離婚のための手続きと、離婚後に必要な手続きの概要
ざっくりポイント
  • 離婚をするのに必要な手続き
  • 離婚後に必要な手続き
  • 市区町村によって受けられるサポートがあるので積極的に利用する

目次

【Cross Talk 】離婚をするときに必要な手続きは?

夫と離婚をすることになりました。離婚で必要な手続きを知りたいのですが。

離婚自体の手続きとしては離婚届の提出がありますが、実は思った以上にやることが多いです。

そうなんですね!聞いておいてよかったです。詳しく教えて下さい。

離婚をする際に必要な主な手続きを確認

離婚をするときには様々な手続きが必要となります。離婚の手続きとして離婚届の提出があり、離婚後にも役所への手続きを中心として多くの手続きがあります。どのような手続きがあるのかを確認しておきましょう。

離婚の手続きには離婚届の提出が必要

知っておきたい離婚のポイント
  • 協議離婚は離婚届の提出が離婚の要件
  • 裁判などの手続きによる離婚をした場合でも離婚届の提出義務がある

離婚をする際には離婚届を必ず出さなければいけないのですよね?

はい。協議離婚は離婚届を提出しないと離婚にならないのですが、その他の離婚の場合には既に離婚は成立しており、戸籍法上離婚届も提出する必要があるという点の違いはあります。

離婚の手続きには離婚届の提出が必要です。

協議離婚

協議離婚の場合には離婚届の提出を行います。
協議離婚について定める民法764条では、婚姻が有効になるには届け出を行なうべきとする民法739条を準用しています。
そのため、離婚届の提出が離婚の条件となっています。

調停離婚・裁判離婚

離婚には協議離婚のほか、調停離婚・審判離婚・裁判離婚など、裁判所の手続きで行なう離婚手続きがあります。
これらによって離婚する場合、離婚の効力は調停が成立、審判・裁判が確定した時点で確定しています。
ただし、戸籍に反映させる必要があるので、離婚が成立してから10日以内に離婚届を提出する必要があります。

親権・養育費・慰謝料・財産分与の取り決め

離婚をするときには親権・養育費・慰謝料・財産分与の取り決めを行います。
子どもがいる場合、どちらの親が親権者となるかを決めて離婚届に記載しないと、離婚届は受理されません。
協議離婚の際には、養育費・慰謝料・財産分与は離婚時に決定しても構いませんし、離婚をしてから決定しても構いません。
ただし、財産分与は2年・慰謝料は3年と期間制限があるので注意をしましょう。
調停離婚・裁判離婚では、これらのことも手続きの中で決定されます。

離婚後にすべき手続き

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚後にすべき手続き
  • 生活が苦しくなりそうな場合の公的支援には時間がかかるので早めに市区町村に相談しておく

離婚後にすべき手続きにはどのようなものがありますか?

一通りお伝えしますが、特に注意してほしいのは公的支援が必要な場合には時間がかかることがあるので早めに市区町村に相談をしておく、ということです。

離婚後にすべき手続きを確認しましょう。

世帯主変更届け

離婚のパターンとして、夫が従来の住所から引っ越して、妻や子どもが従来の住所に残る場合があります。
このときに夫が住民票上の世帯主になっている場合で、世帯に複数の人がいて誰かを世帯主に決める必要がある場合には、世帯主変更届出が必要です。
これは世帯主に変更が生じた日から14日以内に行います。

住民票異動届け

離婚によって転居する側の方も住民票に関する届けをする必要があります。
同一市区町村で転居する場合には転居届を提出します。
違う市区町村へ引っ越す場合には、従来の住所では転出届を、新しい住所では転入届を提出します。

国民健康保険の加入手続き

専業主婦(主夫)や、扶養の範囲内で働いていた方は、新たに国民健康保険に入る必要があります。
手続きは、離婚から14日以内に行います。

加入している国民健康保険に関する手続き

自営業であるような場合に自分で国民健康保険に加入している場合には、氏名・住所の変更手続きを行います。
会社員で健康保険に加入しているような場合には会社がこの手続を行います。

児童手当・児童扶養手当

児童手当・児童扶養手当の受給手続きを行います。
児童手当は子どもがいれば受け取ることができるもので、児童扶養手当は一定の要件の母子家庭・父子家庭に支給されます。
親権者に児童手当が入るように変更が必要であれば変更を行なうとともに、養育費をもらえる見込みがないような場合には児童扶養手当の申請を必ず行いましょう。

印鑑登録

離婚によって姓・住所が変わる場合には、印鑑登録が必要な場合があります。
住所が変わる場合には、新たに印鑑登録をする必要があります。
住所が変わらない場合で、登録している印鑑が姓・名両方入っている場合には、新たに印鑑登録をする必要があります。
氏名だけの印鑑を登録している場合には変更の必要はありません。

国民年金に関する手続き

国民年金に関する手続きを行います。
基本的には国民健康保険と同一で、専業主婦(主夫)だった場合には加入を、自営業者である場合には変更を行います。
厚生年金に加入している場合には、会社に氏名・住所の変更を届出て、会社に手続きをしてもらいます。

年金分割

離婚時に厚生年金を分割する制度のことを年金分割といいます。
共働きのときには離婚時に合意もしくは調停・裁判の手続きよって決められた割合で、夫婦の一方が専業主婦(主夫)の場合には1/2の割合で(3号分割制度)、年金を分割することができます。

名義変更

財産分与として受け取ったものについて名義変更が必要なものがあります。
例えば、不動産を財産分与として受け取った場合には、不動産登記の名義人を変更する必要があります。
これをしないと、自分に不動産登記の名義がある元配偶者が勝手にそれを第三者に転売してしまうと、権利を主張できなくなります。

財産分与によって移転登記をする場合には、離婚協議書において対象となる不動産を特定して作成するなど、登記の際に添付することを想定してきちんと作成する必要があります。
書類作成の段階から、専門家に相談しておくなどして、スムーズに手続きできるように心がけましょう。
不動産の他には、自動車の登録などが挙げられます。

居住する市区町村に相談

離婚して一人で暮らしていくことになった、子どもと暮らしていくことになった、離婚によっていろんなパターンの新生活が考えられます。
その結果、生活をしていくのに非常に困難を伴うことになることもあります。
各自治体では生活に困難を抱える女性のために様々なサポートの制度があります。
経済的支援・子育て支援・就業支援など様々な援助がありますが、一般に知られていないものも多いです。
また、生活保護をはじめとした公的支援を受けるときには、実際問題として家庭の実態を市区町村が把握していることでスムーズに手続きが進むことになります。

生活に困難を抱える事情がある場合には、なるべく早く市区町村に相談をして、受けられるサポートを知ったり、状況を知っておいてもらって公的給付をスムーズに受けられるようにしておきましょう。

まとめ

このページでは、離婚の際の手続きについてお伝えしました。
離婚によってその方が置かれている状況に応じて、様々な手続きが発生します。
スムーズな手続きによって新しい生活を送るためにも、離婚問題に詳しい弁護士に相談しながら手続きを進めることをおすすめします。