専業主婦が離婚をする場合に、あらかじめ知っておくべきポイントを解説いたします。
ざっくりポイント
  • 専業主婦が離婚する際、住居や仕事の確保などに苦労する場合がある
  • 慰謝料・財産分与・養育費などはなるべく公正証書にしておく
  • 児童扶養手当など公的扶助制度を確認しておくことも重要

目次

【Cross Talk 】専業主婦が離婚する場合、どんなことに注意すべき?

私は専業主婦ですが、離婚を考えています。専業主婦が離婚する場合、どのようなことに注意すべきですか?

専業主婦が離婚する場合、住居や仕事探しなどに苦労する場合があります。慰謝料や養育費を公正証書にしたり、公的な扶助制度を把握したりなどが重要です。

離婚する場合、様々な苦労の可能性があるんですね。他にも知っておくべきポイントがあれば教えてください!

専業主婦が離婚する場合の苦労や、知っておくべきポイントを解説。

専業主婦が離婚する場合、住居や仕事など、新しい生活の基盤を見つけるのに苦労する可能性があります。
離婚によって年金が少なくなったり、元夫が慰謝料や養育費を払わなくなったりなどのリスクもあります。

そこで今回は、専業主婦が離婚する際に知っておくべきポイントについて解説いたします。

専業主婦が離婚する際に苦労すること

知っておきたい離婚のポイント
  • 専業主婦が離婚する際、様々なことで苦労する可能性がある
  • 住居の確保・離婚後の生活費・慰謝料や養育費を支払わないなどの問題が発生する可能性がある

離婚を考えているのですが、専業主婦が離婚した場合、どのようなことに苦労しますか?

専業主婦が離婚した場合、住居の確保・離婚後の生活費などで苦労する場合があります。元夫が慰謝料や養育費をきちんと支払わない可能性も考えられますね。

別居・離婚直後の生活費に困ることがある

専業主婦の方が離婚する場合、離婚後の生活が成り立つかについて考える必要があります。
離婚後は、離婚条件に定めたこと以外、元配偶者から生活費の援助を受けることは期待できません。

離婚後の生活が心配な場合、財産分与(婚姻期間中に定めた財産を公平に分配することをいいます。)の話をしっかりする必要があります。
財産分与は、離婚後に取り決めをすることもできますが、2年間で時効になってしまいますので注意が必要です。

また、相手方に離婚の原因がある場合、慰謝料請求をすることも可能なケースがありますので、離婚後の生活に困らないように、しっかり請求しましょう。
離婚慰謝料は、離婚した日から3年で時効になりますので注意してください。

婚姻期間中に別居をしている場合には、婚姻費用分担請求をすることができます。
婚姻費用分担請求とは、衣食住の費用や養育費など、婚姻から生じる費用を配偶者に分担するように請求する権利です。

婚姻費用分担請求は、過去の分を請求することができません。
そのため、別居後はすぐに相手方に婚姻費用を請求して、生活が困窮しないようにしましょう。

子どもがいる場合には、養育費の話をしっかり決める

離婚で子どもの親権を得た場合、元配偶者に対して養育費の請求をすることができます。
離婚時に養育費の金額についてしっかり話し合って決めておけば、離婚後に子育てで困窮することを防ぐことができるかもしれません。

離婚の際に年金分割の話もしておく

専業主婦が離婚した場合、将来に受け取れる年金が少なくなる可能性があります。

例えば、離婚する前に夫がサラリーマンで妻が専業主婦であった場合、離婚をしなければ、妻は国民年金と厚生年金の両方を受け取れます。

ところが、離婚した場合に妻が受け取れるのは、自身の国民年金の分だけになってしまうのです。

このようなことにならないように、離婚時に年金分割の話もしておくことが重要です。

年金分割とは、婚姻期間中の保険料の納付額に対応する厚生年金を分割し、夫婦それぞれが自分の年金とする制度です。

専業主婦の方が離婚する場合、婚姻期間によっては、年金分割をするかしないかで、将来の年金額が大きく変わる可能性がありますので、しっかり年金分割の手続きをすることが重要になります。

離婚が成立してから2年以内に手続きをする必要がありますので、ご注意ください。

離婚条件については公正証書にする

専業主婦の方に限った話ではありませんが、離婚時に離婚の条件を話し合った場合、その内容を公正証書(強制執行認諾文言付)として残しておくことをおすすめします。

訴訟等で離婚条件が確定したのではなく話し合いで離婚条件を決めた場合、公正証書がないと、元配偶者が離婚条件通りに慰謝料や養育費を払ってくれないと、裁判をして離婚条件の内容を請求しなくてはなりません。
離婚条件を公正証書化(強制執行認諾文言付)しておけば、裁判などを起こさずにいきなり元配偶者の資産を差し押さえることもできますので、しっかり公正証書を作成することも重要です。

児童扶養手当などの公的扶助を受ける

離婚をした場合、児童扶養手当などの公的扶助を受けることができるかチェックしましょう。
児童扶養手当とは、離婚などによって子どもがひとり親家庭で生活する場合に、手当が支給される制度です。
自治体によっては、児童扶養手当以外にもひとり親家庭を支援する制度を実施している場合があるので、問い合わせてみることをおすすめします。

そのほかに注意すべき点

法律上の話ではありませんが、専業主婦の方が離婚する場合、
・ブランクが原因で仕事を見つけるのに苦労する
・新居の確保に苦労することがある
といった一般的なことにもご注意ください。

まとめ

このページでは、専業主婦が離婚をする場合に、あらかじめ知っておくべきポイントについて解説しました。
離婚後の生活に困らないためにも、離婚時に離婚条件をしっかり決めておくことが重要です。
慰謝料や養育費について公正証書にしたり、年金の減少に備えて年金分割をしたりなど、ポイントを押さえて離婚の準備をしましょう。
お互いに感情的になってしまい、離婚条件を詳細に決めずに離婚してしまうことがあります。冷静に話し合うことが難しそうな方、離婚について悩みや不安がある方は、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。