配偶者のいびきと離婚について解説いたします。
ざっくりポイント
  • 配偶者のいびきで離婚したいときには、双方が合意すれば離婚は成立する
  • 合意が得られない場合、いびきのみが理由では離婚が認められない可能性が高い
  • クリニックを受診する、いびき防止グッズの活用などでいびき対策を

目次

【Cross Talk 】配偶者のいびきで離婚できますか?

配偶者のいびきがひどく、眠れずにとても辛いです。離婚できますか?

いびきに限らず、夫婦が合意すれば離婚は可能です。ただ、相手といびきについて話したことがなければまずは離婚の前に夫婦でいびき対策について話し合ってみてはいかがでしょうか?

詳しく教えてください。

配偶者のいびきで離婚はできるか、いびき対策について解説していきます。

寝室を共にしている夫婦のうち一方がいびきをするタイプの場合、「毎晩眠れない」と悩むことは少なくありません。
「たかがいびきで」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、いびきによって眠れない精神的苦痛や睡眠不足による心身の不調で「離婚したい」という考えにたどり着いてしまう事例があります。
そこで、いびきで離婚は可能か、どのような事情があれば法定離婚事由となるのか、離婚前に試しておきたいいびき対策について解説していきます。

配偶者のいびきで離婚は認められる?知っておきたい法定離婚事由

知っておきたい離婚のポイント
  • 夫婦が合意する「協議離婚」は可能
  • 裁判に発展すると認められる可能性は低くなる

配偶者のいびきがひどく「離婚したい」と言ってもまともに取り合ってもらえません。法律ではどうなっているのでしょうか?

民法によると裁判上での離婚理由は5つ(法定離婚事由)であり、いびきだけでは認められる可能性が低いでしょう。

双方が合意する「協議離婚」はできるが、裁判で認められる可能性は低い

「配偶者のいびきがうるさい」という理由で離婚できるのでしょうか?
基本的に双方の合意があれば協議離婚として離婚が可能です。ただし、相手が離婚に合意しない場合には難しいと言えるでしょう。民法では、離婚をするためには理由が必要です。
例えば配偶者が不貞行為をした、暴力をふるった、強度の精神病にかかったなどの場合が該当します。

民法で定められている「法定離婚事由」を見ていきましょう。

裁判などで離婚が認められる「法定離婚事由」とは?

民法770条では「裁判上での離婚」として「法定離婚事由」を規定しています。

第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1 配偶者に不貞な行為があったとき。
2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

「悪意で遺棄された」とは、事態が悪化することが分かっていながら夫婦の義務を怠ることです。
夫婦の義務には同居・協力・扶助などがあり、理由もなく家を出て行く、生活費を渡さないなどが義務違反となるでしょう。

「その他婚姻を継続しがたい重要な事由」とは、DVや虐待・長期間の別居・借金問題などが該当します。よっていびきが原因で別居し、長期間になった場合は離婚が認められやすいと言えるでしょう。

また、いびきを改善するように配偶者に数回に渡って提案しても拒否され、結果的に病気になってしまった場合も離婚が認められる可能性があります。

配偶者にいびきを指摘してない、いびきについて話し合ってない方はまず2人で話し合ってみましょう。
「いびき以外には特に配偶者に不満はない」という場合は、離婚をする前に以下の対策を試してみてはいかがでしょうか。

離婚前に試しておきたいいびき対策

知っておきたい離婚のポイント
  • 睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は睡眠外来などを受診、症状がいびきだけの場合は耳鼻咽喉科を受診する
  • 飲酒や喫煙を控える、肥満体型の方はダイエットをするなど生活習慣の改善も重要

いびきが原因で口論になり、暴力をふるわれました・・・。

いびきだけの場合は以下の対策で改善する可能性がありますが、暴力は心配ですね。弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

専門のクリニックを受診

睡眠中に何度も呼吸が止まる、浅くなるなど体の低酸素状態が発生する「睡眠時無呼吸症候群」になるといびきをする方が多いです。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の低酸素・日中の眠気などによるストレスを引き起こし、高血圧・脳卒中・心筋梗塞などの虚血性肺疾患の発生を増加させるおそれがあります。
また、いびきだけではなく他の病気を引き起こすリスクが生じてしまいます。睡眠外来やスリープクリニックなど専門の病院で受診するよう、配偶者に声をかけてみましょう。
症状がいびきのみの場合は、咽頭に問題がある場合が多いので耳鼻咽喉科の受診をおすすめいたします。

飲酒・喫煙を控える

飲酒・喫煙はいびきと密接な関係があると言われています。※4飲酒や喫煙を控えるよう配偶者と話し合ってみましょう。

肥満の改善

肥満が原因でいびきが出る人もいます。肥満はいびきだけではなく、生活習慣病を発症するリスクが高くなってしまいます。※
食生活の見直しと継続的な運動で、ダイエットに取り組むことを提案してみましょう。

※参照:厚生労働省e-ヘルスネット 肥満と健康

いびき防止グッズを活用する

口に貼るテープやマウスピースなど、いびきを防止するグッズを利用してみましょう。
睡眠時無呼吸症候群の場合には治療として「CPAP(シーパップ)」という機器を装着する方法があります。※

※参照:一般社団法人日本呼吸器学会 呼吸器Q&A  Q32 CPAP(シーパップ)とはどのような治療法ですか?

離婚したい!お悩みの方は弁護士に相談を

いびき以外にも離婚したい理由がある、いびきについて配偶者に取り合ってもらえないので離婚したいなどお悩みの方はまず弁護士に相談するという方法があります。
弁護士は法律の専門家で紛争解決のスペシャリストですので、相談することで法律に基づいたアドバイスや対処法が分かるでしょう。
相手と顔を合わせたくないという方は代わりに話し合ってもらうことができます。

まとめ

「配偶者のいびきだけが気になる」という方は、まず配偶者と上記のいびき対策を試してみることをおすすめいたします。いびきだけではなく離婚したい理由がある方、離婚を決意した方はまず弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。離婚問題に強い弁護士と一緒に手続きを進めていくことで、スムーズな問題解決が期待できます。