- 離婚する場合のペットの取り扱い
- ペットをどちらが引き取ることになるか
- 離婚後にペットに会いたい場合
【Cross Talk 】離婚するときにペットはどちらが引き取りますか?
夫と離婚することになりました。結婚しているときにペットとして犬を飼い始めたのですが、離婚する際にはどちらが連れて行くことになるんでしょうか?
明確に決められているものではないので当事者で決めるのですが、当事者で決まらない場合には調停や審判で決めることになります。どちらが連れて行くかはペットの世話の状況やどちらに懐いているか、経済面で飼育が可能かなどを総合的に判断します。
そうなんですね!詳しく教えてください。
離婚をする際にペットはどのように取り扱うのでしょうか?ペットは法律上、動産として取り扱うことになっており、財産分与によって処理されることになります。当事者で決められない場合には、調停・審判で決めることになるのですが、その際に考慮される要素がありますので、このページで解説いたします。
犬などのペットは離婚するときにどちらが引き取るのか?基準はあるの?
- ペットは離婚ではどのように扱われるのか
- 財産分与のルール
ペットは離婚するときにどちらが引き取るのでしょうか?
ペットは動産なので財産分与の対象になり、財産分与のルールに則って決められます。
犬などのペットは離婚するときにどちらが引き取るのでしょうか。
ペットは離婚において財産として取り扱われる
ペットは離婚する場合にどのように取り扱われるのでしょうか。
家族のようにかわいがっているペットですが、離婚時にどのように取り扱うかについては特に法律などでは定めていません。
そして、ペットは法律上財産として取り扱われることになり、離婚時には夫婦の財産をどうするかを決める財産分与のルールに則って、ペットの引き取り主も決められることになります。
結婚前から飼っているペットは特有財産として飼っていた側が引き取れる
財産分与のルールでは、結婚前から飼っているペットは、特有財産となるので、結婚前から飼っている方が引き取ることになります。
なお、必ずそうしなければならないというわけではないので、当事者の話し合いで、相手にペットを譲ってもかまいません。
結婚中に飼い始めたペットは財産分与の対象となる
結婚中に夫婦で飼い始めたペットについては財産分与の対象となります。
そのため、まずは当事者で話し合い、当事者の話し合いで決着がつかないときは、調停・審判で決定することになります(民法768条2項)。
なお、離婚から2年を超えると請求できなくなります(民法768条3項)。
犬などのペットの場合、財産分与ではどのような事情が考慮される?
- 調停・審判になった場合に、ペットを引き取る者を決めるためにどのような事情が考慮されるか
- 飼育の状況やどちらに懐いているか、飼育のための経済的状況を考慮する
私達の協議で決められない場合に調停や審判ではどのような事情が考慮されるのでしょうか?
飼育の状況やどちらに懐いているか、飼育ができる経済的状況なのか、などによって判断することになります。
犬などのペットの離婚時の財産分与で、当事者で協議が調わず調停・審判(あるいは離婚裁判)で決められる場合には、次の3点を総合的に考慮して決められます。
主にペットの世話をどちらがしていたか
婚姻期間中に主にペットの世話をどちらがしていたかという飼育の状況が考慮されます。
主にペットの世話を行っていたほうが、ペットに対する愛着も強いので、ペットを引き取るのが妥当だからです。
どちらに懐いているか
どちらに懐いているのかも考慮されます。
懐いている方が引き取るのが妥当であるからです。
経済面などペットの飼育が可能な環境にあるか
経済面などペットの飼育が可能な環境にあるかも考慮されます。
ペット不可の物件に賃貸しているような場合にはそもそも引き取りが困難です。また、経済的にペットが飼育できる状況にある方が引き取ることにするのが妥当です。
離婚後にペットと会いたい場合には
- 子どもとの面会交流のような規定はない
- 協議で定める場合には公正証書にしておくことが望ましい
離婚時に相手がペットを引き取るようになった場合に私がたまに合わせてもらったりできるのでしょうか?子どもがいる場合にはたまに会わせる面会交流がありますよね?
ペットについては面会交流に関する規定がないので、離婚時にきちんと定めなければならないでしょう。
離婚してペットを相手に渡した方は、ペットと会わせてほしいと請求はできるのでしょうか。
子どものように面会交流を定める法律の規定はない
この点、離婚した夫婦に子どもがいる場合、夫婦の一方が養育することになり、他方の親とは定期的に会う面会交流というものが定められています(民法766条)。
しかし、ペットについては子どもとの面会交流のような規定がなく、会わせてほしいという請求をしても、法的に実現する術がありません。
そのため、協議で会うことに合意できなければ、会わせてもらうように強制することができません。
当事者で合意した内容は公正証書に記載する
離婚後も会いたい場合には、財産分与の交渉をする中でペットと会う条件を相手方と交渉してみましょう。
当事者間で合意した場合には、きちんと文書化し、できれば公正証書として残しておくのが望ましいです。
まとめ
このページでは、離婚する際にペットはどちらを引き取るのか、を中心にお伝えしてきました。
ペットは財産として取り扱われるので、財産分与の規定に沿って引き取る方が決められます。
どちらがペットを引き取るのか争いがある場合に、考慮される要素もお伝えしましたので、交渉の際に参考にしてください。
ペットの引き取り手をどちらにするかをはじめ、離婚の交渉がうまくいかない場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめいたします。