- 養育費請求調停とは?
- 養育費請求調停の流れ
- 養育費請求調停を有利に進めるコツ
【Cross Talk 】養育費を支払ってもらえない!養育費請求調停ってどんな手続きですか?
夫と離婚した後に養育費の支払いをしてもらえなくなりました。協議離婚で養育費は口約束をしていただけで、「高すぎる」と一方的に支払いをしてもらえなくなり、法的に請求したくて調べていたのですが、養育費請求調停っていう手続きはどのような手続きですか?
養育費を調停という手続きで請求するものです。間に裁判官と調停委員という方が入って進める話し合いみたいな手続きです。
そうなんですね、詳しく教えてください。
養育費の支払いを受けられない場合に、相手に対して法的手続きをとることになります。その手段が養育費請求調停です。養育費請求調停は、養育費の支払いを求めて行う調停という紛争解決手段です。このページでは、養育費請求調停についてお伝えいたします。
養育費請求調停とは
- 養育費とは
- 養育費請求調停とは
養育費請求調停とはどのような手続きなのでしょうか?
養育費の支払いを求める調停手続きです。
養育費とは
養育費とは、子どもの監護・教育に必要な費用のことを言います。
離婚をした夫婦に子どもがいる場合に、子どもの親権(もしくは監護権)を夫婦どちらか一方に定めます。
そして、子どもと別居する側の親は、子どもの養育のために、養育費を監護している親の方に支払うことになります。
養育費請求調停とは
養育費請求調停とは、養育費を支払ってもらう立場にある方が、養育費を支払う立場にある方に対して、養育費の支払いを求めて行う「調停」をいいます。
調停とは、裁判官1名と調停委員2名からなる調停委員会が間に入って、当事者双方の意見を聞きながら合意を目指す紛争解決の方式で、裁判所で行われる手続きです。
支払いを求める調停のほか、養育費の増額や減額を求めて調停を起こすことも可能です。
養育費請求調停で養育費を決めるメリット
養育費請求調停で養育費を決めるメリットとしては、
- 間に調停委員が入ることで、当事者で話し合うよりも冷静に養育費の交渉を進められる
- 養育費の額について妥当なラインで交渉ができる
という2点が挙げられます。
養育費の支払いがないような場合、父と母の間で激しい対立となっていることが多いです。
当事者間で交渉している限り、養育費の交渉というよりも、感情的な対立になってしまい、交渉がうまくいかなくなる可能性があります。
このような場合、調停ではお互いに面と向かわずに、裁判官・調停委員と一緒に進めるので、冷静に話し合うことが可能となります。
また、算定表なども考慮し、いわゆる養育費の相場に基づいた提案をしてもらえるので、養育費の額で揉めているような場合には、法的な基準を押さえつつすすめることができます。
養育費請求調停で養育費を決めるデメリット
養育費請求調停で養育費を決めるデメリットとしては、時間がかかることです。
調停を行うには、裁判所での期日に当事者が集まる必要がありますが、期日は1ヶ月~1ヶ月半程度間隔で行われます。3回の期日が開かれると3ヶ月以上かかることになり、時間がかかります。
養育費請求調停をするのに必要な書類と費用
養育費請求調停は、裁判所への申立てによって行われます。
申立てに必要な書類は、
└対象となる子どもの戸籍謄本
└収入に関する資料
└その他裁判所が審理に必要な追加資料
が必要です。
申立書に関する書式や記載例は管轄をする家庭裁判所が用意してくれていることがあるので、管轄となる裁判所のホームページを確認してみてください(管轄家庭裁判所+養育費請求調停 などのキーワード検索を行っても良い)。
養育費請求調停に必要な費用として、
- 収入印紙1,200円分(子ども1人につき)
- 家庭裁判所におさめる郵便切手(裁判所による:東京家庭裁判所の場合100円×2枚,84円×8枚,10円×14枚,1円×10枚(合計1,022円))
が必要です。
養育費請求調停の流れ
- 養育費請求調停の流れ
養育費請求調停はどのような流れで進むのでしょうか?
養育費調停請求の流れについて確認しましょう。
養育費請求調停は次のような流れで進みます。
家庭裁判所に養育費請求調停の申立てを行なう
養育費請求調停は、管轄の裁判所に申立てを行って始めます。
上述したように、申立書を作成し、添付書類を添えて提出します。
相手に呼出状が送達される
調停の申立ての受付がされると、裁判所から相手に対して呼出状が送達されます。
呼出状には第一回目の調停期日の日時が記載されているのですが、一回目は一方的に指定されるので欠席をすることができます。
欠席をするときには、裁判所に対して出席できない旨を伝えるようにしましょう。
第一回目の調停期日
第一回目の調停期日が行われます。
当事者は待合室で待機して、交互に裁判官・調停委員と面談し、話し合いを行います。
内容によって双方2~3回ずつ交互に面談を行い、妥協点を探していくことになります。
合意ができれば、調停は終了、合意ができなければ次回の期日を定めます。
第二回目以降の期日
第一回目と同じように、待合室で待機をして、別々に面談を行います。
合意ができれば調停は終了、合意ができなければ次回以降の期日を設定します。
調停が成立・不成立
話し合いの結果、当事者双方が合意できた段階で調停は成立、複数回調停を試みても調停が成立しない場合には、調停は不成立となります。
調停が成立すると、調停調書が作成されます。
この調停調書は後に養育費の支払いがされない場合に、強制執行をするのに必要となります。
一方で、合意ができず調停不成立となった場合には、自動的に養育費分担審判手続きに移ります。
養育費分担の審判に移った場合、家庭裁判所が当事者双方に改めて事情を聴き、必要であれば審問や追加の調査を行って審理し、最終的な判断を下します。
養育費請求調停を有利に進めるコツ
- 養育費請求調停を有利に進めるためのコツ
- 適切な養育費の相場で請求する・弁護士に依頼するなど
養育費請求調停を有利にすすめるためには何かコツはありますか?
適切な養育費の相場で請求するなど、いくつかあるコツを確認しましょう。
養育費請求調停を有利に進めるためのコツを確認しましょう。
適切な養育費の相場で請求をする
適切な養育費の相場で請求をするようにしましょう。
子どもを養育するにお金がかかるとはいえ、あまりにも高額な請求をすると、相手も承諾しづらいです。
そのため、事案に合わせた適切な相場での請求をするようにしましょう。
どのくらいの金額が適切かについての目安として、実務上は、養育費・婚姻費用算定表が用いられます。
平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所
請求の根拠となる資料をきちんと請求する
請求の根拠となる資料をきちんと請求しましょう。
例えば、養育費・婚姻費用算定表に記載されている金額よりも高い額の請求をする場合、その高い額の請求をする根拠を、裁判官・調停委員・相手に示すのが効果的です。
例えば、子どもが病気がちで医療費がかかる・私立の学校に行かせる、などの場合に、その費用が客観的に分かる資料を示します。
収支状況の概算もきちんと示す
併せて収支状況の概算もきちんと示すようにしましょう。
上述したように、申立ての際に収入に関する資料を提出することになっていますが、支出に関する資料の提出は必要ありません。
しかし、収支の状況の概算を示すことができれば、養育費として必要な額を裁判官・調停委員・相手が判断しやすいといえます。
主張や証拠を提出しておく
主張や証拠を事前に提出しておくようにしましょう。
裁判官・調停委員が間に入ってくれるとはいえ、実際に主張や立証を話し合いの面前で行うと、意図していたことと違うように伝わってしまったり、主張をし忘れるなどの可能性もあります。
事前に書面として提出しておくことで、話が整理されやすくなり、上手く伝わらない・主張し忘れるということを防げます。
裁判官・調停委員の心証を良くする
裁判官・調停委員の心証を良くするようにしましょう。
裁判官・調停委員は、当事者の話をよく考慮するのですが、どうしても人間としての判断は避けられません。
あからさまに悪態をつくなど、裁判官・調停委員の心証を悪くする行為をすると、不利に扱われる可能性は否定できません。
弁護士に依頼する・費用の相場
手続に際しては、弁護士に依頼することも検討しましょう。
裁判官・調停委員が当事者とよく話し合ってくれるものの、調停がどのように進行しているのかなどがわからないと、調停は上手くいかない可能性があります。
弁護士に依頼すれば、法的なサポートはもちろん、調停の進行についても任せることができるので、有利にすすめることができます。
弁護士に依頼するときの相場については、概ね次の通りとなっています。
相場 | |
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相談料 | 30分5,000円 |
着手金 | 20万円~30万円程度 |
成功報酬 | 30万円程度 |
東京新宿法律事務所の費用体系については、事務所ホームページに記載していますので、こちらをご覧ください
まとめ
このページでは、養育費請求調停についてお伝えしました。
養育費の支払いが受けられないときに行う調停が養育費請求調停で、裁判所で行う手続きです。
手続きの進行に不安があるような場合には、まずは弁護士に相談してみましょう。