不貞行為の立証が難しい場合の対処法について解説いたします。
ざっくりポイント
  • 不貞行為とは自分の意思で性的関係を持つ、風俗店に通うといった場合に認められる可能性がある
  • 慰謝料を請求する人は、裁判で不貞行為があったことを証明する責任がある
  • 証拠が集まらないものの離婚したい場合などは弁護士にご相談を

目次

【Cross Talk 】不貞行為の証拠が見つからない・・・どうすれば良い?

配偶者のスマートフォンの画像を見て、不貞行為が発覚しました。その後証拠を集めようとしたら画像が消されていました。どうすれば良いのでしょうか?

不貞行為を立証できないと、慰謝料請求は困難になるでしょう。離婚はできる可能性があります。慰謝料の請求をしたい場合は、調査会社に依頼し証拠を集めましょう。

詳しく教えてください。

不貞行為で慰謝料請求や裁判をしたい場合は証拠の収集を

配偶者の不貞行為の立証が難しい場合は、どうすれば良いのでしょうか?
慰謝料を請求したい、裁判で離婚する場合では、不貞行為を証明する必要があります。

一方で「慰謝料はいらない、配偶者は離婚に同意している」という場合、証拠は不要です。
慰謝料請求をしたい、協議や調停などで決着が付かず訴訟を起こしたいものの証拠が集まらない場合は、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめいたします。

今回は、不貞行為の定義と裁判で認められる場合・認められない場合、不貞行為が認められる証拠の具体例、証拠が無く相手が認めない場合の対処法を解説していきます。

不貞行為は立証できなければ慰謝料の請求が難しい

知っておきたい離婚のポイント
  • 不貞行為とは、自分の意思で配偶者ではない人と性行為をすること
  • 配偶者や不貞相手と話し合う前に証拠を集めておく

配偶者の不倫が許せません!慰謝料請求はできますか?

慰謝料を請求するにあたっては、不貞行為を証明する必要があります。まずは証拠を集めましょう。

不貞行為の定義とは?認められる場合と認められない場合

不貞行為の定義は一義的に定まっているものではありませんが、一般的に、不貞行為とは、
自由な意思のもとで配偶者ではない人と性的関係を持つこと
とされています。
例えば自分の意思に反して性的関係をもってしまった場合は不貞行為ではありません。

線引きが難しい面もありますが、以下の事例が不貞行為として認められる可能性が高いでしょう。

  • 自分の意思で性的関係を持つ
  • 不特定の相手と売春・買春
  • 風俗に通っているなど

一方で、夫婦関係が破綻して別居した後に異性と性的関係を持った場合では認められる可能性は低いでしょう。

民法770条1項では、法定離婚原因について記載されており、その1つが「配偶者に不貞な行為があったとき」とされています。

民法770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき

配偶者に不貞行為をされて離婚したいものの、協議離婚が難しい方は調停や訴訟において離婚することが可能です。
ただし不貞行為の証拠がないと慰謝料請求や離婚が難しくなってしまいます。

不貞行為を立証できなければ、慰謝料請求等は難しい

不貞行為の慰謝料は、不法行為(民法709条※1)に該当するとして、慰謝料請求が認められます。

民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う

不貞行為により夫婦関係が破綻し離婚することになった=平穏な婚姻関係の維持という権利・利益を侵害されたといえるため、慰謝料請求が可能です。

慰謝料は、配偶者と不貞相手に対して請求できますが1人に請求しても2人に請求しても金額は変わりません。不貞相手に関しては「故意または過失によって」権利侵害をしたことを立証することが要となります。
配偶者が既婚者と知っていながら不貞行為をした、明らかに既婚者と分かる状況でありながら気が付かずに不貞行為に及んだ場合に慰謝料請求が可能となります。

自身が不貞行為を知っていることを配偶者や不貞相手に告げてしまうと証拠を隠されてしまうおそれがありますので、できれば証拠を集めてから慰謝料請求を行いましょう。

「別居していて証拠を集められない」「精神的に辛い」という方は、調査会社に依頼するという方法もあります。

裁判では慰謝料を請求する側が立証責任を負う

裁判では基本的に訴訟を起こした人が主張する事実について証明をする責任(立証責任)を負います。
立証できなかった際には不貞相手から逆に名誉毀損等として慰謝料請求されてしまうおそれがあります。

不貞行為の慰謝料請求で裁判をする場合、証拠を集めてからにしましょう。
裁判をせずに、協議での慰謝料請求も可能です。
ただし相手が不貞行為を否定する可能性もありますので、任意の話し合いでも事前に証拠は集めておきましょう。

任意の話し合いは「配偶者や不貞相手と顔を合わせたくない」という場合が多いですが、弁護士に代理を依頼すると
直接顔を合わせず交渉が可能
です。

証拠が無く相手が認めないときの対処法

知っておきたい離婚のポイント
  • 不貞行為があったことが明確に分かる画像や音声、メールの履歴などが証拠となる
  • 立証が難しい場合はまず弁護士に相談を

不貞行為の証拠が無く、配偶者にも否定されますがもう離婚したいです。どうすれば良いでしょうか?

まずは弁護士に相談することをおすすめします。別の事由で離婚を提案するといったアドバイスをもらえるでしょう。

不貞行為が認められる証拠の具体例

不貞行為の証拠には例えば以下のものが挙げられます。

写真・音声・録画
不貞行為があったことを認める書類
メール・メッセージアプリ・SNS
レシート・クレジットカードの明細書

写真やメールなどは、いずれも不貞行為があったことが明確に分かるものが証拠です。

例えば配偶者のスマートフォンに不貞行為をしたことが分かる写真・メール・メッセージアプリの履歴がある場合、自身のスマートフォンに転送し送信した履歴は消しておくことをおすすめします。

ラブホテル・プレゼントなどのレシート・クレジットカードの明細書も証拠となる可能性があります。
帰宅・外泊した日時をメモしておき、他の証拠とあわせて提出することで信ぴょう性が高くなる場合があります。職場での不貞など第三者の証言が証拠となることもあります。

立証が難しい場合の対処法

証拠を集められず立証が難しい場合はどうすれば良いのでしょうか?

まずは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することによって、自分では気づかなかった点について法律の専門家にアドバイスをもらうことも可能です。

不貞行為ではなく「婚姻を継続しがたい重大な事由」によって夫婦関係が破綻し、離婚を提起する事例もあります。

まとめ

配偶者が不貞行為をしているものの証拠がない、不貞行為の疑いがあり慰謝料を請求したい場合などでは、弁護士への相談をおすすめいたします。
証拠が不十分またはない状態で訴訟を起こすと、逆に不貞相手から慰謝料を請求されてしまう可能性があります。
法律の専門家である弁護士に相談し、一緒に対処法を探っていきましょう。