協議離婚と調停離婚のどちらを選ぶべきか?
ざっくりポイント
  • 離婚する方法には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類がある
  • 協議離婚と調停離婚の違いとは?
  • 調停離婚と協議離婚のどちらを選ぶべきか?

目次

【Cross Talk 】離婚調停と調停離婚のどちらを選ぶべきなのでしょうか?

夫と離婚をするには、どうすればいいのでしょうか?

離婚には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類の方法があります。

離婚調停と調停離婚について詳しく教えてください。

協議離婚と調停離婚の違いを理解して、離婚の方法を選択する必要がある

協議離婚と調停離婚については、夫婦が離婚条件を話し合い点については共通していますが、両者には大きな違いもあります。ご自身が離婚をする場合にどの方法を選択すべきなのかは、両者の特徴を適切に理解したうえで判断する必要があります。
このコラムでは、協議離婚と調停離婚の違い、離婚するにはどちらを選択すべきなのかといいった疑問点について弁護士が解説していきます。

離婚の方法とは?3つのタイプについて

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚するための方法は?
  • 離婚の方法には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類がある

夫と離婚するためには、どうすればいいのでしょうか?

離婚する方法には、大きく分けて協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。

話し合いで離婚する協議離婚

「協議離婚」とは、夫婦が話し合って離婚を成立させる方法のことです。

民法には、「夫婦は、その協議で、離婚することができる」と規定されています(民法第763条)。
親権者や面会交流、養育費の支払い、財産分与の方法、慰謝料の支払いなどの離婚条件について、双方が話し合いにより合意をすることで離婚をすることになります。

合意によって離婚が成立することになるため、どのような理由であっても離婚することが可能です。「相手に嫌気がさしたから」、「他に好きな人ができたから」などの離婚理由であっても、相手が離婚を了承する以上、離婚することができます。

夫婦双方が協議離婚の方法で離婚する場合には、離婚届け作成して市区町村役場に提出することで、離婚が成立することになります。

離婚する夫婦のうち、8割以上※1がこの協議離婚の方法で離婚しているため、もっとも多く利用される離婚方法であるといえます。協議離婚は、当事者双方が納得すれば離婚を成立させることができるため、話がすぐにまとまればもっとも短期間で離婚できる離婚方法と言えます。

協議離婚では当事者双方が合意できなかった場合には、次の調停離婚の手続きに進むことになります。

裁判所で話し合う調停離婚

「調停離婚」とは、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚する方法です。
夫婦の話し合いによっては離婚条件が決められない場合や、そもそも相手が離婚の話し合いを拒否している場合に協議離婚を利用することができます。

調停手続きでは、夫婦が話し合いによって離婚できる道を探るという点は協議離婚と共通していますが、夫婦の間に調停委員が間に入って話し合いを進めていくという点で、協議離婚とは異なっています。

調停離婚によっても、離婚の合意に至らなかった場合には、調停不成立(不調)となります。なお、不調の場合には、家庭裁判所の裁判官が相当と認めるときは調停手続きにおける一切の事情を考慮して職権で調停に代わる審判をすることがあります。裁判官による審判に基づき離婚が成立することを、審判離婚といいます。この審判に不服のある当事者は、異議申立てを行うことができます。

訴訟によって決着をつける裁判離婚

調停が不成立となり、家庭裁判所による審判の結果にも不服のある当事者は、最終的に裁判所に離婚を請求することになります。訴訟によって裁判所に離婚の可否を判断してもらう離婚方法のことを、「裁判離婚」や「訴訟上の離婚」といいます。

裁判離婚では、裁判所に訴訟を提起して、裁判所の離婚の可否を判断してもらうことになります。訴訟手続きでは、原告・被告の双方が証拠に基づき主張・立証を尽くし、裁判所が判決によって離婚の判断を行うことになります。

ただし、裁判離婚の場合、自由に離婚を請求できるわけではありません。裁判離婚を請求することができるのは、民法に規定されている5つの離婚理由のいずれかに該当していなければなりません。これらの離婚理由のことを法定離婚事由といいます。

協議離婚と調停離婚の違いとは?

知っておきたい離婚のポイント
  • 協議離婚と調停離婚の違いとは?

協議離婚と調停離婚の違いは何ですか?

以下では、協議離婚と調停離婚の具体的な違いについて解説していきます。

立会人の有無

協議離婚の場合には、夫婦が直接話し合いを行うことになりますが、調停離婚の場合には、調停委員が当事者の間に入って話し合いを行うことになります。

調停離婚で立会人となる調停委員会とは、家庭裁判所の裁判官と調停委員2名によって組織されています。調停委員には、一般市民の良識を反映させるために社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持っている弁護士や大学教授などのほか地域に密着して活躍してきた方の中から選出されています。

このように、調停離婚の場合には、専門的な知見を有する立会人が夫婦の間に入ることになるため、当事者だけで話し合いを行うよりも、客観的に冷静な話し合いを行うことが期待できます。

作成される書面の違い

協議離婚と調停離婚では、離婚の際に作成される書面に違いがあります。
まず、協議離婚の場合、夫婦間で合意された内容は、離婚協議書と呼ばれる合意書を作成して残しておくことが一般的で、公正証書の形で残すこともできます。しかし、協議離婚で合意書面を取り交わす義務はなく、口約束だけであっても合意自体は有効です。ただし、離婚後に不履行があった場合などには、客観的に合意の有無を確認する必要があるため、離婚条件を書面で残しておくことは重要となります。

これに対して、調停離婚が成立する場合には、合意された内容について「調停調書」が作成されます。
調停調書の記載は、確定した判決と同一の効力を有します。そのため、調停証書は強制執行を行う場合の債務名義となる資格があるのです。離婚調停で取り決めた内容を相手が守らなかった場合には、調停調書に基づいて裁判所に強制執行を申立てることができます。

協議離婚で作成される離婚協議書に基づき強制執行をしようとするためには、離婚協議書を公正証書として作成し、かつ強制執行認諾文言が記載されている必要があります。

戸籍への記載の違い

協議離婚と調停離婚では、戸籍への記載内容に違いがあります。
協議離婚の場合には、離婚日のみが記載されます。これに対して、調停離婚の場合には、「離婚の調停成立日○年〇月○日」と記載されるため、戸籍を見れば離婚方法が分かるようになっています。

協議離婚と調停離婚のどっちを選ぶべき?

知っておきたい離婚のポイント
  • 協議離婚と調停離婚のどちらを選択すべきか?
  • 協議離婚と調停離婚にはそれぞれの特徴がある

協議離婚と調停離婚のどちらを選ぶべきなのでしょうか?

ここでは、離婚協議と調停離婚の特徴について解説していきます。

協議離婚と調停離婚には、それぞれ特徴が異なります。そのため、どちらの離婚方法を選択すべきかどうかについては、その特徴を理解して、ご自身の状況に適合する方法を選択することがポイントとなります。

以下のような場合には、協議離婚を選択すべきでしょう。

  • 夫婦が顔を合わせて話し合いの場を持てる場合
  • できるだけ早く離婚を成立させたい場合
  • 離婚条件の大部分については合意できそうな場合
  • 上記に対して、以下のような場合には、調停離婚を選択すべきでしょう。

  • 夫婦が顔を合わせて冷静な話し合いができない場合
  • 相手が暴力・虐待、侮辱などがある場合
  • お互いの離婚条件が大部分について折り合いが付かなさそうな場合
  • なお、いずれの場合であっても、離婚問題に強い弁護士に間に入ってもらい、話し合いをした方が、スムーズに手続きを進められる可能性が高まります。

    まとめ

    以上、夫婦が離婚をするためには、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3種類の方法があります。
    協議離婚は夫婦が直接話し合いを行うことになりますが、調停離婚の場合には、家庭裁判所の調停委員会が夫婦の間に入って話し合いを行うことになります。
    離婚条件には、親権や養育費、面会交流、財産分与、慰謝料など多岐にわたる可能性があり、迅速・適切に離婚手続を進めたい場合には、離婚問題に強い弁護士に相談するようにしてください。
    当事務所には、離婚トラブルの解決実績の豊富な弁護士が在籍しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。