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- 国際離婚で日本法が適用される場合とは?
- 国際離婚で日本法が適用される場合の親権者の指定する流れは?
- 国際離婚で親権者が注意しておくべきこととは?
【Cross Talk 】国際離婚で親権者はどのように決められるのでしょうか?
外国籍の夫との離婚を検討していますが、子どの親権者はどのように決められるのでしょうか?
国際離婚における親権者の指定方法は、子どもや父母の国籍が関係してきます。
国際離婚で親権者を決める方法について、詳しく教えてください。
外国籍の方と結婚して、夫婦の間に子どもがいる場合、離婚すると親権はどうなるのでしょうか。国際離婚をする場合、子どもの親権者をどのように決めるかは、子どもや父母の国籍が関わってきます。
この記事では、国際離婚で子どもの親権者に関するルールや、日本法が適用される場合の親権者の決め方などについて弁護士が解説していきます。
国際離婚の場合にも日本の法律が適用されるか?
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- 国際離婚で日本の法律が適用される場合とは?
国際離婚をした場合、日本の法律が適用されるのでしょうか?
国際離婚をした場合、日本法が適用されるかどうかについては、子どもと父母の国籍が関係してきます。
日本の法律が適用される場合
国際離婚で親権がどのように取り扱われるかについて、そもそもどの国の法律が適用されるのかという点が問題となります。
親権に関する考え方やルールは、国によって異なります。現在、日本では夫婦が離婚した場合には、単独親権となるのが原則となっていますが、アメリカやヨーロッパなどの国では、離婚した後も夫婦が共同で親権を行使する共同親権が採用されている国もあります。共同親権となる場合には、子どもは状況に応じて父母の間を行き来しながら生活することが想定されます。
そのため、どこの国の法律が適用されるのかは、国際離婚で親権者を定めるためには重要な問題となります。そして、法律関係の当事者の国籍が異なる場合に適用される法律のことを「準拠法」といいます。
親子関係に関する準拠法については、「法の適用に関する通則法」に次のように定められています(法の適用に関する通則法第32条)。
「親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法(父母の一方が死亡し、又は知れない場合にあっては、他の一方の本国法)と同一である場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法による」
要するに、子どもと父または母が同じ国籍であれば、子どもの国籍の法律がそのまま適用されることになります。
例えば、子どもが日本国籍を有しており、父母のどちらかが日本国籍の場合には、日本法に従って親権者を決定することになります。これに対して、子どもが国際結婚した相手の国籍を有している場合には、相手の国籍の法律に従って親権者を決めることになります。子どもが多重国籍の場合には、子どもの常居所地がある国の法律が適用されることになります。
日本法が適用される場合の親権者の決め方
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- 日本法での親権者を定める方法とは?
- 日本法での親権者を定める基準とは?
日本法で親権者はどのように決められるのでしょうか?
ここでは、日本法が適用される場合、親権者を決める方法や基準について解説していきます。
親権者を指定する流れ
未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合には、父母のいずれか一方を親権者と指定しなければなりません。親権者は、まずは父母の話し合いによって決定されることになります。
父母の協議によっては親権者が定められない場合には、家庭裁判所の調停・審判を申立てることになります。調停では、調査官が子どもから直接意見を聞いたり、学校の先生などから子どもの様子を聴取したりする調査を行うことがあり、その場合には、調査結果や調査官の意見を参考にしながら、話し合いを進めていくことになります。調停では親権者について合意できなかった場合には、裁判官が審判によって親権者を指定することがあります。
家庭裁判所に離婚訴訟を提起した場合には、最終的には裁判所が判決によって、父母の一方を親権者として指定することになります。
親権者となる判断基準
調停や審判などの裁判手続きで親権者を決定する際には、以下のような事情を考慮したうえで、判断されることになります。
- 従前の監護状況
- 子どもの養育への意欲や能力
- 心身の健康状態
- 子どもの監護態勢
- 子どもの年齢
- 兄弟姉妹の有無
- 子との関係性
- 他方親と子の関係に対する姿勢
など
国際離婚における親権者の注意点
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- 国際離婚で親権者になる場合の注意点とは?
国際離婚で親権者となった場合、どのようなことに気を付ける必要がありますか?
ここでは、国際離婚で親権者になった場合の注意点を解説します。
国際離婚をして子どもの親権者となった場合には、相手である親から養育費を受け取れるように取り決めをしておく必要があります。国際離婚で養育費の取り決めをする際にも、どの国の法律が適用されるのかという点は問題となります。
「扶養義務の準拠法に関する法律」には、扶養義務は、原則として扶養権利者の常居所地法が適用されることが規定されています。そのため、子どもの生活の拠点が日本にある場合には、日本法が適用されることになります。
また、国際離婚の場合には、養育費が未払いとなってしまうと回収することが困難になる可能性があります。国際離婚した相手が自分の国に帰ってしまうと、遅滞している養育費を請求することは容易ではありません。強制執行をしようにも、国外の財産を差し押さえるのはほぼ不可能です。
したがって、国際離婚の場合には、離婚時に一括で金銭の支払いを受けたり、送金方法や未払いの場合の対処法について弁護士を入れて取り決めるおいた方が良いでしょう。
まとめ
国際離婚により親権者を指定するためには、準拠法に従う必要があります。ご自身が日本国籍でお子様も日本国籍の場合には、日本法に基づいて親権者を定めることができます。
また、日本法が適用される場合であっても、お子様が外国で生活している場合には、ハーグ条約によって子どもを日本に連れて来られないおそれがあるため、注意が必要です。また、子どもの親権者となった場合には、子どもの養育のための養育費を受け取れるように適切な取り決めをする必要があります。
国際離婚をして親権を獲得したいという場合には、国際関係法や離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。そのため、国際離婚で小さなお子様がいる方は、ぜひ当事務所にお問い合わせください。