

- 既婚者だと知らずに交際していた場合慰謝料を支払わなくて良いのか
- 既婚者だと知らなかったと主張するための証拠
- 不倫をしたとして慰謝料を請求されたときの対応方法
【Cross Talk 】交際相手が既婚者だと知らなかった!妻からの慰謝料請求は拒否できる?
現在、夫と不倫をしたとして、妻より慰謝料請求をされています。たしかに交際していたのですが、既婚者とは知らなかったです。このような場合でも慰謝料請求を拒否することはできないのでしょうか。
既婚者であると知らなかったことに過失がなかった場合には、慰謝料請求は否定されます。証拠があったほうがいいので、詳しい事情を教えてもらえますか?
はい、お願いします。
既婚者と交際をすることは不倫であり、その配偶者から不倫をしたことに対する慰謝料請求を受けることになります。しかし、相手が既婚者であることを知らないような場合もあります。相手が既婚者であることを知らないような場合でも、慰謝料請求をしなければならないのでしょうか?
慰謝料請求は民法の不法行為損害賠償請求として行われるもので、故意・過失がある場合に認められるので、知らなくても過失があるような場合には慰謝料請求が認められます。
そのため、既婚者であると知らないことはもちろん、知らないことに過失がないと反論する必要があります。
既婚者だと知らなかった!慰謝料は支払わないといけない?

- 不倫の慰謝料請求は不法行為損害賠償請求権に基づくもの
- 既婚者であること知らず、その点につき過失がない場合には損害賠償請求をする必要はない
既婚者だとは知らなかった場合にも慰謝料は支払わないといけないのでしょうか。
既婚者だと知らなくても過失がある場合には慰謝料を支払わなければならないので注意しましょう。
既婚者だと知らずに交際していた場合に、配偶者から慰謝料請求をされた場合に支払いをしなければならないのでしょうか?
既婚者だと知らず・過失がない場合には損害賠償義務はない
既婚者と不倫をしたような場合、その配偶者から慰謝料請求をされる可能性があります。
この慰謝料請求は、民法709条以下の損害賠償請求権に基づくものです。
損害賠償請求権をするためには、相手の「故意・過失」が必要とされています。
「故意」とは、事実について知っていることをいい、不倫の場合には既婚者であると知っていることをいいます。
既婚者であると知らないような場合にまで、損害賠償責任を負わせるのは妥当ではないことから、故意は必要とされています。
また、既婚者であると知らないような場合でも、通常の人であれば気づくのに気付かなかった過失があるような場合も、不法行為に基づく損害賠償の対象となります。
例えば、ずっと結婚指輪を外していないような場合には、通常は既婚者であると気づくことが可能です。
以上より、既婚者であることを知らず、そのことにつき過失がない、という場合には、損害賠償をする必要はありません。
過失が認定されない場合としては、
- 独身が参加するのが前提のお見合いパーテイーで独身であると偽られた
- 婚活マッチングサイトで独身であると偽られた
といった場合などが挙げられます。
一方で、次のような事情があると過失が認定される可能性があります。
- 結婚をしているが離婚予定である
- 結婚指輪をしていた
- 夜間や土曜日曜には連絡がとれない
- 家族と一緒にいるところを目撃した
相手が既婚者だとわかった後にも不倫を続けると損害賠償義務が発生する
なお、当初は既婚者であると知らなかった場合でも、後に既婚者であると分かることがあります。
この場合に、当初は故意・過失なしといえる場合でも、既婚者と分かった後にも不倫を続けると故意と認定されて不法行為となり、損害賠償義務を負います。
損害賠償は配偶者と不倫相手の双方に行われる
もし配偶者が慰謝料請求をする場合には、不倫をした当事者と不倫相手の双方に対して慰謝料請求権があります。
不倫は、夫婦の一方と不倫相手がいてはじめて成り立つものであって、共同不法行為にあたり(民法719条)、連帯して損害賠償をする必要があるからです。
この場合、慰謝料の全額を請求された場合には、不倫をした当事者の落ち度に基づいた負担割合に応じて相手に請求することが可能です。
既婚者だと知らなかったと主張するための証拠とは?

- 既婚者だと知らなかったと主張するための証拠
- SNSなどのメッセージのやりとりなど
既婚者であるのを知らなかったという証拠としてはどのようなものがありますか?
SNS上でのやりとりなど有力なものを確認しましょう。
既婚者であるのを知らなかった証明としては、独身であると偽っていたことを証明する証拠を利用することが考えられます。
LINEなどのSNS上のメッセージ
よくメッセージの交換に利用するLINEなどのSNS上でのメッセージで、独身であることを匂わせるような発言があるものは証拠となり得ます。
交際を打ち切る際にこれらのメッセージを消去せずにきちんと保存するようにしておきましょう。
メッセージを保存するときは信憑性が重要となるので、特定の部分の切り抜きではなく、全てのメッセージを保存するようにしましょう。
独身者であることが前提の言動
独身者であることが前提の言動を証明するものがあれば確保をしておきましょう。
例えば、結婚式場を見に行くのは、お互いが独身であることを前提とした行動といえます。
そのため結婚式場を見に行った写真や、二人で行ったことが分かる書類があるような場合には、これを保存しておきましょう。
マッチングアプリのアカウント
出会ったのがマッチングアプリであるような場合、相手のアカウントの情報を保存しましょう。
写真やマッチングアプリの中のプロフィール、マッチングアプリ内でのやりとりは、独身であることを偽るものの証拠になります。
直接のメッセージがなくても、そのアプリが独身同士の出会いの場を提供するもの(婚活などをテーマにするもの)である場合には、独身であることを偽っている証拠になります。
不倫の慰謝料を請求された場合の対処法とは?

- 慰謝料請求をされた場合の対処法
- 安易に支払いに応じない、など
実際に慰謝料を請求されている場合には、どう対応すれば良いでしょうか?
安易に支払いに応じないなどのポイントを確認しましょう。
配偶者から慰謝料請求をされている場合にはどう対応すれば良いでしょうか。
まずは謝罪する
不倫の慰謝料請求をする場合、相手は感情的になっていることが多いです。
既婚者であることを知らなかったと主張することで、さらに感情的になってしまい、冷静な話し合いができなくなる可能性があります。
そのためまずは、不倫をしたことが良い・悪いということを抜きに、相手に嫌な想いをさせてしまったことについて謝罪しましょう。
自分が悪いことを行ったという風に伝えると、既婚者であると知っていた・感づいていたと主張される可能性があります。
そのため、相手が嫌な想いをした・精神的苦痛を味あわせた結果に対して謝罪をするようにしましょう。
安易に慰謝料の支払いをしない
安易に一部でも慰謝料の支払いや、慰謝料支払いの約束をしないようにしましょう。
慰謝料を支払う・支払いの約束をする、ということは、自分が既婚者であると知っていたと認めた事になりかねません。
そのため、自分は既婚者であることを知らず、独身であると偽っていた、という事実を、証拠とともに主張して、慰謝料の支払いはできないことを伝えましょう。
弁護士に相談する
証拠が揃っていて慰謝料の支払いを拒める場合でも、相手が感情的になっていて埒が明かないことがあります。
このような場合には、交渉に応じるだけで労力がかかりますので、弁護士に相談し、依頼して代理人として交渉してもらうようにしましょう。
相談の段階でどのような交渉をするのが良いかの方針を示してくれますし、代理人として交渉してもらえれば、相手も冷静に交渉できる可能性があります。
まずは弁護士に相談してみましょう。
まとめ
このページでは、既婚者と知らずに交際していた場合に、不倫をしたとして慰謝料請求された時の対処法についてお伝えしました。
既婚者と知らず、過失がなかったような場合には、損害賠償に応じる必要はありませんが、現に相手から請求される可能性があり、対応を迫られます。
弁護士に相談して、適切に対応するようにしましょう。