離婚裁判の流れや費用、平均期間などについて解説
ざっくりポイント
  • 離婚裁判の流れとは?
  • 離婚裁判にかかる期間や費用とは?
  • 離婚裁判を有利に進めるためのポイントとは?

目次

【Cross Talk 】離婚裁判はどのように進んでいくのでしょうか?

離婚裁判を起こした場合、どのような流れで進んでいくのでしょうか?

離婚裁判の大きな流れとしては、訴状の提出により始まり、裁判所で口頭弁論・証拠調べが行われ、判決が出されることになります。

離婚裁判について詳しく教えてください。

離婚裁判の流れ、費用、期間などについて解説

離婚裁判を起こした場合には、どのような流れで手続きが進むのでしょうか。また、離婚裁判を起こした場合にかかる期間の長さや、費用はどのくらいなのでしょうか。
この記事では、上記の疑問点とあわせて、離婚裁判を有利に進めるためのポイントについても解説していきます。

離婚裁判とは

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚裁判とは?
  • 原則として離婚裁判の前に離婚調停を申立てる必要がある

離婚裁判とはどのようなものでしょうか?

ここでは、離婚裁判の概要について解説します。

離婚裁判とは、夫婦のうち離婚を希望する方が、裁判所に離婚を請求し、裁判所の判決をもって離婚の可否を判断してもらう手続きのことです。離婚裁判は協議離婚や調停離婚などの方法によっても離婚できない場合に提起することができます。

また、離婚裁判を提起するためには、民法が規定している一定の離婚原因に該当している必要があります。このように離婚裁判を請求するために民法が必要としている離婚原因のことを、法定離婚事由といいます。

法定離婚事由として、以下のように5つの離婚原因が規定されています(民法第770条1項)。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

ただし、離婚裁判を提起しようとする場合には、原則として家庭裁判所の離婚調停を行った後である必要があります。このようなルールを調停前置主義といいます。
調停前置主義が採用されている理由は、離婚問題については、いきなり裁判手続きによって強権的に判断するのは適切ではなく、できる限り夫婦による話し合いによって解決できることが望ましいと考えられているからです。

離婚裁判の流れ

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚裁判の流れとは?

離婚裁判はどのような流れで進んでいくのでしょうか?

ここでは、具体的な離婚裁判手続きの流れについて解説していきます。

裁判所に訴状を提出

離婚裁判は、家庭裁判所に原告が訴状を提出することで始まります。原則として夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所に訴状を提出する必要があります。訴状には次の事項を記載する必要があります。

  • 「訴状」という表題
  • 訴状の作成年月日
  • 提出先の裁判所名
  • 訴状提出者の氏名、押印
  • 事件名
  • 訴訟物の価額
  • 貼用印紙額
  • 原告の住所氏名、電話番号、ファクシミリ番号、書類の送達場所
  • 被告の住所氏名、電話番号等
  • 請求の趣旨(原告の被告に対する請求の内容)
  • 請求の原因(請求の趣旨を根拠づける具体的な事実)
  • 証拠
  • 付属書類

第1回口頭弁論期日の指定・答弁書の提出

訴状が適法に提出された場合、裁判所は第1回口頭弁論期日を指定し、原告と被告に通知します。
被告に対して訴状の写しが送達され、答弁書の提出期限が設定されます。被告の答弁書の提出期限は、一般的に第1回口頭弁論期日の1~2週間前です。被告は、答弁書において、訴状に対して認否反論を記載することになります。

第1回口頭弁論期日

口頭弁論は公開の法廷で行われ、訴状や答弁書の陳述が行われます。代理人として弁護士が就任している場合には、本人に代わって弁護士が出廷することになります。被告の認否反論に基づいて争点が明確化し、双方の主張・反論が行われることになります。
通常、第1回の期日で審理が終結することはなく、必要に応じて弁論期日・弁論準備期日が繰り返されます。期日は1か月に1回のペースで開催されることが一般的です。

証人や当事者の尋問

数回の弁論期日・弁論準備期日を経て、主要な争点が整理され、当事者双方が証拠に基づき立証を尽くすことになります。離婚裁判では、証人や本人への尋問が行われることがあります。
本人尋問では、原告または被告本人が代理人弁護士や裁判官からの質問に答える証拠調べ手続きです。本人が話した内容は供述証拠として証拠資料となります。

例えば、原告の本人尋問は以下のような流れで進みます。

  • 主尋問:原告代理人弁護士から原告本人への質問
  • 反対尋問:被告代理人弁護士から原告本人への質問
  • 再主尋問:原告代理人から原告本人へ再質問
  • 補充尋問:裁判官から原告本人への質問

判決の言い渡し

尋問手続きが終わると、裁判官から和解の勧告がなされる場合があります。離婚裁判が進行している間であっても和解により紛争を終結することは可能です。
和解ができない場合には、弁論が終結し、判決により離婚が判断されます。判決書が原告・被告の双方に送達されます。

離婚を認める判決が確定した場合には、判決の確定から10日以内に判決謄本と確定証明書を添えて離婚届を役所に提出することで離婚が成立することになります。

離婚裁判にかかる費用

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚裁判にかかる費用とは?

離婚裁判をする場合、どれくらいの費用がかかりますか?

ここでは、離婚裁判にかかる費用の項目やその相場について解説します。

離婚裁判を提起する場合には、裁判所に納める収入印紙代や、送達にかかる郵便切手が必要となります。また、離婚訴訟を弁護士に依頼する場合には、弁護士費用も必要となります。

まず、離婚訴訟を提起する場合、必要となる収入印紙は以下の通りです。

  • 離婚(親権者の指定を求める場合も含む)のみの場合:1万3000円
  • 離婚とあわせて財産分与求める場合:1200円を加算
  • 養育費等の子の監護に関する処分を求める場合:「1200円×子の人数」を加算
  • 慰謝料を請求する場合:上記手数料と慰謝料請求に対する手数料の合計額

また、郵便切手代については、裁判所によって異なりますので、管轄の家庭裁判所に事前に確認しておく必要があります。なお、東京家庭裁判所の予納郵便切手額は6000円となっています。

さらに、弁護士に離婚訴訟を依頼した場合には、次のような弁護士費用がかかります。

  • 相談料
  • 着手金
  • 成功報酬
  • 日当、実費 など

離婚訴訟を弁護士に依頼した場合に必要となる弁護士費用の相場としては、全体として70万~120万円程度となります。ただし、具体的な弁護士費用については、依頼する法律事務所によって異なりますので、事前に確認しておく必要があります。

離婚裁判にかかる期間の平均とは?

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚裁判にかかる平均的な期間とは?
  • 離婚裁判には約1年~2年程度の期間がかかる

離婚裁判にはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。

一般的に離婚裁判にかかる期間は1年以上2年以内と言われています。

最高裁判所が公表している統計資料によると、2022年の人事訴訟事件のうち離婚訴訟の平均審理期間は「14.7か月」となっています。また、このうち、被告が口頭弁論期日において弁論をし、判決まで至る事件の平均審理期間は「19.8か月」となっています。

このように、離婚裁判が長期となる理由としては、離婚原因が存在するか、子がいる場合、養育費、親権、面会交流の条件をどうするか、財産が多くある場合どのように財産分与を行うかといった具合に、争点が多岐にわたることが多いためです。

したがって、一般的に離婚訴訟にかかる期間は1年以上2年以内であると考えることができるのです。

離婚裁判を有利に進めるポイント

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚裁判を有利に進めるためのポイントとは?
  • 離婚事件に強い弁護士に相談すべき

それでは、離婚裁判を有利に進めるためには、どうすればいいのでしょうか?

ここでは、離婚裁判を有利に進めるためのポイントを解説していきます。

裏付ける証拠を用意しておく

離婚裁判を有利に進めるためには、主張する事実を裏付ける証拠を収集し確保しておくことが重要です。そのため、争いとなりそうな事実を把握して、適切に証拠を収集・保管しておく必要があります。有利な事実を主張したとしても、それを立証する証拠が不十分な場合には、裁判に勝てる可能性が低くなり、慰謝料の請求も認められません。

そのため、離婚裁判を起こす前には、相手方の不貞やDVを証明することができる十分な証拠を収集・保管できるかという点を慎重に検討して判断する必要があります。

弁護士に相談する

離婚裁判を有利に進めるためには、早期に弁護士に相談しておくことが重要です。上述のとおり、離婚の場合争点が多岐にわたることも少なくなく、離婚調停手続きも合わせると争いが長期化することも多いです。離婚裁判の経験が豊富な弁護士に依頼することで、法的に有効な主張を構築してもらうことができるだけでなく、長期化する手続きの多くを弁護士に任せることができます。弁護士は客観的な証拠に基づいて説得的な主張を行ってくれるため、本人の意向に沿う形で訴訟を進められる可能性が高まります。有利な証拠と主張に基づき、慰謝料を請求した場合の金額が増額できる可能性もあるため、これから離婚を考えている場合には、まずは今後の対応について弁護士に相談するようにしてください。

まとめ

この記事では、離婚裁判の流れや費用、手続きにかかる平均的な期間などについて解説してきました。
離婚訴訟で勝つためには、訴状の提出によって訴訟を提起し、弁論・証拠調べを経て、離婚を認める判決を得る必要があります。また、離婚訴訟を有利に進めるためには、離婚訴訟に強い弁護士に事件を依頼する必要があります。
当事務所には、離婚事件の経験豊富な弁護士が在籍しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。