夫のパパ活が不倫になる場合とならない場合、慰謝料請求について解説いたします。
ざっくりポイント
  • 夫とパパ活相手に体の関係がある場合は不貞行為と認められる可能性が高い
  • 不貞行為を立証するための証拠を集めておく
  • 慰謝料の相場は50~300万程度だが、状況によって金額が前後する

目次

【Cross Talk 】夫がパパ活をしているようです。不貞行為になりますか?

夫のスマホにパパ活アプリが入っているのを発見してしまいました。パパ活は不貞行為になるのでしょうか?

「パパ活」がたまに食事をする程度でしたら、不貞行為とみなされないでしょう。一方で、肉体関係がある、頻繁に会い婚姻関係を破綻させた場合などでは不貞行為にあたる可能性があります。

相談者:詳しく教えてください!

パパ活が不倫になる事例、ならない事例とは?慰謝料請求の注意点も

一般的にパパ活とは、アプリやSNS等を通じて男女が出会い、食事や性行為をする対価として金銭を授受する行為です。中高年の男性と若い女性の組み合わせが多いと言われていることからこの呼ばれ方をされています。
パパ活は一緒に食事をするだけでお金を支払い終了することがあり、この場合は不倫と認められる可能性は低いでしょう。一方で肉体関係を伴うパパ活は、不貞行為として認められる可能性が高くなります。
なお、パパ活相手に慰謝料を請求するためには、パパ活相手は夫が既婚者と知っていたなど一定の要件を満たす必要があります。
今回はパパ活が不倫になる事例とならない事例、慰謝料請求の方法・パターン、注意点などを解説していきます。

パパ活で不倫になる事例とならない事例

知っておきたい離婚のポイント
  • 肉体関係がある場合、パパ活が不貞行為とみなされる可能性が高い
  • 判断が難しい場合は、弁護士などの専門家に相談するという方法も

メッセージアプリの履歴を見ると、パパ活相手と肉体関係があるみたいです。離婚できますか?

肉体関係がある場合は不貞行為とみなされる可能性が高いです。不貞行為は民法上の離婚事由に該当しますので、離婚できる可能性も高くなるでしょう。

パパ活が不貞行為に該当する場合

パパ活に明確な定義はありませんが、一般的には年上の男性が年下の女性と食事をしてお金をもらう行為を指します。
人によっては、パパ活を食事ではなくお互いに合意の上で性行為をして金銭の授受を行うものと解釈している方もいるでしょう。このような場合は不貞行為に該当し得ます。

不貞行為は、既婚者が配偶者以外の人と自分の意思で肉体関係を持つことをいいます。二人きりで食事をする、キス・ハグだけでは不貞行為に該当しない事例が多いです。

慰謝料を請求できるのは、夫や不倫相手が「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」場合です。

パパ活が不貞行為に該当しない場合

パパ活が不貞行為に該当するか否かは線引きが難しいですが、たまに二人きりで食事をする、プレゼントをあげるなど夫が異性と肉体関係を持たず交流していた場合には不貞行為に該当する可能性は低いでしょう。

現在の状況でパパ活が不倫に該当するのか判断が難しいという場合には、弁護士などの専門家に相談するという方法もあります。

夫のパパ活相手に慰謝料請求はできる?

知っておきたい離婚のポイント
  • パパ活相手が既婚者だと知っていた場合などでは、パパ活相手にも慰謝料請求
  • 夫とパパ活相手に慰謝料を請求しても金額が二倍になるわけではない

パパ活相手に慰謝料請求はできるのでしょうか?

夫が既婚者だと知っていた、明らかに既婚者だと分かる状況で見落とし肉体関係をもったなどの場合ではパパ活相手にも慰謝料請求が可能です。ただし夫とパパ活相手に請求することで慰謝料の金額が2倍になるわけではありません。

パパ活相手が既婚者だと知っていた場合などでは慰謝料請求ができる

不倫相手が故意または過失で夫婦の婚姻関係を破綻させた場合には、慰謝料請求ができます。

第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

パパ活をしている女性が既婚者だと知りながら夫と関係を持った場合には、「故意」ですので慰謝料請求できる可能性が高いです。

SNSでのやり取りなど相手の素性を知らない出会いからパパ活の関係になることがありますが、不倫相手が既婚者だと知らなかった場合には「故意」ではありません。
そのため、既婚者であることを知らなかった場合には慰謝料請求が難しくなってしまいます。
ただし夫が会っている間にずっと結婚指輪をしていた、妻や子どもの話をしていたなど明らかに既婚者ということが分かる場合でもパパ活女性が「過失」で見落とし、肉体関係をもった場合などでは慰謝料請求ができる可能性があります。

なお、夫については、自身が結婚をしていることを知りながらパパ活をしているため、自らの不貞行為で婚姻関係を破綻させた際には慰謝料請求ができます。

パパ活相手に慰謝料の請求ができない場合

上記の通り、パパ活相手が既婚者だと知らなかった場合や肉体関係がない場合は慰謝料を請求できる可能性が低いでしょう。

また夫がパパ活をする前から婚姻関係が破綻している事例では、円満な婚姻生活を送る権利を侵害されていないため慰謝料請求は困難になるでしょう。
例えば長期間にわたる別居などで夫婦関係の実態がほぼない場合では婚姻関係が破綻しているとみなされる可能性が高いです。

夫とパパ活相手、双方に慰謝料請求する場合

パパ活で慰謝料を請求する場合には以下の3パターンがあります。

A)夫とパパ活相手に合算で請求する
B)夫もしくはパパ活相手のどちらか1人に満額を請求する
C)夫とパパ活相手にそれぞれ○万円ずつという形で請求する

(A)(C)の夫とパパ活相手双方に請求する場合にはパパ活相手が(1)で解説した慰謝料請求の要件を満たす必要があります。

なお、基本的に調停や訴訟の場では慰謝料の二重取り(金額が2倍になること)は認められません。
裁判外の任意の話し合いで、夫とパパ活相手が合計で2倍の慰謝料を支払うことに合意すると2倍の慰謝料を受け取れます。

パパ活で慰謝料を請求する際の注意点

知っておきたい離婚のポイント
  • 慰謝料の相場は50~300万前後だが、婚姻期間が長い、子どもがいる場合などでは金額が高くなる傾向がある
  • 不貞行為を立証するために、まずは証拠を集めておく

不貞行為の慰謝料の相場はどのくらいでしょうか?

一般的には50~300万前後といわれていますが、婚姻期間が長い、子どもがいる場合などでは慰謝料の金額が高くなるでしょう。

慰謝料の相場は50~300万円前後

不貞行為の慰謝料請求の相場は50~300万円前後といわれています。

慰謝料の金額は、以下の要素があると高くなる傾向にあります。

  • 婚姻期間が長い
  • 不貞行為により、婚姻生活が破綻し離婚することになった
  • 子どもがいる、子どもが未成年
  • 不貞行為の頻度が高く期間が長い
  • 精神的苦痛が大きい
  • DVなど不貞行為以外にも帰責事由がある等

逆に婚姻期間が短い、不貞行為が頻繁ではないなどの要素がある場合は慰謝料の額は低くなる可能性があります。

まずは証拠を集める

不貞行為で慰謝料を請求するためには、不貞行為があったことを立証する必要があります。
夫にパパ活について話すと証拠を隠してしまう恐れがありますので、まずは証拠を集めることをおすすめします。

証拠の例としては、2人でラブホテルに入る写真や不貞行為があったことをほのめかすメール・メッセージアプリのやり取り、動画や画像などがあります。
自身で証拠を集めるのが精神的に辛い方や忙しい方は探偵事務所に依頼して代わりに証拠を集めてもらうという方法もあります。

まとめ

パパ活が不倫になるのは肉体関係がある、夫婦関係を破綻させた場合などです。
「不倫なのか分からない」「パパ活を知ってしまい今後どうすべきか悩んでいる」という方は、離婚・男女問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめいたします。
法律の知識があるプロが問題解決のサポートになるでしょう。