離婚後に公正証書は作成できるのか?作成の方法や費用は?
ざっくりポイント
  • 離婚後に公正証書は作成できるのか 
  • 公正証書の作り方 
  • 公正証書を作るための費用

目次

【Cross Talk 】離婚したけど公正証書を後から作れますか?

夫と離婚をしました。慰謝料や財産分与・養育費について、メモ程度ですが一筆もらって印鑑も押してもらったのがですが心配です。いろいろ調べていたら公正証書というものがあるらしいのですが、これは離婚後でも作れるのでしょうか?また作ったほうが良いですか?

離婚後でも離婚協議書を公正証書で作ることは可能です。夫が支払わない場合、すぐに強制執行をすることができるので作ってもらったほうが絶対に良いです。

そうなんですね!公正証書の作り方を教えてください。

離婚後でも離婚協議書を公正証書で作れる!作っておくべき理由や作り方・費用を確認

協議離婚をする際には、慰謝料・財産分与・養育費といった事項については当事者で話し合って決め、多くの場合で「離婚協議書」などの形で書面にします。また、離婚協議書は公正証書で作成されることが推奨されますが、この公正証書は離婚後でも作成が可能です。離婚協議書を公正証書で作成することが推奨される理由や、離婚協議書の作成方法、離婚協議書を作成するための費用について確認しましょう。

離婚後に公正証書を作成できる?

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚後に公正証書を作成できる
  • 公正証書を作るべき理由

離婚後に公正証書を作成できますか?

はい、できます。離婚協議書は公正証書で作成しておくことが望ましいです。

離婚後に公正証書を作成できるのでしょうか。

公正証書とは

公正証書とは、私人からの嘱託によって、公証人が作成する公文書のことをいいます。
協議離婚をする場合には、慰謝料・財産分与・養育費などの事項について当事者で協議を行いますが、その内容は離婚協議書(念書・合意書などとすることもある)として作成されます。
この離婚協議書に記載する内容を、公正証書で作成してもらうことがあります。

公正証書を作るべき理由

離婚における離婚協議の内容を公正証書で作成してもらうことは多くの弁護士が勧めています。
その理由として、支払いを受けられなかった場合にすぐに強制執行が可能となることが挙げられます。
通常の書面で離婚協議書を作成した場合、例えば養育費の支払いがされない場合、まず裁判で勝訴したうえで確定判決をもらうなど、民事執行法22条1項各号に定められている債務名義を取得しないと、強制執行ができません。
しかし、支払いがない場合には強制執行に服する旨の文言が付されている公正証書がある場合、民事執行法22条1項5号で債務名義になるので、裁判等の手続きを起こさなくても強制執行が可能です。
裁判を提起して勝訴判決を得るためには、スムーズに事が運んでも3ヶ月程度は必要なので、例えば養育費が途絶えているような場合、生活に影響する期間が長引くことになりかねません。
そのため弁護士は、離婚協議書は公正証書で作成することをおすすめしています。

離婚後に公正証書を作成できるか

離婚協議の内容は、離婚後でも公正証書で作成することは可能です。
また、一度通常の書面で作成した内容でも、あらためて離婚協議書にすることも可能です。
ただし、公正証書作成をするには相手に同意をしてもらって、手続きに協力をしてもらう必要があります。
できれば離婚前に作成しておくのが望ましいといえるでしょう。

公正証書を作る場合

公正証書を作るべき例としては、協議離婚をして、慰謝料・財産分与・養育費などの取り決めについて当事者間で合意をした場合です。

公正証書を作らない場合

離婚について調停離婚・審判離婚・裁判離婚をしたような場合には、調停調書などと同じ内容を記載した公正証書を別途作成する必要はありません。
調停離婚をした場合には調停調書が、審判離婚をした場合には審判書が、裁判離婚をした場合には確定判決がそれぞれ作成され、これらは民事執行法22条1項の債務名義になるので強制執行が可能だからです。

離婚後の公正証書の作り方

知っておきたい離婚のポイント
  • 公正証書の作り方
  • 公正証書を作るための費用

公正証書はどうやって作るのですか?またいくらくらいかかるのですか?

公正証書の作る流れや費用について確認しましょう。

公正証書はどのようにして作成するのでしょうか。

公正証書を作る流れ

公正証書を作る流れは次の通りです。

  • 公証役場に連絡をして公証人と事前の協議を行う
  • 必要書類を収集する
  • 公証役場に当事者が集まる日程を決める
  • 公証役場に当事者が集まり、公証人が作成した公正証書を確認して署名捺印を行う

公正証書は公証人が作成することになるのですが、作成する内容について事前に協議を行います。この協議で離婚するにあたって合意したことを伝えます。
作成にあたっては次の書類が必要です。

  • 印鑑登録証明書
  • 身分証明書(顔写真付き)
  • 夫婦の戸籍謄本
  • 離婚の事実が確認できる戸籍謄本
  • 離婚届受理証明書
  • 財産分与をする財産を特定するための書類(不動産登記簿謄本・車検証など)
  • 年金分割をする場合には年金手帳及び年金分割のための情報通知書

公正証書の作成は基本的に公証役場に当事者全員が集まって行います。印鑑を押すので印鑑登録を行った実印を持参します。

公正証書作成のための費用

公正証書の作成は、一定ではなく請求をすることになる金額に応じて次の通りとなります。

請求する額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1,000万円以下 17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 29,000円
5,000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 4万3,000円に5,000万円までごとに、1万3,000円を加算
3億円を超え10億円以下 9万5,000円に5,000万円までごとに、1万1,000円を加算
10億円を超える場合 24万9,000円に5,000万円までごとに、8,000円を加算

公正証書作成を弁護士に依頼すべきか

公正証書作成は弁護士に依頼することが望ましいです。
まず、公正証書に記載する内容について相手と合意ができていない場合には、どのような内容の請求が可能か法的な判断が必要となります。
また、相手と交渉して、慰謝料・財産分与・養育費の額などに納得してもらう必要もあり、当事者で話し合いが難しくなっているような場合に弁護士に依頼して代理で交渉してもらうとスムーズに解決します。
さらに、公正証書作成をするには公証人との事前の折衝が不可欠です。
公正証書作成をスムーズに行うためにも、弁護士に依頼することをおすすめいたします。

まとめ

このページでは、離婚した後に公正証書を作成することができるのか、作成する場合の作り方や費用についてお伝えしました。
離婚についての取り決めは公正証書で作成することが望ましいです。
スムーズに作成できるようにも、疑問点や困っていることがある場合には、早めに弁護士に相談するようにしましょう。