離婚の原因や踏み切れない理由、対処法を解説いたします。
ざっくりポイント
  • 離婚に踏み切れない理由は人によって異なるが、離婚原因の第1位は「性格が合わない」、次いで生活費を渡さない、精神的な虐待
  • 配偶者が暴力をふるう、子どもに虐待する場合はシェルターに避難を
  • 離婚後の生活費のシミュレーション、弁護士への相談などを参考に判断を

目次

【Cross Talk 】離婚に踏み切れません。どうすれば良いのでしょうか?

配偶者と性格や価値観が合わず、離婚を考えていますが経済面を考えると踏み切れません。どうすれば良いのでしょうか?

合わないと思う部分についてお互い歩み寄れるように、まずは夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか?お金に関しては離婚後の生活費をシミュレーションしてみましょう。

詳しく教えてください!

離婚に踏み切れない理由とは?離婚原因や対処法を解説

「子どもがいるから離婚に踏み切れない」「お金のことを考えると離婚できない」など、離婚したいと思っていても踏み切れない方は多いのではないでしょうか。

経済面や子どもなど、離婚に踏み切れない理由は人によって異なりますが、裁判所の司法統計によると、裁判所に婚姻関係事件を申立てた動機で最も多いのは「性格が合わない」でした。
今回は、離婚に踏み切れない理由や婚姻関係事件を申立て方の動機、踏み切れない方の対処法を解説していきます。

離婚原因の第1位は「性格が合わない」踏み切れない理由とは

知っておきたい離婚のポイント
  • 2022年、家庭裁判所に婚姻関係事件を申立てた人のうち約44%が「性格が合わない」と回答(複数回答)
  • 「性格が合わないが離婚に踏み切れない」という方は、まず夫婦で話し合いを

離婚の原因として多いのは何でしょうか?

結果的に離婚とは限りませんが、家庭裁判所に婚姻関係事件数を申立てた方の動機の第一位は「性格が合わない」でした。夫婦で性格が合わず、調停や審判などを申立てる方が多いようです。

離婚原因の第1位は「性格が合わない」、次いで生活費を渡さない、精神的な虐待

裁判所の「2022 年司法統計年報3家事編 婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別※1」で、離婚調停など裁判所に婚姻関係事件を申立てた動機で最も多いのは「性格が合わない」でした。

申立てた方のうち約44%(夫・約60%、妻・約39%)が「性格が合わない」と回答(複数回答)しています。
次いで精神的な虐待が約25%、生活費を渡さないが約23%という結果でした。
現在「離婚に踏み切れない」という方の中にも「配偶者と性格や価値観が合わない」という方はいらっしゃるのではないでしょうか。

精神的な虐待は「モラルハラスメント」とも呼ばれています。生活費を渡さない行為は、配偶者が主な働き手の場合は夫婦の扶助義務や婚姻費用分担の義務を怠っていることになります。
夫婦には、民法第752条※2において「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という同居・協力・扶助の義務があります。

また、民法第760条では「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」という婚姻費用分担の義務が定められています。

上記のような理由で婚姻関係事件を申立てる方もいますが、「離婚に踏み切れない」という方も存在します。一体なぜでしょうか?

離婚に踏み切れない理由は、経済面など人それぞれ

離婚に踏み切れない理由は「離婚すると経済的に苦しくなる」「子どもがいるから」など人それぞれでしょう。
女性は離婚により姓が変わると住民票や社会保険などの手続きが必要で、「面倒」「周りに離婚を知られるのが恥ずかしい」と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
自身は離婚を希望しても相手が離婚に応じない場合もあります。

例えば「経済面が気になる」という方は、児童扶養手当※3やひとり親家庭等医療費助成制度※4など離婚後に受けられる支援・給付制度について調べてみましょう。
離婚後の生活費をシミュレーションすることも重要です。
子どもがいるため離婚を躊躇している方は子どもの意見を聞いてみる、相手が離婚に応じない場合は離婚調停を申立てるといった方法があります。

性格が合わないという夫婦は話し合いを

婚姻関係事件の申立ての動機で最も多い「性格が合わない」場合は、どうすれば良いのでしょうか?話し合っても解決しない、相手が話し合いに応じないときには調停を利用することが可能です。

調停は、離婚だけではなく「夫婦関係調整調停(円満)※5」といういわゆる円満調停も申立てることができます。
円満調停は、円満な夫婦関係を回復するための話し合いをします。
当事者双方から事情を聞き、夫婦関係が円満でなくなった原因や関係の改善などについて調停委員が解決案を提示する、解決のために必要な助言をするといった形で進められます。

離婚に踏み切れないという方への対処法

知っておきたい離婚のポイント
  • 配偶者が暴力をふるう、虐待をする、現在の生活が子どもへ悪影響を及ぼしている場合は離婚の検討を
  • 弁護士に相談することで、法律の観点からの対処法やアドバイスをもらえることが

離婚について、周りに相談できる人がいません。法律面で気になることがあり・・・調停や裁判をしなくても弁護士に相談して良いのでしょうか?

もちろん大丈夫です。初回相談無料の弁護士事務所や役所の法律相談などを上手く活用していきましょう。

暴力・虐待・子どもへの悪影響・・・踏み切れなくても離婚をした方が良い事例

たとえ離婚に踏み切れなくても、以下のような事例では少なくとも別居することをおすすめします。

  • 配偶者が暴力を振るう、モラルハラスメント(精神的な虐待)をする
  • 子どもを虐待する
  • 結婚生活により、心身に悪影響が生じている
  • 現在の生活が子どもに悪影響を与えている

上記は客観的にみて離婚した方が良いと思われる事例です。
夫婦の形はそれぞれで、他人から忠告やアドバイスを受けても婚姻生活を続ける夫婦は存在します。ただし、暴力や虐待は例外といえるでしょう。
暴力やモラルハラスメント、虐待の被害に遭っている方は、シェルター(避難施設)※6に一時的に避難できる可能性があります。

自身や子どもの心身を第一に考え、離婚を検討してみましょう。

離婚前の準備をしておく

離婚をする前に、まずは離婚後の生活費のシミュレーションや住まいについて考えておきましょう。
現在働いている方は離婚後も今の収入で生活ができるか、試算します。働いていない方は自身の職歴・資格などから考え、予想される収入でシミュレーションします。

離婚後の住まいは、①現在の家から2人とも転居する、②配偶者が家に住み続ける、③自身が家に住み続けるという3つのパターンがあります。
マイホームを購入した方は住宅ローンの残債に気をつけましょう。
住宅ローンの残債が売却価格を上回る「オーバーローン」状態の場合、家の資産価値はマイナスで分与時にトラブルが起こりやすい傾向があります。

財産分与は、夫婦が結婚中に築いた財産を分与します。
例えば夫婦のいずれか一方が名義人の不動産でも、実質的に夫婦の協力によって形成されたものであれば,財産分与です。
財産分与は半分ずつの割合が原則ですが、生活後の保障として多めに譲る場合、慰謝料として上乗せされることもあります。
子どもがいる方は、親権・養育費・面会交流についても取り決める必要があります。

弁護士に相談する

「慰謝料を請求できるか知りたい」「有利な条件で離婚できるのだろうか」などのお悩みがある方は、弁護士に相談することをおすすめします。

離婚問題に強い弁護士に相談することで、慰謝料の相場や条件の交渉について対処法やアドバイスをもらえるでしょう。
条件交渉は、弁護士に代理を依頼することも可能です。

まとめ

家庭裁判所に婚姻関係事件を申立てた動機として、最も多いものは「性格が合わない」です。
夫婦生活で性格が合わない、生活費を入れない、精神的に虐待するといった悩みがある方は弁護士に相談するという方法があります。
「夫婦の問題だから周りに相談しづらい」という方もいらっしゃるかもしれませんが、弁護士には守秘義務がありますので外部に漏れることはありません。
まずは無料相談から検討してみましょう。