専業主婦(主夫)が離婚手続きを有利に進めるために重要なポイントとは?
ざっくりポイント
  • 専業主婦(主夫)が離婚を有利に進めるために重要な3つのポイントとは?
  • 離婚するための3つの方法とは?
  • 離婚する際に決めておくべきこととは?

目次

【Cross Talk 】専業主婦(主夫)が離婚を有利に進めるために大切なことは何ですか?

夫との離婚を検討していますが、現在専業主婦であり、特に離婚を有利に進めるためにはどうすればいいですか。

専業主婦(主夫)の方が離婚を有利に進めるためには、大きく3つのポイントを押さえておく必要があります。

3つのポイントについて詳しく教えてください。

女性が離婚を有利に進めるためには、3つのポイントがある

夫と離婚しようと検討している場合、専業主婦側が離婚手続きを有利に進めるために、3つの重要なポイントがあります。
このページでは、この3つのポイントに即して、専業主婦(主夫)が離婚を有利に進めるために重要となる要素について詳しくお伝えしていきます。

専業主婦(主夫)が離婚を有利に進めるための3つのポイント

知っておきたい離婚のポイント
  • 専業主婦(主夫)が離婚を有利に進めるための3つのポイントとは?
  • 離婚の手続きの種類、離婚時に決めるべきこと、離婚後の生活の確保がポイント

専業主婦として離婚を有利に進めるためにはどうすればいいのでしょうか。

離婚を有利に進めるために必要な3つのポイントについて解説いたします。

離婚を進めるための手続きを知る

専業主婦(主夫)が離婚手続きを有利に進めようとする場合には、まず離婚を進めるための「手続き・方法」について正確な知識を持っておくことが重要です。当然手続きや方法が異なれば、対処法や準備事項なども異なってきますので、それぞれの手続きがどのようなものでどのように進められるものなのかという点を簡単に理解しておいてください。

我が国における離婚手続きについて、大きく分けて以下の3つの方法があります。

・協議離婚
・調停離婚
・裁判離婚

それぞれの手続きについて、進め方も解決方法も大きく異なりますので、それぞれの手続きについて適切に理解しておく必要があります。

離婚で決めるべきことを知る

我が国の離婚事件については、その大部分を占める9割が協議離婚手続きによって進められているというデータがあります。
そもそも離婚することが夫婦によってベストの選択なのか、離婚する場合に今後の生活はどうしていくのか、子育てについて父母は今後どのように関与していくのか、子どもに会いたい場合どうすればいいのか、今ある財産はどうすればいいのか、配偶者から精神的苦痛を受けた場合どうすればいいのか、といった点について夫婦は離婚前には話し合って決めなければなりません。

ほとんどの離婚する夫婦が「調停離婚」や「裁判離婚」の手続きによらずに離婚をしているということは、ほとんどの事案で裁判所が関与せず当事者だけで解決しているということです。後述のように協議離婚では、夫婦が話し合いで合意できれば成立するため、複雑な手続きも厳格な離婚条件も求められていません。

しかし、そのようなメリットがある反面、当事者のみによる協議離婚の場合には第三者によって客観的に離婚内容の適切性をチェックしてもらうこともできません。離婚時に取り決めに漏れがあったり不十分であったりした場合には、事後的に紛争が蒸し返される可能性もあります。
ご自身だけで手続きを進めるのが不安だという方は、必ず法律の専門家である弁護士に一度相談されるべきでしょう。

離婚後の収入・住まいを確保する

離婚後に頼れるのは基本的にはご自身の収入のみです。
夫婦共働きであった人は引き続き仕事を継続することになり、婚姻期間中に専業主婦(主夫)であった人は新しく仕事に就く必要がある方が多いのではないでしょうか。

また離婚後は原則として別居して生活することになります。持ち家の財産分与を受けたり、実家に戻って生活したりする人以外は、賃貸マンションを新たに契約すること等が必要になります。
離婚後の生活を立て直すためにも、別居時の婚姻費用の分担請求、財産分与請求・養育費支払請求、慰謝料請求など、漏らすことなく適切な金額を請求しておくことが重要なポイントとなります。

離婚するための3つの方法

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚するための方法とは?
  • 「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」について解説

離婚するための方法にはどのような種類がありますか。

離婚するための手続きには、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3種類があります。

協議離婚


「協議離婚」とは、夫婦が話し合いによって合意することによって離婚を成立させること
です。
「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」として夫婦双方が話し合いで離婚を合意することができる「協議離婚」を規定しています(民法第752条)。

協議離婚では当事者が話し合って納得したうえで合意に至れば離婚することができ、離婚原因がどのようなものであっても離婚することができます。

調停・審判離婚


「調停離婚」とは、家庭裁判所の家事調停手続きを利用して進める離婚手続きのこと
です。
夫婦が話し合いによっては合意することができない場合や、そもそも相手方が話し合いを拒否する場合に活用することができます。

調停離婚では、夫婦間の話し合いによってお互いの妥協点を探るという点は協議離婚と共通していますが、家庭裁判所の裁判官と市民の中から選ばれた調停委員が当事者の間に入って事情を聴取するという点に協議離婚との違いがあります。
当事者は、調停委員を介して相手方と話し合いや交渉を行うことになるため、感情的にならず冷静に離婚手続きを進めていくことができます。

離婚調停が不成立(不調)で終わった場合、殆どの離婚条件が整っており、裁判官が相当と認めるときは一切の事情を考慮し職権で調停に代わる審判を下すことがあります。このような
家庭裁判所の裁判官の審判書にしたがって行う離婚のことを「審判離婚」
といいます。

離婚裁判

調停が不成立となった場合には、通常、裁判所に訴訟を提起して裁判によって離婚の可否を判断してもらう必要があります。

これを「裁判離婚」「裁判上の離婚」といいます。

裁判離婚の場合には、離婚できる条件が法律に定められています。民法には、裁判上の離婚を請求できる原因として5つの事由を法定しています。これを法定離婚事由といいます。

法定離婚事由として定められている離婚原因は以下のようなものです(民法第770条1項参照)。
・配偶者に不貞な行為があったとき
・配偶者から悪意で遺棄されたとき
・配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
・その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

離婚する際に決めるべきこと

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚する際に決めるべきこと
  • 適切な離婚条件を成立させることが離婚を有利に進めるためには重要

離婚をする際には、どのような事柄を決めておく必要がありますか。

離婚を有利に進めるためには、以下の事項について適切な条件で取り決めておく必要があります。

別居期間中の婚姻費用の分担

夫婦には、婚姻期間中の生活費を分担する義務があります(民法第760条)。
したがって、同居している期間のみならず別居している期間についても、婚姻生活が継続している限りは婚姻費用として生活費を分担しなければなりません。

そのため、夫婦の一方が他方の配偶者に対して婚姻費用として不足している生活費を支払うことになります。婚姻費用を受け取る権利のある当事者は、一般的には請求時から離婚するまでの生活費の支払いを受けることができます。

親権・面会交流

離婚する夫婦は、話し合いで未成年の子どもの親権者を決定することができます。
親権者ではなくなった方の親は、定期的に子どもと面会を求めることを要求することができます。非監護親と子どもとの交流は子どもの成長のために必要不可欠なものであると考えられており、離婚時にはこの「面会交流」の具体的な実施方法について合意しておくことができます。

養育費の支払い合意

「養育費」とは未成熟の子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要となる費用のことです。養育費については子どもが成人するまで別居して暮らす親にも負担義務がありますので、離婚してからも元配偶者に請求することができます。
養育費は離婚後に子どもの生活を支える重要なお金になりますので、離婚時に適切に取り決めておく必要があります。

財産分与の請求

「財産分与」とは、婚姻期間中、夫婦が協力して蓄えた財産を公平に分与するように請求できる権利です。財産分与について離婚協議中に協議が調わなかった場合、離婚のときから「2年」以内であれば家庭裁判所に協議に代わる処分を請求することができます。また、夫婦のいずれかに属するか明らかでない財産は夫婦の共有に属すると推定されます。
財産分与によって、夫婦共有財産について自分の権利がある部分を適切に受け取ることができます。

慰謝料の請求

離婚するにあたって、有責配偶者から精神的苦痛を受けた場合には、相手に対して慰謝料を請求できる可能性があります。

慰謝料は、不法行為に基づく損害賠償請求権の一種ですので、加害者の故意・過失、被害者の権利・利益侵害、損害の発生、因果関係といった不法行為の成立要件を加害者側が主張・立証する必要があります。
相手方の不法行為(不貞行為やDV・モラハラ)、損害が認められるためには、有効な証拠を示して事実を立証していくことになります。

まとめ

このページでは、女性が離婚を有利に進めるために大切なポイントについて詳しく解説してきました。
お一人では、離婚を有利に進められるか不安という方は、ぜひ離婚事件について豊富な経験を持っている弁護士に相談するようにしてください。
あなたに適切なアドバイスや充実した法的サポートを受けられるはずです。