- 離婚する場合にかかるお金
- 離婚時・離婚後にかかるお金
- 離婚したいけどお金がない場合の対処法
【Cross Talk 】お金がないのに離婚ってできますか?
夫と離婚を考えています。私にはあまり預貯金はなく、夫の口座で生活費をやりくりしていたので、金銭的な不安があります。離婚をするのは無理でしょうか?
相手に請求できるお金や、公的な扶助を受けることも可能なので、一度検討してみましょう。
よろしくお願いします。
離婚をするときには、手続きについては弁護士に依頼することが多く、また転居をするために費用が必要になるなど、どうしてもお金がかかることが多いです。結婚して妊娠・出産を機に仕事を退職する方も多く、離婚をする際にはお金がないということも珍しくありません。お金が無くても離婚はできるのでしょうか?離婚でどのようなお金をもらうことができるかと併せて検討しましょう。
離婚にかかるお金にはどのようなものがあるか
- 離婚にかかるお金にはどのようなものがあるか
- 別居に関する費用・手続きにかかる費用・弁護士に依頼する費用など
離婚する場合にかかるお金にはどのようなものがありますか?
離婚の手続き自体にかかる費用はそれほどではないのですが、弁護士費用や新しい生活を送るための費用は必要ですね。
離婚をする場合にはどのようなお金がかかるのでしょうか。
別居など新生活にかかる費用
離婚をすると決めたら、早晩別居することが殆どです。そのため、別居など新生活にかかる費用が発生する可能性が高いです。
従来の住居を退去するのであれば、引越し代や新居を賃貸するための費用などが必要です。
協議離婚・離婚調停・離婚裁判にかかる費用
離婚の手続き自体にかかる費用があります。
協議離婚の場合には、添付書類を収集して離婚届を市区町村役場に提出するだけです。
離婚調停・離婚裁判の提起にあたっては、申立書に添付書類を同封て提出し、裁判所に収入印紙と裁判所が使う切手代を納める必要があります。
離婚調停の場合には、収入印紙が1,200円分に、管轄する家庭裁判所が指定する切手を購入して納入します。
東京家庭裁判所に申立てをする場合には、100円×2枚、84円×8枚、10円×14枚、1円×10枚の合計1,022円分の切手が必要です。
離婚裁判の提起には、離婚のみの請求には13,000円が、財産分与の請求には1,200円・養育費等この看護に科する処分1,200円、収入印紙を申立書に貼付します。離婚とあわせて相手方に慰謝料請求する場合には、請求する金額に応じて、追加でかかる費用が変わります。
また、裁判所が手続きに使用する切手も事前に納めることが必要で、東京家庭裁判所の場合500円×8枚、100円×10枚、84円×5枚、50円×4枚、20円×10枚、10円×10枚、5円×10枚、2円×10枚、1円×10枚 の計6,000円分が必要です。
弁護士費用
離婚をする際には弁護士に依頼するほうが有利に進みます。
弁護士に依頼をする際には、
- 法律相談料
- 着手金
- 成功報酬
- 日当
がかかります。
現在、弁護士費用は自由化されているため、法律事務所や弁護士によって正確な費用は異なりますが、それぞれの一応の相場は、概ね次のとおりです。
内容 | 費用 |
---|---|
法律相談料 | 30分5,000円程度 |
着手金 | 約20万円~50万円(協議・調停・訴訟のどれを依頼するかによる) |
成功報酬 | 約20万円~50万円+獲得した金銭の約10% |
日当 | 半日で3万円 |
離婚により受け取ることができるお金
- 離婚する際に受け取ることができるお金
- 別居の際の婚姻費用の分担・財産分与・慰謝料・養育費など
離婚するときに相手に請求できるお金にはどんな種類があるのですか?
離婚前に別居するのであれば、婚姻費用の分担としてお金を受け取れます。離婚の際に受け取る金銭などとしては、財産分与・慰謝料・養育費があります。
離婚の際に受け取ることができるお金について確認しましょう。
婚姻費用の分担
正式な離婚前に別居をするときには、別居中でもお金を請求することができます。
これは、民法760条に規定する、婚姻中の婚姻費用の分担義務に基づくもので、別居していても夫婦がそれぞれ暮らすために請求することができます。
財産分与
婚姻中に夫婦が共同で築き上げた財産については、離婚時には財産分与という形で、財産の一部をこちらに渡すよう請求することができます。
慰謝料
相手が不貞行為を行ったような場合など、離婚するに至った原因によっては、精神的苦痛を伴います。
精神的苦痛を伴うような原因で離婚する場合には、慰謝料の請求をすることができます。
年金分割
相手が会社員として勤務している場合、厚生年金に加入しています。
離婚する場合には、年金も夫婦共有財産と考えられるので、納付した分を他方に分割する制度が年金分割です。
いますぐお金が入るわけではないのですが、年金を受け取る際に問題となります。
養育費
夫婦に子どもがいる場合、子どもを養育する親は相手に対して養育費の支払いを求めることができます。
一括で支払っても構いませんが、多くの場合では一定の時期まで毎月継続して支払うことになります。
離婚後に受け取ることができるお金
- 離婚後に状況に応じて受け取ることができるお金
- 児童扶養手当や家賃補助など
離婚した後にはどのようなお金が受け取れるのでしょうか。
ひとり親を補助するものについて確認しましょう。
離婚後に受け取ることができるお金について確認しましょう。
児童扶養手当
離婚によってひとり親になった場合に、児童に対して手当が支給されるのが、児童扶養手当です。
2022年11月現在、所得に応じて最大月額43,070円を2ヶ月に1回偶数月に受け取ることができます。
手続きは市区町村で行います。
児童育成手当
東京都では離婚してひとり親になった場合には、児童扶養手当とは別に、一定の条件を満たせば児童育成手当を受け取ることができます。
対象児童1人につき月額13,500円で、6月、10月、2月の年3回に分けて支給されます。
こちらも市区町村役場で手続きを行います。
母子家庭の家賃補助
住んでいる自治体で、家賃の補助をしていることがあります。
例えば、東京都千代田区では、ひとり親世帯などに、最大50,000円の家賃補助を最長5年間支給する「居住安定支援家賃助成」という制度があります。
自治体によって名称が異なるので注意しましょう。
ひとり親家族等医療費助成
ひとり親家族等に医療費の助成をする制度があります。
例えば東京都には、「ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)」と呼ばれる制度があり、医療費・薬剤費の負担を軽減することができます。
マル親医療証の交付を受け、対象となる医療機関で受診したり、後日役所で払い戻しを受けることが可能です。
離婚したいけどお金がない方の対処法とは?
- お金が無くても離婚をするための対処方法
お金が無くても離婚をしたい場合のなにか対処法はありませんか?
いくつか対処方法を検討してみましょう。
お金がなくても離婚をするためにはどのような対処方法があるでしょうか。
弁護士への相談は無料でできる
まず、法律相談は無料で行えます。
弁護士費用の相場として、30分5,000円程度の費用がかかることはお伝えさせていただいた通りです。
ただ、弁護士への相談は、市区町村や弁護士会・法テラスなどを利用すれば、無料で行うことができる場合があります。
また、弁護士の中には、より身近に相談をしてもらえるように、相談料を無料としているところもあります。
無料で弁護士に相談できるものを利用して、どのようなことができるのかを相談してみましょう。
ちなみに、東京新宿法律事務所では、初回の相談は無料となっているので、ぜひ利用してみてください。
別居をするときには婚姻費用分担請求
離婚の交渉に先立って別居をする場合には、婚姻費用分担請求を行いましょう。
離婚が確定するまでの収入源の確保を行うことで、じっくり離婚の交渉ができるようになります。
相手が自己破産しても養育費は請求可能
離婚をしたい理由が、相手の借金などにある場合、慰謝料・財産分与・養育費などの支払いをきちんと受けられないことがあります。
相手が借金をしている場合には、そのまま自己破産してしまうことも珍しくありません。
この場合、慰謝料・財産分与を請求する権利は、自己破産によって免責されてしまうので、請求できなくなります。
ただ、養育費に関しては、破産法では免責されないということになっており、自己破産をした後でも請求が可能です。
自己破産をして財産を失っている状況ですが、働いている場合には給与の一部を差し押さえ、毎月差し押さえた金額を振り込んでもらえます。
養育費の請求は諦めないようにしましょう。
行政による援助
上述したように、お金がない状況で暮らすにあたって、行政が援助をしてくれることがあります。
お金をもらうことのほかにも、例えばDVの被害にあっている際に一時的な住居としてシェルターを提供してくれるなど、金銭面以外の支援も受けられるかもしれません。
また、最後の手段として生活保護を受ける場合でも、行政への相談・支援の状況などがわかったほうがスムーズです。
まとめ
このページでは、お金がない場合でも離婚ができるかその対応策について、離婚にかかる費用とともにお伝えしました。
離婚後の生活と弁護士費用にお金がかかるのですが、婚姻費用の分担・慰謝料・養育費など請求できるお金もあります。
まずは無料で相談を行い、どのようなことができるのか検討してみることをおすすめします。