- 夫源病とは?
- 夫源病を理由として離婚できる場合とは?
- 夫が離婚に応じてくれない場合の対処法とは?
【Cross Talk 】夫源病を理由として離婚することはできますか?
夫源病を理由に離婚することは可能なのでしょうか。
夫源病が理由であっても離婚できる可能性はあります。
夫源病と離婚について詳しく教えてください。
夫源病という言葉をご存じでしょうか。夫源病に苦しんでいる方も多く、これを理由に離婚することができるのでしょうか。
このページでは、夫源病とはどのようなものなのか、夫源病を理由に離婚する場合にはどうすればいいのか、夫が離婚に応じてくれない場合どうすればいいのか、といった点についてお伝えしていきます。
夫源病とは?
- 夫源病とは?
- 夫源病になりやすい方の特徴とは?
夫源病とはどのような病気なのでしょうか。
夫源病とは、夫の言動を原因として妻側に心身の不調が発生することです。
夫源病とは?
そもそも「夫源病(ふげんびょう)」とはどのような病気のことなのでしょうか。
夫源病とは、夫の発言や行動によって妻の心身に不調が出てきてしまう状況のことを指す言葉です。
夫源病は、正式な病名ではなくある循環器医師が長年、中高年夫婦の患者さんを診療する際に気づき、カテゴライズし名づけた言葉であると言われています。
夫源病の原因や症状はケースバイケースでさまざま存在し、「夫が自宅にいると非常にイライラしてしまう」「夫が仕事から帰ってくる時間帯になると不思議と体調が悪くなる」、逆に「夫が長期間自宅を開けていると気分爽快である」などの症状があります。
以上のように夫源病とは、夫が原因で生じるストレスや体調不良のことを総称する俗称です。
したがって、夫と一緒に過ごす時間が精神的・肉体的に苦痛であると感じる場合には、夫源病になっている可能性があります。
夫源病になりやすい妻の特徴とは?
それでは、妻にどのような特徴がある場合に、夫源病になりやすいのでしょうか。
夫源病になりやすいタイプの妻側には、以下のような特徴があります。
・社会的に夫に依存している
・夫の経済力に頼っており経済的に自立していない
・自己肯定感が低い
・夫の行動や発言に不満を伝えることができない
・まずは自分に非があると考えてしまう
・完璧主義で些細なことにこだわってしまう
・他人の機嫌や顔色をいつも気にしている
・あとから後悔することが多い
以上のような特徴がある場合には、たとえ夫から不合理なことを言われ・されたとしても、「それは間違っている」と指摘することができません。夫に対して不快感を抱いている場合でも、見放されてしまうことに強い不安感も抱いている場合も多いでしょう。
完璧主義で家族や知人からの評価をとても気にして生きている方も、「自分の意見は間違っているかもしれない」「自分が我慢すれば収まることだ」と考えてしまいがちです。
逆に、妻を夫源病にする可能性がある夫には以下のような特徴が考えられます。
・自己中心的で常に夫の意見が妻に優先する
・妻の行動や言動を肯定することなく非難することが多い
・自分の話ばかりして妻の話を聞かない など
夫婦それぞれの特性の組み合わせによって、夫源病が引き起こされる可能性もありますので、その点には注意が必要です。
夫源病を理由にした離婚の可否
- 夫が同意してくれれば協議離婚・調停離婚ができる
- 夫が同意しない場合には、裁判離婚を請求する必要がある
夫源病を理由に離婚することはできるのでしょうか。
夫源病の場合であっても、一定の場合は離婚することが可能です。
夫が同意してくれれば協議・調停離婚が可能
夫源病が理由であっても、夫の同意が得られれば離婚することが可能です。
民法には、「夫婦は、その協議で、離婚することができる」と規定しており(民法第763条)、夫婦双方が話し合いによって納得した場合には理由を問わず離婚することができます。このような離婚を協議離婚といいます。
当事者間の話し合いだけでは協議離婚をすることができない場合には、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。
調停手続では、家庭裁判所の裁判官1名と市民の中から選ばれた調停委員2名で組織される調停委員会が当事者の間に入って、合意の道を探ることになります。
夫婦では話し合いができない場合でも、公正中立な調停委員が介入することで、離婚の話し合いが前進する可能性があります。
法定離婚事由に該当すれば裁判上の離婚が可能
夫の同意を得られない場合には、裁判所に訴えを提起して「裁判離婚」を請求する必要があります。
裁判離婚を請求する場合には、一定の離婚原因が認められなければなりません。裁判離婚ができる離婚原因を法定離婚事由といいます。
法定離婚事由には、以下のような5つの原因のうち少なくとも1つを満たす必要があります。
・配偶者に不貞な行為があったとき
・配偶者から悪意で遺棄されたとき
・配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
・その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
夫源病を理由として離婚をする場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する可能性があります。
これは婚姻関係の継続を期待できないほど夫婦関係が深刻に破綻した場合をいいます。
したがって、夫源病を理由に妻の心身に不調を来している場合には、夫婦関係が破綻していると認められる可能性があります。
夫が離婚に応じてくれない場合の対処法
- 別居し自立した生活を送る
- 調停離婚を目指す
夫が離婚に応じてくれない場合にはどうすればいいのでしょうか。
夫源病の場合で夫が離婚に応じてくれない場合の対処法を解説いたします。
別居して夫に依存せずに生活する
夫源病が原因で離婚をしたい場合、夫と別居して自立した生活を送ることが重要です。
物理的に夫と距離を開けることで、身体的・精神的に体調が回復する可能性もあります。
また、メンタル不調で精神疾患を患っているおそれがある場合には、適切に心療内科や精神科を受診するようにしてください。
診断書に夫源病と記載されることはありませんが、「夫による精神的虐待が原因」「本人が夫のハラスメント的な言動を訴えている」などと記載してもらえる可能性もあり、そのような場合には離婚するための重要な証拠となります。
また、夫源病は家庭内で起こる不調和が原因ですので、周囲の人間には理解してもらえないこともあります。夫源病でお悩みの場合には、一度夫婦間トラブルの解決実績が豊富な弁護士に相談されることがおすすめです。
離婚調停を申し立てる
夫源病を原因で離婚を検討している場合には、協議離婚・調停離婚ができないかを検討してください。
前述のように夫が離婚に同意せず、裁判離婚を請求するしかなくなった場合には、法定離婚事由に該当しているか否かが厳密に争われます。
したがって、まずは協議離婚・調停離婚によって離婚することを目指して話し合いを進めるべきでしょう。
ただし、夫源病の場合、妻から夫に離婚を切り出して手続を主導していくのは難しい場合もあります。このような場合には、弁護士に依頼するのが適切です。弁護士に依頼しておけば、妻の代理人として交渉手続や裁判手続を代行してもらえます。
そのため、妻の精神的な負担はかなり軽減されることになります。
まとめ
以上この記事では、夫源病を理由とする離婚ができるのか否かについて、場合分けをして解説してきました。
どのような症状があれば離婚することができるのか、どのような事情があれば夫婦関係が破綻しているといえるのかは、事案によって判断が異なります。
ご本人の判断で離婚することができるのか分からないという場合には、一度法律の専門家である弁護士にご相談されることをおすすめいたします。