離婚届の証人とは
ざっくりポイント
  • 協議離婚においては離婚届の提出に証人が必要
  • 証人は当事者以外の成人であれば誰でも良い
  • 証人を頼まれた方に特にデメリットはない

目次

【Cross Talk 】離婚届の証人は誰にお願いすればいい?

話し合いの結果離婚をすることになりました。離婚届を作成しているのですが、証人2人がサインをしなければならないところがあります。これは誰に書いてもらわなければなりませんか?

証人は当事者以外の成人であれば誰でも大丈夫です。特に証人になったからといって、例えば離婚当事者と結婚できなくなるなどの不利益もありません。

そうなんですね!聞いておいてよかったです。

離婚届の証人は当事者以外の成人であれば誰でも可。特に証人になったからといって何か義務が発生するわけでもない

協議離婚をする際には離婚届の記載欄に証人2名の記入が必要です。これは慎重に手続きを行なう観点から求められているもので、特に証人になったからといって法的な効力を発生させるわけではありません。なお2022年4月1日から成人の年齢が18歳に引き下がるので、多くのサイトで20歳以下としているものについて変更があります。

離婚届の証人とは

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚をする歳には離婚届を提出する
  • 協議離婚の場合には証人2名の署名が必要
  • 証人は当事者以外の成人であれば良く、証人になったとしても特に法的な効果はない

離婚届を提出する際の証人について改めて教えてもらっても良いですか?

はい、当事者以外の成人であれば誰でも証人になることができ、特に不利益になる法的な効果もありません。

離婚届の証人について確認しましょう。

離婚届の提出にあたって証人が必要

夫婦は協議で離婚をすることができるとされており(民法763条)、その際には婚姻の規定が準用されることになっています(民法764条)。
この764条は、婚姻を届け出る際に成年の証人2人以上の署名が必要であるとする、民法739条2項の規定を準用しているので、協議離婚をする際も成年の証人2人以上の署名が必要ということになります。
離婚は、夫婦関係を解消する結果、様々な法的な効果を生じる重要な身分行為です。
そのため、手続きを慎重に行なうという観点から、成年の証人2人以上の署名を必要としています。

離婚の証人の要件は成年であれば当事者以外は誰でも良い

離婚の証人の要件としては、

・当事者以外の人
・成年である

以上の2要件のみが規定されています。

当事者は離婚の証人になりえないので、当事者以外の方が証人となる必要があります。
また、証人となる方は成年である必要があります。
インターネット上では20歳以上と記載しているものが非常に多くあると思いますが、これは現在、成年は20歳とされているからで(民法4条)、2022年4月1日に改正された民法が施行されると、成年は18歳となるので、情報としては不正確になる点に注意をしておきましょう。
証人については、同じ民法で証人が必要とされる公正証書遺言を作成する場合のように、証人となることができない欠格事由のようなものはありません。
ですので、親・兄弟姉妹・友人や、協議のときに弁護士に依頼した場合には弁護士に証人になってもらってもかまいません。

2名はどちら側などの要件はない

証人は2名となっているのですが、この証人は一人は夫側から選んで、一つは妻側から選ぶ、というような決まりもありません。
そのため、例えば妻の両親に揃って証人になってもらっても差し支えはありません。

調停離婚・裁判離婚の場合には不要

離婚において証人を求めるのは、離婚による影響が大きく慎重に手続きを行なうためです。
そのため、既に慎重を期して手続きを進めている調停離婚・審判離婚・裁判離婚の場合には、証人は不要となっています。

離婚届の証人欄の記載

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚届の証人欄の記載方法
  • 訂正を行なう場合の方法

離婚届の証人欄には氏名・住所などを記載すると思うのですが、何か注意点はありますか?

戸籍謄本の通りに書いてもらうようにしてください。

離婚届の証人欄の記載方法について確認しましょう。

記載にあたっての注意

記載にあたっては必ずボールペン・万年筆で行ないます。
鉛筆・シャーペンなどの消せるものは使用してはいけません。
消せるタイプのボールペンも利用不可です。
記載する住所は住民票に記載されているとおりに、戸籍は戸籍謄本に記載されているとおりに記載します。
旧字や省略した字、旧姓を使っている場合には注意をしましょう。

記載は本人が行なう

離婚届の証人の記載は必ず本人が直接記載します。
代筆などは認められていません。
遠方に住んでいる方の場合には一度離婚届を送付し、記載して戻してもらうようにしましょう。
万が一勝手に人の名前を使って離婚届を提出した場合、有印私文書偽造・同行使という犯罪になります(刑法159条)。

印鑑についての注意

証人は離婚届に押印をします。
これは、いわゆるシャチハタと呼ばれているゴム印は不可ですが、認印でもかまいません。
なお、例えば妻の両親が2人で証人となる場合に、名字が一緒だからと同じ認印を使おうとする方がいますが、このときには違う認印を利用する必要があります。

訂正の方法

万が一書き損じたときには、必ず二重線を引いて訂正印を押して訂正を行います。
修正ペンや修正テープは使用してはいけません。

証人についての注意点

知っておきたい離婚のポイント
  • 証人になったからといってデメリットはない
  • 証人がどうしても見つからない場合には弁護士に依頼したり証人代行サービスを利用する

証人になってもらうと何か負担をかけないか心配です。

証人になったからといって、それによって義務などが発生することはなく、特にデメリットになることはありません。

証人についての注意点を確認しましょう。

離婚届の証人になるリスクはない

離婚届の証人になるリスクはありません。
離婚届の証人を頼みづらい原因として、証人になってもらうと、何かの義務を法的に課せられたり、再婚を予定している場合に証人と再婚できなくなるのではないか、と考えることがあります。
しかし、離婚届の証人になったとしても、法的な義務を課せられることや、再婚ができなくなるなどの手続き的な負担になる制度は一切ありません。
そのため、離婚届の証人になることに、リスクはありません。

外国人も証人にはなれる

外国人であっても証人になることは可能です。
ただし、実在していることを確認するために、日本に住民登録されている人であることを求められることがあるので注意しましょう。
署名はパスポートや在留カードに記載されている事項を記載し、本籍の欄には国籍を記載します。

証人が見つからない場合の処理

誰でも良いとはいっても氏名・住所・戸籍などを届け出るものである以上、面識のあまりない人には頼みづらいです。
その結果全く証人が見つからないというケースもあります。
このような場合には、弁護士に依頼して離婚をした場合には、その弁護士に相談してみれば、弁護士が同僚の弁護士や事務員と一緒に証人になってくれることがあります。

また、弁護士に依頼していない場合には、証人代行サービスを利用してみましょう。
証人1名につき3,000円~5,000円程度の費用で証人を引き受けてくれます。

まとめ

このページでは、離婚届に記載する証人についてお伝えしました。
成人している当事者以外の人であれば誰でもなれるうえに、証人になったからといって特にデメリットになることや負担になることはありません。
どうしても見つからない場合には、弁護士や証人代行サービスなどを利用することをおすすめします。