- 祖父母には面会交流権がない
- 監護親の許可があれば祖父母は孫と面会交流できる
- 祖父母が面会交流するためのポイントとは?
【Cross Talk 】祖父母が孫と面会交流するためにはどうすればいいでしょうか?
父母が離婚した場合、祖父母は定期的に孫に会うことはできますか?
一定の場合には、祖父母も孫に会うことができます。
祖父母の面会交流について詳しく教えてください。
父母が離婚した場合、離れて暮らすことになる側の親には面会交流が認められます。離婚によって孫と会えなくなった祖父母にも面会交流権は認められるのでしょうか。祖父母が孫と定期的に会いたい場合にはどうすれば良いのでしょうか。
この記事では、祖父母の面会交流について詳しく解説していきます。
祖父母は面会交流できる?
- 祖父母の面会交流権の有無
- 祖父母が孫と交流する方法とは?
祖父母は孫と面会交流することはできますか。
祖父母には面会交流権はありませんが、孫に会える可能性はあります。
祖父母に面会交流権はない
祖父母には、法的に面会交流をする権利は保障されていません。
そもそも「面会交流」とは、子どもと離れて暮らす父母の一方(非監護親)が子どもと定期的・継続的に会ったり一緒に時間を過ごしたり、メールや電話などの方法で交流することを指します。
民法には、父母が協議上の離婚をする場合、「父又は母と子との面会及びその他の交流」について必要な事項を協議で定め、協議が調わない場合やできない場合は、家庭裁判所が定めることになっています(民法第776条1項2項)。
このように民法上、面会交流権が認められているのは父または母です。そのため、父母以外の第三者が面会交流を求めて調停・審判を申し立てることはできません。
以上より、祖父母には、面会交流権は認められていません。
祖父母が面会交流できる場合
祖父母には面会交流権は認められていないため、祖父母が孫との面会交流を求めて家庭裁判所に調停・審判を申し立てることはできません。しかし、父母の面会交流に同席する形であれば孫と会うことができる可能性があります。
面会交流に同席して孫と会うためには、監護親である父または母が祖父母の同席を了承している場合に限られます。監護親が祖父母の同席を拒否する場合には、勝手に非監護親の面会交流に同席することはできないため注意が必要です。
祖父母が面会交流するためのポイントとは?
- 祖父母が面会交流するためのポイントは?
祖父母が孫と面会交流しようとする場合、どうすれば良いのでしょうか。
祖父母が孫と面会交流するためのポイントについて解説していきます。
父母と話し合う
前述の通り、原則として祖父母には孫との面会交流を要求する権利がありません。しかし、監護親から同意を得ることができれば、祖父母のみの面会交流や非監護親との面会交流に同席できる可能性があります。
父母の面会交流権の話し合いの中で、祖父母の面会交流についても一緒に取り決めておくことも可能です。
このように祖父母が孫との面会交流の機会を確保するためには、父母との話し合いを行い、当事者が合意する形で行うことが理想的でしょう。監護親が望まない形で祖父母が孫に会っていると、のちのちトラブルに発展するおそれもあります。
したがって、面会交流を実施するかどうか、その面会交流に祖父母が同席するかどうかについては、まずは父または母との話し合って取り決めることになります。
子どもの生活に配慮する
面会交流権はあくまで非監護親と子どものために保障されているものです。
民法にも、面会交流についての取り決めについては、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と規定されています(民法第766条1項後段)。そのため、祖父母が孫に会いたいという気持ちだけを優先して子どもの生活環境や精神状態を侵害するものである場合には、面会交流時に祖父母の同席が拒否されてしまうおそれがあります。祖父母が孫に対して監護親の悪口や非難を言うような場合には、子どもの精神的な成長を阻害するおそれもあります。そのため、子どもに対して親の悪口を言うことは避けなければなりません。
また、子どもがある程度成長している場合には、その子どもにも塾や習い事、その他予定が入っていることがあります。このような子どもの予定を無視して祖父母が面会交流の実施を求めた場合には、子どもの生活環境に配慮していないとして同席が拒否されてしまうおそれがあります。
高価なプレゼントや高額のお小遣いは控える
また、祖父母が面会交流に同席する場合には、孫に高価なプレゼントや高額なお小遣いをあげないように注意してください。
孫に高価なプレゼントや高額なお小遣いを与えることは、監護親の教育方針に合致しないおそれがあります。また、プレゼントやお小遣いという金品をもらえるからという理由で、子どもが面会交流を希望するようになってしまうと、面会交流の趣旨や目的に沿わないことになってしまいます。
場合によっては、「祖父母からお小遣いやプレゼントを与えて欲しい」と考えている監護親もいますので、監護親の了承を得たうえで、プレゼント等をすることが適切でしょう。
監護親の教育方針に反するプレゼント等を繰り返し行っている場合には、面会交流への祖父母の同席が拒否されてしまうおそれがあります。
まとめ
以上の通り、祖父母には孫との面会交流を求める法律的な権利はありませんが、監護親が了承した場合には、非監護親との面会交流に同席できる場合があります。
祖父母が孫と定期的に会うことができるようにするためにも、離婚する際の面会交流の取り決めは適切に行っておく必要があるでしょう。
面会交流について、祖父母の同席などについてあらかじめ合意しておきたいという場合には、弁護士に依頼して適切な合意書を取り交わしておく必要があるでしょう。このような合意書の作成をご希望の方は、弁護士にお気軽にご相談ください。