- 不倫が不貞行為に該当する場合は離婚事由にあたり、一般に慰謝料の対象になる
- 離婚協議書は公正証書にしておくべき
- 離婚を有利に進めるには、証拠を集めて冷静に進めていくことが重要
【Cross Talk 】不倫されて離婚する場合に知っておくべきことは?
配偶者に不倫をされたので、離婚を考えています。不倫されて離婚する場合に、知っておくべきことはなんですか?
不倫が不貞行為に該当する場合は、民法が規定する離婚事由に該当するだけでなく、一般に慰謝料請求が可能です。協議離婚をする場合は、離婚協議書を公正証書にすることをおすすめします。
離婚協議書や公正証書など、離婚するにあたって知っておくべきことが多そうですね。詳しく教えてください!
配偶者に不倫をされたことで、離婚を決意する場合があります。
離婚をする場合、配偶者や不倫相手に慰謝料を請求できるか、子どもがいる場合に親権や養育費をどうするかなど、知っておくべきことが数多くあります。
そこで今回は、配偶者の不倫が原因で離婚をする場合に、知っておくべきことについて解説いたします。
不倫をされた結果離婚をするときに知っておくこと
- 不倫が不貞行為にあたる場合は離婚事由に該当し、一般に慰謝料請求の対象になる
- 離婚をする場合は養育費などについて、公正証書という形で離婚協議書を作成すべき
不倫されたので離婚を決意しました。離婚をするにあたって、知っておくべきことはありますか?
不倫が不貞行為にあたる場合、一般に慰謝料を請求できます。離婚する場合は、養育費などについて公正証書という形で、離婚協議書を作成しておくべきです。
不倫をされたことの慰謝料請求
不倫が不貞行為に該当する場合は、原則として不倫についての慰謝料請求が可能です。
不貞行為の基本的な定義は、自由意思に基づいて、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことです。
不貞行為に該当するには、自由意思に基づく必要があるので、強姦された場合は不貞行為には該当しません。
配偶者が不倫相手と不貞行為をした場合は、不倫に関係なく婚姻関係が既に破綻していたなどの特殊な場合をのぞいて、基本的に慰謝料請求が可能です。
不倫されたことで慰謝料請求をする場合、配偶者だけでなく、不倫相手に対しても慰謝料を請求することができます。
具体的には、不倫の慰謝料請求の選択肢として、以下の3つがあります。
- 配偶者のみに慰謝料請求する
- 不倫相手のみに慰謝料請求する
- 配偶者と不倫相手の両方に慰謝料請求する
例えば、不倫の慰謝料として100万円が認められる場合、配偶者のみに100万円請求したり、不倫相手のみに100万円請求したりすることができます。
両方に請求する場合は、合計100万円の限度でそれぞれに請求します。例えば、配偶者に70万円請求した場合は、不倫相手には30万円の限度で請求することになります。
不倫は離婚原因となること
不倫が不貞行為にあたる場合、民法が定める離婚原因に該当します。
裁判を起こして離婚をする場合、どのような理由でも離婚できるわけではなく、民法が定める離婚原因に該当しなければなりません。
離婚原因には不貞行為・悪意の遺棄・3年以上の生死不明などがあります。
不倫が不貞行為(自由意思に基づいて、配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと)にあたる場合は、離婚原因に該当するので、裁判を起こせば離婚できる可能性があるのです。
離婚をするときに決めること
離婚をする場合、一般に以下の項目について決めておく必要性が高いです。
- 財産分与(夫婦の共同財産をどのように分割するか)
- 慰謝料を請求するか
- どちらが子どもの親権を持つか(未成熟の子どもがいる場合)
- 面会交流(親権者でない親が子どもと交流する方法)
- 養育費の金額・支払期間・支払い方法など(養育費を請求する場合)
- どのように収入を得るか、新居をどうするかなど
上記は離婚後の生活において特に重要な事柄なので、離婚をする前にあらかじめきちんと決めておくべきでしょう。
離婚の方法
離婚をする主な方法として、協議離婚や裁判離婚などがあります。
協議離婚とは、夫婦が話し合い(協議)をして、離婚することを決める手続きです。
協議離婚は夫婦の合意だけで成立するのが特徴であり、離婚の手続きの中ではもっとも簡素といえるでしょう。
夫婦が協議して離婚に合意し、離婚届を作成して役所に提出するだけで、基本的に協議離婚は成立します。
一方、夫婦の双方が合意しなければ協議離婚は成立しないので、どちらかが離婚に合意しない場合は、協議離婚以外の方法を考えなければなりません。
裁判離婚とは、離婚訴訟を起こして、裁判所の判決によって離婚する方法です。
離婚裁判では夫婦の双方が弁論や証拠の提出などを行い、裁判官が判決によって離婚を認めるかどうかを判断します。裁判所が離婚を認める判決が確定した場合、夫婦の片方が離婚に納得していなくても、離婚できるのが特徴です。
裁判離婚が認められるには、配偶者の不貞行為など、民法が定める法定離婚事由に該当する必要があります。
また、日本の離婚制度においては、離婚裁判をする前に必ず離婚調停をしなければならず、これを調停前置主義といいます。
離婚調停とは、家庭裁判所において調停委員や裁判官などの第三者を交えて、離婚条件などを調整しながら離婚の合意を目指す手続きです。
離婚調停が成立するには夫婦の双方が合意する必要があるので、どちらかが合意しなければ離婚調停は成立しません。
離婚調停が成立しない場合は、裁判官が審判によって離婚を決める審判離婚という方法もあります。
ただし、審判離婚をするには、離婚すること自体は双方が同意している必要があります。
協議離婚をする場合には公正証書にする
協議離婚をする場合は、離婚協議書を公正証書にすることをおすすめします。
離婚協議書とは、財産分与や養育費など、離婚に関する条件や取り決めを書類にしたものです。
協議離婚をする場合、離婚に関する条件や取り決めを離婚協議書にしておかないと、後で言った言わないのトラブルになりがちなので注意しましょう。
離婚協議書を作成する場合、公正証書にしておくことをおすすめします。
公正証書とは、公証役場で手続きをして、公証人に作成してもらう書類です。
離婚協議書を公正証書にすると、離婚にあたってどのような取り決めをしたかを客観的に把握できるだけでなく、離婚協議書の内容を守らなかった場合に、強制執行できるメリットがあります。
例えば、離婚協議書で養育費の取り決めをした場合に、もし相手が養育費をきちんと支払わなくなった場合、公正証書にしておけば強制執行できるのです。
不倫をされた側が離婚を有利に進めるには?
- 不倫された場合は、まずは証拠をしっかり集めること
- 相手と交渉や調停をする場合は、冷静に進めることが重要
配偶者に不倫をされたので、離婚を決意しました。離婚を有利に進める方法はありますか?
不倫をされた側が離婚を有利に進めるには、まずは証拠をしっかり集めることです。相手との交渉や調停の段階では、感情的にならずに冷静に進めましょう。
証拠をしっかり集める
不倫された側が離婚を有利に進めるには、まずは不倫の証拠をしっかり集めることが大切です。
裁判所は証拠を重要視して判断するので、不倫を証明するための証拠の存在は重要になります。
一般的に不倫の証拠になり得るものは、メール・SNS・写真・証言の録音などです。
調査会社に依頼する場合はそれなりの費用がかかりますが、報告書という形で不倫の詳細な証拠を取得できる可能性があります。
交渉・調停は冷静に進める
離婚について相手と交渉したり、離婚調停をしたりする場合は、冷静に進めることが大切です。
不倫されたことへの怒りから、つい感情的になるのも無理からぬことですが、相手の人格を否定するような言動をしてしまうと、不利になってしまう可能性があります。
交渉や調停ではできるだけ感情をおさえて、冷静に手続きを進めていきましょう。
弁護士に依頼する場合の2つの効果
不倫を理由に離婚をする場合に、弁護士に依頼すると2つの効果が期待できます。
弁護士に依頼すると、相手に対して適切な請求や交渉ができるようになります。
自分で相手と交渉する場合は、慰謝料を請求できるかどうかや、どのように話を進めていくのかなど、様々な課題を自分で解決しなければなりません。
離婚問題に詳しい弁護士であれば、慰謝料を請求できるか、どのように相手と交渉すべきかなどを熟知しているので、適切な請求や交渉が可能になるのです。
次に、弁護士に依頼することで、時間や精神的な負担を軽減することにつながります。
相手と交渉する場合は時間がかかりがちなので、新しい仕事や住居などを探す時間の余裕がなくなってしまう可能性があります。
また、相手と直接交渉をする場合は、不倫相手から心ない言葉を浴びせられるなど、精神的にも負担になりがちです。
弁護士に依頼すれば、自分に代わって弁護士が交渉をしてくれるので、時間や精神的な負担を大幅に軽減することが期待できます。
まとめ
このページでは、配偶者の不倫が原因で離婚をする場合に、知っておくべきことについて解説しました。
民法が規定する離婚事由として不貞行為がありますが、配偶者の不倫は一般に不貞行為に該当する可能性が高く、該当する場合は一般に、慰謝料請求の対象にもなります。
不倫を理由に協議離婚する場合は、後で言った言わないのトラブルになることを防止するために、親権や慰謝料など重要な事項について必ず離婚協議書を作成しておきましょう。
また、離婚協議書は公正証書として作成することをおすすめします。
不倫を原因とする離婚について不安や疑問点がある場合は、まずは離婚問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。