでした。
2007年(平成19年)に年金分割の制度が始まって以来、熟年離婚をしたいと考える人が急増しました。
慰謝料はどのような場合にもらえるか
熟年離婚の場合の慰謝料の相場の前に、そもそも慰謝料はどのような場合にもらえるのかを確認しましょう。
そもそも慰謝料は、精神的苦痛を受けた場合に、民法709条・710条を根拠に主張することが可能です。
そのため、慰謝料をもらうためには、精神的苦痛が発生したといえる場合である必要があります。
慰謝料をもらえる場合
離婚の原因が相手にあり、精神的苦痛を与えたといえる場合には、慰謝料請求が可能です。
民法770条1項に規定されている離婚原因のうち、不貞行為・悪意の遺棄を行ったために離婚するよう場合には、慰謝料請求が可能でしょう。
離婚原因に規定されていない場合でも、モラハラ・DVなど、精神的苦痛を生じさせることを行った相手に対しては、離婚の際に慰謝料を請求することができます。
熟年離婚である・妻側であるというだけで離婚する際に慰謝料を請求できるわけではないことを確認しておきましょう。
慰謝料をもらえない場合
離婚に際して慰謝料をもらえない場合としては、特に相手に離婚の原因となる事実がない場合です。
性格のすれ違いなどで相手だけに原因があるわけではない場合には、慰謝料はもらえません。
また、逆に自分が不倫やDV・モラハラを行ったように夫婦関係の破綻の原因を作った場合には、慰謝料をもらえないだけではなく、逆に支払わなければならないといえるのです。
熟年離婚をする場合の慰謝料の相場は?
熟年離婚であるという事情は慰謝料の増額になりえる事情です。
慰謝料の金額は、
・慰謝料の算定にどのような要素があるのか
によって決められます。
そして、熟年離婚をする場合で、若い頃に結婚をして婚姻期間が長い場合には、慰謝料が増額される傾向にあります。
例えば、
不貞行為 | 100万円~300万円 |
悪意の遺棄 | 50万円~300万円 |
DV・モラハラ | 50万円~200万円 |
程度が相場とされています。
熟年離婚で婚姻期間が長いことは、この振り幅の中で増額される要因として考慮されることになります。
その他にも、子どもがいる、不貞行為の期間が長い、というような場合は慰謝料が増額される要素になります。
熟年離婚をする場合に慰謝料の交渉をするコツは
- 熟年離婚をする場合の慰謝料の交渉のコツ
- 誠実に交渉に応じない場合には早めに弁護士に依頼する
熟年離婚をする場合に慰謝料の交渉をするコツにはどのようなものがありますか?
相手が誠実に交渉してこない場合があるので、その場合には弁護士に依頼して交渉するのが良いでしょう。
熟年離婚をする場合の慰謝料などの交渉におけるコツにはどのようなものがあるのでしょうか。
離婚に向けた準備を念入りに行う
まず、離婚に向けた準備を念入りに行うことです。
慰謝料の算定やその他の金銭問題についての算定、相手の財産を把握するなど、離婚に向けた準備は念入りに行いましょう。
特に、熟年離婚の場合、両親は既に他界しており、実家に帰るという選択肢がないこともあり得るので、離婚後の生活に困らない準備は特に注意して行いましょう。
証拠をしっかり確保する
証拠をしっかり確保しましょう。
証拠を確保しないまま、離婚の交渉にはいった場合には、証拠を隠滅されるおそれがあります。
例えば、不貞行為を主張しようと思っても、相手との連絡をしばらくとらないようにして、SNSメッセージなどを削除するなどされた場合、証拠になるものをつかめないことがあります。
そのままですと、不貞行為を理由に離婚の請求をできないばかりか、相手からありもしない不貞行為を主張してきたとして離婚の請求をされる可能性も否定できず、この場合、慰謝料を請求される立場になる可能性もあります。
相手が誠実に交渉に応じない場合には弁護士に依頼する
熟年離婚を妻側から請求する場合に、夫が離婚請求に誠実に交渉に応じない場合があります。
特に多いのが、長年夫が妻を支配的に扱ってきたような場合で、妻側は黙って長年我慢していたような場合です。
夫に離婚を要求しても誠実に交渉に応じない場合には、本気であることを示すために弁護士に依頼して交渉をすることも検討しましょう。
本気で離婚を望んでいることを相手に伝えることができますし、弁護士に依頼すれば相手と交渉をしてくれるので、相手と顔を合わせずに離婚の交渉をすることが可能となります。
まとめ
このページでは、熟年離婚をした場合の慰謝料についてお伝えしました。
熟年離婚で婚姻期間が長いような場合には、慰謝料の計算にあたって増額の要因となりますが、そもそも慰謝料を請求できる場合であることが必要です。
熟年離婚といっても慰謝料の額は場合によるので、まずは弁護士に相談してみてください。