- 離婚後は、法律的に夫に加え夫の家族・親族とも縁が切れている。ただし子どもがいると完全に縁を切ることは難しい
- 夫が亡くなった後に義理の親族と縁を切りたい方は「姻族関係終了届」提出の検討を
- 姻族関係終了届を提出すると、義理の親族の扶養義務などがなくなるがデメリットも
【Cross Talk 】離婚した夫と縁を切りたいです!!
夫と離婚しましたが、元姑・舅からいまだに連絡が来ます。縁を切りたいのですが・・・
子どもがいるのであれば、子どもにとって祖父母ですので完全に縁を切ることは難しいでしょう。民法では離婚で姻族関係は終了しますので、縁は切れている状態といえます。
詳しく教えてください!
「亡くなった夫の姑や舅ともう関わりたくない」「離婚後、元姑から連絡が来てうんざりする」などお悩みの方は多いのではないでしょうか。
離婚すると姻族関係(婚姻による関係は)終了しますので、法律的には縁が切れている状態です。しかし、実際には離婚後も元姑・舅から連絡が来る場合があります。夫が亡くなった場合に義理の親族と縁を切りたいという方もいらっしゃいます。
今回は離婚した夫または亡くなった夫の親族と縁を切る方法、姻族関係終了届のメリット・デメリットなどについて解説していきます。
夫と離婚もしくは亡くなった後に義理の親族と縁を切る方法とは?
- 離婚すると法律的には縁が切れているが、子どもがいる場合は完全に縁を切ることが難しい
- 亡くなった夫の親族と縁を切りたい方は「姻族関係終了届」提出の検討を
夫が亡くなった後、姑や舅からお金の無心をされます。どうすれば良いのでしょうか?
姻族関係終了届の提出を検討しましょう。結婚により親族となった姻族に対する扶養義務などがなくなります。
民法では離婚によって姻族関係が終了する
民法第725条※1では、「六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族」は親族と規定されています。
同法第728条において、離婚により姻族(婚姻によって生じた親族)関係が終了することも定められています。
2 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。
2項では配偶者が亡くなり、存命の配偶者側が終了の意思を示したときにも関係が終了するとされています。
民法では離婚すると夫および義理の家族との関係は終わります。
離婚後に夫の親族が連絡をしてくる場合は、どうすれば良いのでしょうか?
夫と離婚後に義理の家族と縁を切る方法とは
離婚すると、法律上は夫と夫の家族・親族とも縁が切れている状態です。
それでも連絡など接触してくる場合には、今後の付き合いは遠慮する旨の意思を示しましょう。
ただし子どもがいる場合、子どもは義理の父母にとって孫であることに変わりはありません。子どもにとっても父方の祖父母で直系の尊属です。
よって「全ての関係を断つ」ことは難しいでしょう。
子どもは元夫とも親子の関係ですので、完全に縁を切ることは困難といえます。
元夫との間に子どもがいないにもかかわらず、夫や義理の親族がストーキングをする、お金の無心をするなどの行為があった際には弁護士への相談をおすすめします。
夫が亡くなった後に義理の親族と縁を切りたい方は「姻族関係終了届」の提出を
民法では夫が亡くなった場合は「生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したとき」に姻族関係が終了します。この「意思を表示する」方法として「姻族関係終了届」があります。
夫が亡くなった後に義理の親族と縁を切りたい場合は、「姻族関係終了届」の提出をおすすめします。
姻族関係終了届を提出するメリット・デメリット、子どもへの影響は?
- 姻族関係終了届を出すことで、義理の親族に対して扶養義務がなくなる、祭祀承継者を他の方に引き継がせられるなどのメリットがある
- 子どもがいると顔を合わせるときに気まずくなってしまうデメリットも。お悩みの方は弁護士に相談を
姻族関係終了届を出したいです!子どもがいるのですが、どのような影響がありますか?
姻族関係終了届を出すと、相談者さまと義理の親族は縁が切れます。しかしお墓や仏壇は自分で用意しなければいけません。お子さまにとっては変わらず親戚ですので、会う機会があったら気まずい思いをする可能性もあります。
姻族関係終了届を提出するメリット
姻族関係終了届は、届出人の本籍地または所在地を管轄する役所に提出します。※2
姻族関係終了届を出すことで、主に以下のメリットがあります。
- 義理の親族に対し、扶養の義務がなくなる
- 同居している義理の親族の互助義務もなくなる
- 祭祀承継者を他の方に引き継がせられる
親族は一定の範囲で扶養義務がありますが、姻族関係終了届を出すと扶養義務はなくなります。よって生活費や医療費を無心されても支払う必要はありません。
また、義理の親族と同居している場合であっても「互助義務(互いに助け合う義務)」がなくなります。
お墓や仏壇などの「祭祀財産」は、亡くなった方が指定した方、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき方、家庭裁判所が定めた方が承継しますが※3、姻族関係終了届を出すと、亡くなった配偶者に承継義務がある場合は他の姻族に引き継がせることが可能です。
義理の親族との関係が上手くいってない方にとっては、精神的な負担が軽くなるというメリットもあります。
姻族関係終了届を提出するデメリット
姻族関係終了届を出すと、いざというときに自身が義理の親族に扶養してもらうことはできません。
上で述べた通り、同居時の互助義務もなくなります。
家の所有者が義理の家族である場合、自身で住まいを見つける必要があります。お墓や仏壇も自身で準備しなくてはいけません。
また、姻族関係終了届を出して法律上の親族関係を終了したとしても、子ども(姑や舅にとっては孫)のことで姑や舅と交流、連絡が必要になる場合もあります。
子どもは直系の親族なので、縁を切ることができない
子どもは姑や舅にとって祖父母(直系の尊属)ですので、姻族関係終了届を出したとしても、子どもと姑や舅の縁を切ることができません。
祖父母から学費などを扶助してもらえる可能性があり、相続の権利もあります。
姻族関係終了届を出すことで、子どもに悪影響を及ぼす可能性があるときには慎重に検討しましょう。
「どうすれば良いのか分からない」という方は、弁護士に相談するという方法もあります。
まとめ
離婚したもしくは無くなった夫の姑・舅など義理の親族との関係でお悩みの方は、弁護士に相談するという選択肢があります。
専門家である弁護士に相談することで、法律の観点からの対処法やアドバイスをもらえるでしょう。