- 仮面夫婦とは
- 仮面夫婦になる理由や仮面夫婦を続ける理由
- 仮面夫婦の法的問題
【Cross Talk 】夫と離婚せずに同居人のように仮面夫婦として暮らしていこうと思うのですが問題はありますか?
夫婦問題についての相談があります。昔夫が浮気をして、子どもがいるので離婚はしないという結論になったのですが、夫婦仲は冷めきっており、家は一緒ですが別々に生活している状態です。仮面夫婦といわれる状態だと思うのですが、このような状態は問題ありますか?
法律上夫婦としての権利や義務が基本的には残っているので、何か不都合な点があるか具体的に検討しましょうか。
はい、よろしくお願いします。
仮面夫婦とは、夫婦としての実態がなくなっていても法律上離婚はせずに、対外的に夫婦で居続ける状態のことをいいます。仮面夫婦になる理由や、仮面夫婦として法律上の夫婦関係を続ける理由には、どのようなものがあるのでしょうか。また、仮面夫婦でいることによって問題になる法律関係にはどのようなものがあるでしょうか。
このページでは仮面夫婦についてお伝えいたします。
仮面夫婦とは
- 仮面夫婦にはどのような特徴があるか
- 家庭内別居との違いは
仮面夫婦とはどのようなものなのでしょうか?
夫婦としての実態が無くなっているのですが、子どものため・世間体のためなどの理由から、法律上・外見上は夫婦として振る舞っている状態のことをいいます。
仮面夫婦とは、特に法律で定められた定義があるわけではないのですが、夫婦としての実態が無くなっていても、子どものため・世間体のためなど様々な理由から、離婚をせずに法律上・外見上夫婦として振る舞っている状態のことをいいます。
仮面夫婦にはどのような特徴があるか
仮面夫婦は、もはや夫婦としての実態がないので、
- 家の中でも会話がない
- 家計を別にしている
- 食事を一緒にしない
- 部屋を別にしている
- お互いの恋愛に干渉しない
- 性行為を行わない
などの特徴があるのですが、一方で法律上・外形上は夫婦として過ごしているので、
- 法律上の離婚をしていない
- 一緒の家に住んでいる
- 子どもの前では夫婦として振る舞っている
という状態です。
家庭内別居との違い
家庭内別居は、夫婦間の不仲が原因で、家庭内で部屋を分ける・階を分けて住んでいる状態のことをいいます。
両者とも正式な定義があるわけではないので、明確に区別する必要はありません。
仮面夫婦になる理由は?
- 仮面夫婦になる理由
夫婦が仮面夫婦になる理由には、どのようなものがありますか?
いくつか考えられる原因があるので個別に見てみましょう。
仮面夫婦となってしまう理由には次のようなものがあります。
生活のリズムが合わない
生活のリズムが合わず、すれ違い生活になってしまった結果、仮面夫婦となってしまうことがあります。
例えば、夫は夜に勤務をする仕事、妻は昼に勤務をする仕事であるような場合には、お互いが自宅にいる時間に、相手は仕事に行っている・寝ているということがあります。
このような場合、食事を一緒にとる、休日に一緒にどこかに遊びに行くなど、家族としての行動が取れなくなってしまい、いつのまにか仮面夫婦となっていることがあります。
価値観が合わない
価値観が合わず、仮面夫婦となってしまうことがあります。
金銭・趣味などで価値観が合わないような場合や、一方が他方の価値観を押し付けるような場合、会話を避けたり、そもそも対面を避けたりするようになります。
その結果、仮面夫婦になってしまうことがあります。
セックスレス
セックスレスでも仮面夫婦となることがあります。
夫が一方的に妻に性行為を迫る結果、妻が夫を避けるような生活を送ったり、夫が浮気をしたりするようになり、仮面夫婦となってしまうのです。
相手が不倫をした
相手が不倫をした結果、仮面夫婦となってしまうことがあります。
不倫が発覚しても離婚をしないことがありますが、結局関係を修復できずに仮面夫婦となってしまうことがあります。
結婚後の様々な変化
一緒に住むようになって相手の悪いところが見えるようになる、子どもが出来て二人の関係に変化が現れる、など結婚をすると様々な変化が生じます。
その変化によって相手に魅力を感じなくなり、仮面夫婦となってしまうことがあります。
仮面夫婦を続ける理由は?
- 仮面夫婦として見かけの夫婦関係を続ける理由
夫婦仲が冷え切ってしまったにもかかわらず、それでも仮面夫婦として見かけの夫婦関係を続ける理由は何でしょうか?
経済的な理由や、子どものため・世間体のためなどの理由が挙げられますね。
夫婦としての実態はなくなっても、法律上夫婦として振る舞って自宅で一緒に暮らす理由としては次のようなことが挙げられます。
生活費を節約したい
離婚して別々に住むためには、それぞれが家賃・水道光熱費などの支払いをしなければならなくなります。
そのため、生活費を節約するために、仮面夫婦となっていることがあります。
住宅ローンを完済する必要がある
特に住宅ローンで自宅を購入したような場合、離婚をしてしまうと、住宅ローンの支払いが厳しくなることがあります。
そのため、住宅ローンを完済するまでは仮面夫婦でいることがあります。
子どもがいる
子どもがいる場合には、なるべく子どもに影響を与えないようにするために、仮面夫婦でいることがあります。
世間体のため
世間体のため、仮面夫婦でいることがあります。
狭いコミュニティで暮らしているような場合や、上司や同僚など結婚したことを知っている人と家族ぐるみで付き合いがあるような場合です。
仮面夫婦の法律問題
- 仮面夫婦であることで発生する法律問題
仮面夫婦でいることでどのような法律問題が発生しますか?
従来どおりの夫婦に発生する法律関係が残るといった問題があります。
相続権や扶養義務・協力義務などの夫婦間の義務は基本的に存在する
仮面夫婦は法律上、夫婦です。
一方が亡くなった場合には他方は配偶者として相続をすることになります。
また、夫婦相互の扶養義務や協力義務が、基本的には存在しているといえます。
そのため、妻から婚姻費用の分担を求められた場合に、これを拒否することができないことがあります。
相手が他の異性と不倫をしても慰謝料の請求ができない可能性が高い
仮面夫婦でいるような場合、相手が別の異性と肉体関係を持つなどの可能性があります。
通常このような場合には、離婚原因となり(民法770条1項1号)、相手に慰謝料を求めることができるとともに、不倫相手にも慰謝料の請求が可能です。
しかし、仮面夫婦となっているような場合には、相手が別の異性と肉体関係を持ったとしても、精神的苦痛はないと評価される場合があります。
このような場合には、離婚における慰謝料や、不倫相手に対して慰謝料を請求しても、認められないことがあります。
まとめ
このページでは、仮面夫婦における法律問題についてお伝えしました。
夫婦としての実態がなくなっても、経済的な理由や子どものため・世間体などから、世間的には夫婦であることを装う仮面夫婦ですが、法律的な問題が発生することもあります。
心配なこと、気がかりなことがあるような場合には、弁護士に相談してみてください。