- 祖父母は孫の親権者になれるか?
- 祖父母が孫の親権者になる方法とは?
- 祖父母が孫の親権者になりたい場合は弁護士に相談すべき
【Cross Talk 】祖父母は孫の親権者になれますか?
祖父母であっても孫の親権者になることはできますか?
祖父母が親権者になったり親権者と同様の権利・義務を持つことは可能です。
祖父母が親権者になる方法について、詳しく教えてください。
祖父母であっても孫の親権者となることができるのでしょうか?
原則として親権者となるのは子の父母ですので、祖父母は親権者となることはできません。
しかし、孫と養子縁組をしたり、孫の未成年後見人となったりすることで、祖父母であっても孫の監護養育権・財産管理権を取得することができます。
この記事では、親権の概要や、祖父母が孫の親権者になる方法などについて、弁護士が解説していきます。
祖父母は孫の親権者になれる?
- そもそも親権者とは?
- 祖父母も孫の親権者になれる?
祖父母も孫の親権者になれますか?
祖父母であっても孫の親権者になることはできます。
親権者とは?
親権者とは、未成年の子どもの利益のために、監護・教育を行ったり、子どもの財産を管理したりする権限・義務を有する方のことをいいます。子どもの両親が親権者として親権を行使することが一般的です。
親権の内容については、大きく「身上監護権」と「財産管理権」の2つに分けて考えることができます。
まず、身上監護権とは、親が子どもを監護・教育する権利・義務を指します。
身上監護権として、具体的に以下のような権利があります。
- 家族法上の行為の代理権(民法第737条、第775条、第787条、第804条)
- 監護・教育権(民法第820条)
- 居住指定権(民法第821条)
- 職業許可権(民法第823条)
次に、「財産管理権」とは、未成年者の財産を管理し、その財産に関する法律行為を代わって行う権利です。
親権者の財産管理権の内容としては、以下のようなものがあります。
- 子ども名義の預貯金通帳の作成や管理
- 子どもが祖父母などの親族から贈与された土地・建物の保存、利用、改良、処分
- 子どもの財産に関する契約の代理あるいは同意、子どもの訴訟などの法律行為の代理
- 子どもが親の同意なしに結んだ財産に関する契約の取り消し など
祖父母は孫の親権者になれる?
子どもの親権者は、父母となるため、原則として祖父母は孫の親権者にはなれません。
父母が婚姻中は父母の双方が親権者となるとされており、父母が共同して親権を行使することになります(共同親権)。そして、父母が離婚をする場合には、父母のうち一方を親権者と定めることとされており、離婚後は父母の一方が親権を行使することになります(単独親権)。
また、父母の一方が亡くなった場合には、残された一方が親権者となります。
しかし、例外的に祖父母が孫を養子にすることで、祖父母であっても孫の親権者となることが可能です。
養子縁組をした場合、養親(祖父母)が親権者となり、実親(父母)は親権者ではなくなります。
また、祖父母が親権者とならずとも、孫の「未成年後見人」や「親権代行者」になることで、実質的に親権者と同様の権利義務を有することは可能です。詳しくは以下で解説していきます。
祖父母が孫の親権者になる方法
- 祖父母が孫の親権者になる方法とは?
- 養子縁組や未成年後見などの制度を利用することができる
祖父母が孫の親権者になるには、どのような方法があるのでしょうか?
ここでは、祖父母が親権者または親権者同様の権利義務を取得できる手続きについて解説していきます。
孫と養子縁組をする
祖父母が孫との間で養子縁組を行うことで、祖父母が孫の親権者となります。
祖父母が孫を養子にする場合に、一般的に利用されている制度が、「普通養子縁組」です。
普通養子縁組をするには、養親本人と養子本人の合意が必要です。養子が15歳未満の場合には、養子の法定代理人(親権者等)が、養子本人に代わって養子縁組の合意をします。
また、養親または養子に配偶者がいる場合には、原則として、その配偶者の同意が必要です。
市区町村の役所に養子縁組届を提出することによって縁組の効力が発生することになります。
養子縁組をすることで、養子は養親の親権に服することになります。
また、養親と養子は、お互いに相手を扶養する義務を負うことになり、養子の姓は養親の姓に変更されることになります。養親が死亡した場合には、養子は養親の相続人になります。逆に養子が死亡した場合には、その養子に子ども・孫がいなければ、養親が養子の相続人となります。
親権者と同様の権利を持つ
第1に、未成年後見人となる方法があります。
親権者の死亡等のため未成年者に対し親権を行う方がいない場合には、家庭裁判所は、申立てにより、未成年後見人を選任することになります。祖父母は未成年者の親族として申立人になることができます。
なお、親権者は、遺言によって、祖父母を未成年者後見人に指定することができます。
未成年後見人とは、未成年者(未成年被後見人)の法定代理人であり、未成年者の監護養育・財産管理・契約等の法律行為などを行うことになるため、実質的に親権者と同様な権利義務を有することになります。
未成年後見人は、未成年者の財産の調査をして、1ヶ月以内に財産目録を作成するほか、未成年者のために毎年支出すべき金額の予定を立てなければなりません。
第2に、未成年の女性が未婚で子どもを産んだ場合、祖父母が親権者を代行することができます。
通常、婚姻していない男女の間に子どもが生まれた場合、親権は母親が行うことになります。
しかし、母親が未成年者で、かつ結婚していない場合には、子どもを産んだ女性は親権者になることはできません。未婚の女性が生んだ子どもの親権は、その女性の親権者(子どもから見ると祖父母)が代行することになります。祖父母が親権の代行を行うのは、未成年の母が成年に達するまでか、未成年のうちに結婚するまでです。この場合、祖父母は孫の親権者としての権利・義務が生じます。
よって、祖父母は、子どもの父親に対して、認知や養育費の支払いを請求することができます。
祖父母が孫の親権者になりたい場合には弁護士に相談すべき
- 祖父母が孫の親権者になりたい場合には、弁護士に相談すべき
- 養子縁組や未成年後見などの手続きを代行してもらえる
祖父母が孫の親権者になりたい場合には、弁護士に相談すべできでしょうか?
ここでは、弁護士に相談すべきメリットについて解説していきます。
祖父母が孫の親権者になろうとする場合には、まずは弁護士に相談すべきでしょう。弁護士に相談することで、状況に応じた適切な解決策を見出すことができます。
親権問題に詳しい弁護士に相談することで、どのような対処をすることが子どもにとってベストなのかという観点からアドバイスを受けることができるでしょう。
そもそも、子どもの父母が親権を有している場合には、「親権喪失」や「親権停止」の裁判を行う必要があります。これらは裁判所による手続きのため、書類の準備や申立ての方法など専門知識が必要となります。
また、祖父母が権利を取得するためには、養子縁組や未成年後見の手続きを行う必要があります。
いずれの手続きを行うにも一定の条件を満たしていることを確認し、役所や裁判所に必要書類を提出する必要があります。
弁護士に依頼することで、必要な手続を代行してもらうことができるため、当事者の負担は相当軽減されるでしょう。
まとめ
以上、祖父母であっても孫の親権者または親権者同様の権利義務を取得することは可能です。
養子縁組や未成年後見という制度を利用することで、祖父母であっても孫の監護養育権・財産管理権を取得することができます。
親権問題に詳しい弁護士に相談することで、様々な解決策の中から最適な選択をしてもらうことができ、また養子縁組や未成年後見の手続きも任せておくことができます。
お孫様の親権についてお悩みの場合には、ぜひ当事務所の弁護士に一度ご相談ください。