離婚の準備のやり方!絶対にNGな行為を知っておきましょう
ざっくりポイント
  • 離婚の準備の重要性
  • 離婚の準備の方法
  • 絶対にやってはいけないNG行為

目次

【Cross Talk 】離婚の準備はどのようにすすめれば良いですか?

夫と離婚をすると決めました。これから離婚の準備をしたいのですが、具体的にはどんな準備をすれば良いでしょうか?

離婚のための証拠集め・相手の資産の把握・離婚後の生活確保という観点から考えてみるといいと思います。くれぐれも準備なく突然離婚の宣言をするのはやめましょう。

そうですよね…詳しく教えてもらっていいですか?

離婚準備は何をすれば良い?

離婚をすると決めた場合に、必ず離婚の準備をする必要があります。離婚の準備には、証拠集め・相手の資産の把握・離婚後の生活の準備、の3つのパートに分けて検討すると良いでしょう。突然離婚の宣言をするなどの離婚が著しく不利となるNG行為と一緒に検討しましょう。

離婚をするにはどのような準備が必要か

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚の準備の方法
  • 主に証拠の収集・相手の資産の把握・離婚後の生活確保から考える

離婚にはどのような準備が必要ですか?

主に証拠の収集・相手の資産の把握・離婚後の生活確保から考えましょう。

離婚をする場合にはどんな準備が必要でしょうか。

離婚をするため理由を整理し証拠などを揃える

まず、離婚をするための理由を整理して、それを裏付ける証拠の収集が必要です。
協議で離婚をすることができれば証拠は必要ありませんが、相手が離婚に反対した場合には調停・裁判という、裁判所を利用した手続きの利用が必要です。

この場合には、離婚原因があることを主張することになるのですが、その理由や証拠などは離婚前から揃えておくほうが望ましいといえます。
離婚原因は770条1項各号に規定されており、3年以上生死不明というようなわかりやすいものもありますが、性格の不一致のような事由が「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」(民法770条1項5号)に当たると主張するような場合には、本当にそういえるのかを吟味することになります。

どのような点で性格が一致しないのかということを整理したうえで、そのことを裏付ける証拠を集めることで、裁判官や調停委員を説得していく必要があります。
逆にいうとこういった客観的な証拠が集まっている状況だと、相手も離婚はやむを得ないとして調停・裁判のような手続きにまで持ち込むことはせずに、協議離婚も優位に進められる可能性があります。
同様に、財産分与・慰謝料・親権・養育費などに関してどのような主張をするかを整理し、そのための証拠をきちんと収集しましょう。

相手の資産を把握する

次に相手の資産を把握しましょう。
例えば夫から生活費を振り込んでもらって、その中で家計をやりくりしているという場合、夫個人の資産としてどのようなものがあるか把握していないということも珍しくありません。
逆に、いったん妻に給与全額を振り込んだうえで、そこからお小遣いをもらっている夫は、夫婦の共有資産がどうなっているか把握していないこともあります。

離婚の交渉に入ると、例えば銀行預金を現金にして「すでに使ってしまった」と主張して実はへそくりにした・相手の知らない口座に移し替えたということも発生しえます。
離婚前から把握できるものについては把握しておくようにしましょう。

住居や仕事など経済的自立・精神的自立の準備をする

離婚の仕方や相手の収入にもよりますが、引っ越して生活する必要がある場合や、新しく仕事を始める必要がある方もいらっしゃいます。
また、離婚したうえで、新天地・新しい職場での生活となると、精神的負担も大きいでしょう。
経済的自立・精神的自立の見通しをたてておくことは重要です。

病気や怪我で働けない・働けても十分な収入が確保できないというような場合、相手に慰謝料や多めの財産分与・別居で婚姻費用の分担をしてもらうにしても、相手と折り合いがつかないと当面は貯金や少ない収入の中からやりくりする必要があります。
実家や兄弟からの援助を取り付ける、行政のサポートについての相談をするなどして、経済的自立・精神的自立の準備をしっかりしておくことが重要です。

離婚を申し出るタイミングを検討する

以上のような準備が整った場合には離婚を申し出るタイミングを検討しましょう。
タイミング次第では早めに別居をして、一定期間経過した後に離婚を申し出るほうが良いという場合もあります。
今までの夫婦の経緯によってどのような時期に離婚を申し出るのが適切か、離婚の準備が本当に進んでいるのか、を客観的に判断してもらうためには、早めに弁護士に相談しておくことをおすすめします。

準備なしにしてはいけないNG行為

知っておきたい離婚のポイント
  • 突然離婚の宣言をすると自分に不利になる可能性がある
  • 離婚届けを勝手に出すと刑事罰の可能性もある

なるほど…離婚の準備もなかなか大変そうです…。ところで離婚を請求する際に、これはやらないほうがいいということもあるんですか?

準備が整っていない段階で相手に離婚の宣言をするのは、相手も準備を始めることになるのでやめておいた方がいいと思います。

離婚をする際にやってはいけないNG行動とはどのようなものでしょうか。

1)なんの準備もせずに突然離婚を宣言する
なんの準備もせずに突然離婚を宣言する行為は絶対にやってはいけません。
離婚の宣言をしたうえで離婚の準備を…と考える方は多いです。
しかし、これによって相手が不貞行為をしている場合、証拠を掴まれないようにしばらく相手と会わないようにしてSNSなどの証拠になるおそれのあるものも消去する、預金を隠してしまう、などの行為に出ることもあり得ます。

これによって証拠がつかめない・相手の資産が把握できなくなるといった状態になってしまいます。
離婚においては双方に落ち度があることもあり、証拠がつかめなくなったうえで相手のほうが有利になる証拠が多くなると、自分はなお一層不利な状況になってしまうことも考えられます。

2)自立の見込みなく家を出る
DVなどで身の危険を感じているような特殊な場合を除いて、自立の見込みがまったくないまま家を出ることも控えましょう。
確かに昨今は漫画喫茶などの一時的に滞在するような施設が増えたので、突然家を出ても当面はなんとかなるかもしれません。
しかし、例えば別居をする間の婚姻費用分担請求を行ったり、協議離婚の請求を行ったりしても、実際に手元にお金が入ってくるまでには、時間が必要です。

3)離婚届けを勝手に出す
離婚届けに相手の氏名・住所などを勝手に記載して出してしまうことは絶対にやってはいけません。
離婚届けの提出は書面で行う行為なので、書面の提出さえすれば表面上の協議離婚は可能です。
しかし、協議離婚は双方の合意が必須なので、勝手に離婚届けを出された場合でも、離婚は無効であると主張されます。

また、勝手に相手の氏名を記載して印鑑を押して役所に提出する行為は、有印私文書偽造および同行使罪に問われ(刑法161条)・公正証書原本不実記載罪(刑法157条)に当たり得ますので、離婚届を勝手に出すのは絶対にやめましょう。

まとめ

このページでは、離婚の準備にどのようなものが必要かについてお伝えしました。
証拠の収集・相手の資産の把握・離婚後の生活という3つの観点から準備をすすめるようにしましょう。
どのような証拠が必要か、どのようなタイミングで離婚を申し出るかなどについては、弁護士に相談しながら行なうことをおすすめします。