- 円満調停は夫婦関係を円満に戻すために話し合う場
- 第三者からの公平な意見が聴ける、調停委員を介して配偶者に直接言いづらいことを伝えられるというメリットがある
- 手続きをする時間がない、代理人を立てたい場合には弁護士に相談を
【Cross Talk 】円満調停とはどういうものでしょうか?
夫婦仲が上手くいっておらず、円満調停があることを知りました。どのような制度なのでしょうか?
夫婦関係が円満になることを目指して話し合いをする場です。別居・同居問わず夫婦であれば利用することができます。
円満調停とは、夫婦関係が円満になることを目的に話し合う場です。正式には「夫婦関係調整調停」と呼ばれています。調停委員という第三者からの意見が聞ける、冷静な話し合いができるなどのメリットがあります。円満調停の概要と離婚調停との違い、メリット・デメリット、手続きについてお伝えしていきます。
円満な夫婦関係を回復するための円満調停、メリット・デメリットとは
- 離婚調停は離婚についての話し合い、円満調停は申立てる人が関係を円満にすることが目的という違いがある
- 夫婦双方が別室で調停委員と話し合うため、言いにくいことが伝えられるなどのメリットがある
円満調停の費用はいくらかかるのでしょうか?
収入印紙1,200円分と切手代・証明書の取得料金で合計2,500円前後です。他にも証明書を求められた場合には交付の代金がかかります。
夫婦関係調整調停「離婚」と「円満」の違い
夫婦の関係に関わる「夫婦関係調整調停」には「離婚」と「円満」があります。
「離婚」は離婚について当事者間の話し合いがまとまらない、話し合いができないときに、離婚の可否や親権などについて話し合うことができます。
ただし離婚がゴールという訳ではなく、離婚に関する話し合いや合意を目的としています。
一方「円満」は夫婦関係が円満でなくなった際に、関係を回復するための手続きです。調停委員が当事者から話を聞き円満でなくなった原因や解決策に関して話し合います。
申立てる人が「夫婦関係を円満に戻したい」と希望している点が離婚調停と異なる点です。
同居・別居を問わず夫婦であれば利用できます。
裁判所の2020年の司法統計では、2020年の円満調停の申立ては2202件でうち調停成立は700件と約1/3の夫婦は円満調停で合意に至っています。
夫婦の一方が離婚、もう一方が円満を目指している場合には、1つの調停で同時に話し合うことになります。
参照:裁判所 司法統計 第15表 婚姻関係事件数-終局区分別申立人及び申立ての趣旨別
円満調停のメリット・デメリット
円満調停は第三者の客観的な意見を聞くことができるというメリットがあります。
夫婦の問題は周囲に相談しづらく当事者同士では感情的になってしまいがちですが、調停委員・裁判官という第三者が介入することで、異なる視点からの助言・解決策が聞けます。
友人・親族などが介入するとどちらかに有利になってしまう傾向がありますが、調停委員は公平な立場から助言をするという点もメリットです。
調停で当事者は、別室で調停委員に対して事情を話します。よって配偶者に直接言いづらいことも調停委員を介して伝えることができます。
途中で方向性が見えてきた際には調停を取り下げることも可能です。
一方で手続きに手間や費用がかかる、夫婦関係を修復できるとは限らないというデメリットもあります。しかし費用は収入印紙1,200円分と切手代・証明書の取得料金で合計2,500円前後です。
夫婦で意見が別れている、客観的に判断して欲しい場合には有効な手段といえるでしょう。
円満調停の必要書類と手続きの流れ
- 申立てに必要な書類は申立て書と夫婦の戸籍謄本
- 代理人になれるのは弁護士のみ。代理人を立てたい方は弁護士へ相談を
調停で上手く話せるか不安で代理を依頼したいです。友人や親族でも大丈夫でしょうか?
代理人になることができるのは弁護士のみです。弁護士に相談してみましょう。
必要書類を集め、費用を支払う
まずは申立てに必要な下記の書類を集めます。
夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
費用は収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手です。
切手代は裁判所によって異なりますが、東京家庭裁判所は合計1,000円です。
裁判所に申立てる
管轄の家庭裁判所に申立てます。相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所が管轄となります。
申立ては裁判所に直接持参または郵送でも受け付けて※5いますが、裁判所によって対応が異なりますので事前に確認しておきましょう。
調停での話し合い
申立て後の流れは下記の通りです。
家庭裁判所から期日の連絡があります。必要な場合には期日までに家庭裁判所調査官が調査を行いますが、未成年者の子の監護といった場合が多いです。
調停は平日に行われ1回の時間は2時間程度です。
申立人と相手はそれぞれ別の待合室で待機し、呼ばれた際には調停室に入ります。調停委員が公平な立場で双方の話を聞きながら話し合いを進めていきます。
調停室に入ることができるのは当事者・調停委員・代理人(弁護士)のみです。
調停成立または不成立
合意に至った際には調停は成立となりますが、合意が出来なかったときには不成立となります。
1回の調停で合意できることもあれば、数回に渡り行われる場合もあります。おおよそ月1回程度のペースで行われます。
まとめ
円満調停は夫婦関係が円満になるために、原因や解決方法に関して話し合います。
「調停委員に上手く伝えられるか自信がない」という方は、弁護士を代理人に立てることができます。弁護士に依頼することで、調停をすることなく代理人(弁護士)を通した話し合いが可能になります。
「平日昼間に裁判所に行くことが難しい」という場合は、弁護士への依頼も検討してみましょう。