妊娠中に離婚するリスクについて解説
ざっくりポイント
  • 妊娠中に離婚をする場合の法律問題
  • 妊娠中に離婚するリスク
  • 妊娠中に離婚する場合に弁護士に依頼するメリット

目次

【Cross Talk 】今妊娠をしていますが離婚をするにはどんなリスクがありますか?

夫と離婚しようと思っています。実は妊娠中なのですが、やっぱり今は離婚しないほうがいいでしょうか?

妊娠中に離婚するリスクは大きいです。夫との交渉の途中で諦めてしまわないように是非私達を頼ってください。

詳しくお話聞かせてください。

妊娠中に夫と離婚するリスクとは?

妊娠中に夫が不倫をするなどで離婚を検討することもあります。妊娠中に離婚をするのは想像以上にリスクを伴いますが、どのようなリスクがあるかを知っておくと離婚をするにあたっての注意点も分かりやすいです。
妊娠中に離婚をした場合の法律上の取扱いと一緒に、どのようなリスクがあり、どのように対応していけば良いかを確認しましょう。

妊娠中に離婚をする場合の法律上の注意点

知っておきたい離婚のポイント
  • 妊娠中に離婚する場合に関係してくる法律上の規定
  • 子どもの親権などについて

妊娠中に離婚をする場合の法律上の注意点にはどのようなものがありますか?

関係がありそうな法律の規定を確認しましょう。

妊娠中に離婚する場合に関係してくる法律上の注意点を確認しましょう。

生まれる子どもの嫡出推定について

妻が婚姻中に妊娠した子については、夫の子と推定する規定があります。
また、婚姻成立200日後から離婚してから300日以内に生まれた子については、婚姻中に妊娠したものと推定する規定があります。

(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

後述する取扱いに影響するので確認しておいてください。

生まれる子どもを認知する必要の有無

離婚後に生まれた段階で子どもを認知してもらうことは多くの場合不要で、元夫を父親として扱うことが可能です。
上述したように、離婚後300日以内に生まれた子どもは夫婦の間に生まれたものと推定されます。
一方、離婚後300日を経過してから生まれてきた場合には、元夫へ認知を要求することになります。

離婚前の出産費用等

離婚前の出産費用等は、夫婦相互の扶助義務によって支払うべきものとされます。

(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

また子どもについては扶養義務があるため、夫に請求することが可能です。

(扶養義務者)
第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

離婚後の出産費用等

既に離婚しているため、婚姻費用として請求することはできません。
ただし、一般的には出産費用は折半して支払うべきと解釈されています。
婚姻していない男女が性行為で妊娠したときに、中絶費用については折半するという裁判例があります。この裁判例の考え方からすると、離婚後の出産費用等も折半すべきといえます(参考:東京高等裁判所平成21年10月15日等)。

生まれた場合の戸籍・氏

生まれた場合の戸籍について、上述の嫡出の推定が及ぶ場合には、夫婦の筆頭者の戸籍に入ります。
多くの場合には夫が戸籍の筆頭者であることが多く、夫の戸籍に入ります。
そのため、氏(苗字)も夫の氏になることになります。
一方で妻は離婚によって元の戸籍に戻り、氏も元の氏に戻るので、母と子の氏が異なる場合があります。
母が親権者となっている場合には不都合なので、家庭裁判所に子の氏の変更許可申立を請求することができます。

離婚後に生まれた子どもの親権

離婚後に生まれた子については、母が親権者となり、子の出生後に父に変更することができる旨が規定されています。

(離婚又は認知の場合の親権者)
第八百十九条 
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。

親権者は戸籍とは別に定められる点に注意が必要です。

離婚をする場合の慰謝料請求において考慮される

離婚をする場合には慰謝料請求が可能です。
妊娠している最中に浮気・不倫をされて離婚をする場合、妊娠していることは、慰謝料の計算上で考慮されます。
これは、妊娠している状況で離婚をしなければならなくなることは、妊娠していない状況よりも精神的な苦痛が大きいからです。
そのため、より多くの慰謝料を受け取る可能性があります。

子どもを妊娠中に離婚するリスク

知っておきたい離婚のポイント
  • 子どもを妊娠中に離婚するリスク
  • リスクを避けるために弁護士に相談・依頼を

子どもを妊娠中に離婚するリスクにはどのようなものがありますか?

経済的・肉体的・精神的リスクがあります。弁護士に依頼してくれればある程度リスクを和らげることが可能です。

子どもを妊娠中に離婚するリスクには次のようなものがあります。

経済的なリスク

一つ目は経済的なリスクです。
子どもの妊娠中・出産直後に収入を得る手段は限られています。
離婚をして養育費をもらえる・児童扶養手当をもらえる場合でも、生活をしていくためには不十分である場合もあります。
また、離婚をするときに当面の生活費に困るようなことがあると、慰謝料・養育費・財産分与の交渉で足元を見られてしまって、少ない金額での提案に応じざるを得ないこともあります。

肉体的なリスク

妊娠中は大変であるうえに、出産後も一人で子育てをするのは、肉体的にも大変です。
また、離婚についての法律や慰謝料の額などを調べる負担も発生します。

)精神的リスク

妊娠中や出産直後は精神的にも不安定となりやすく、加えて離婚の交渉をするのは精神的負担が大きいです。

離婚の交渉で諦めないように弁護士に依頼

以上のように、妊娠をしているときに離婚をすると、経済的・肉体的・精神的に非常に辛い状況に置かれる可能性があります。
上述したように、交渉で足元を見られてしまい、安い慰謝料などで妥協してしまうことも珍しくなく、長期間にわたって経済的困窮してしまう可能性も出てきてしまいます。
このような場合には、弁護士に相談・依頼して、離婚に関する交渉を任せてしまえば、相手との交渉における負担が軽減され、かつ慰謝料・養育費などをきちんと回収することができます。
法律的なサポートのみならず精神的なサポートも可能となり、離婚の交渉で諦めなくて済むので、弁護士に相談・依頼して交渉してもらうことをおすすめします。

まとめ

このページでは、妊娠をしている場合に離婚をするリスクを、離婚した場合に関係する法律の規定と併せてお伝えしました。
妊娠をしている場合に離婚をするのは経済的・肉体的・精神的に大変で、離婚に関する交渉を諦めてしまうことも珍しくありません。
弁護士に依頼して、離婚の際の負担を軽減することをおすすめします。