審判離婚とはどのようなものか?手続きは?
ざっくりポイント
  • 審判離婚とは
  • 審判離婚のメリット・デメリット
  • 審判離婚の手続き

目次

【Cross Talk 】審判離婚ってどんなものですか?

夫と離婚をしたいです。離婚の方式にもいろいろあるようなのですが、離婚の方式には「審判離婚」というものがありますね。これはどのようなものなのでしょうか。

離婚調停がまとまらずに終わるも、離婚をさせるのが相当であると裁判所が判断するときに、その旨の審判が出され、この審判によって離婚するのが審判離婚です。全体の件数も非常に少ないものです。

なるほど、もっと詳しく教えてください。

離婚調停が調わなかった場合に裁判所から出される審判による離婚が審判離婚

離婚の方式にはいくつかありますが、紹介されることは少ない方式の離婚が「審判離婚」です。審判離婚とはどのような手続きで、どのような場合に成立するか、などについてお伝えいたします。

審判離婚とは

知っておきたい離婚のポイント
  • 審判離婚とは
  • 審判離婚のメリット・デメリット

審判離婚とはどのようなものなのでしょう。

審判という紛争解決方式で行われる離婚の方式です。

審判離婚とはどのようなものなのでしょうか。

審判離婚とは

審判離婚とは、審判によって行われる方式の離婚です。

離婚は家庭に関する事件なので「家事事件」とされています。
家事事件については、家事事件手続法という法律があり、家事事件手続法で認められている紛争解決方法が審判です。
裁判所によって下される審判による離婚が「審判離婚」です。

審判離婚が利用されるのはどのような場合か

離婚の方式として有名なのが、協議離婚・調停離婚・裁判離婚で、審判離婚はこれらの方式の離婚に比べて紹介される割合が非常に少ないケースといえます。

これは、審判離婚は裁判所から離婚が相当であると判断される場合で、かつ

  • ほとんどの離婚条件で合意できているような場合
  • 健康問題で調停に出席ができなかった
  • 未成年者の子どもに不利益であるため離婚問題を早期に解決する必要がある

などの場合に例外的に「調停に代わる審判」として下されるためです。

そのため、審判離婚は非常に少なく、令和2年では全離婚件数の1.2%を占めるにすぎません。

ただし、平成28年には全体の約0.3%を占めるにすぎなかった頃から比べると、令和2年では1.2%と4倍になっているので、協議離婚が調わないと予想される場合には知っておく必要があります。

離婚審判のメリット

離婚審判には次のようなメリットがあります。

  • 当事者双方の衡平を考慮した判断を受けられる
  • 訴訟に比べて迅速に解決ができる
  • 裁判をしたのと同じ効果が発生する

離婚裁判は1年以上の長期になることが知られており、離婚審判によってスムーズに裁判所による判断を受けることができるのが最大のメリットであるといえるでしょう。

離婚審判のデメリット

一方で離婚審判には次のようなデメリットがあるといえます。

  • 異議申立てがあると効力がない
  • 自分の主張が必ず通るわけではない

審判を下す裁判官は、離婚調停に参加していた裁判官と同一人物であることが原則となっています。
そのため、自分の主張が裁判官に受け入れられていなかった場合、審判になったとしても受け入れられない可能性が高いといえます。

離婚審判の内容に納得がいかない場合には?

離婚審判の内容に納得がいかない場合には、異議の申立てを行うことができ、家庭裁判所で審理が行われます(家事事件手続法286条1項)。

異議の申立てに理由がない場合には異議申立ては却下されますが、その却下に対しての不服申立てとしては即時抗告を行うことができ、高等裁判所で審理が行われます(家事事件手続法286条4項)。
これらの手続きは、いずれも審判から2週間以内に行う必要があります。

審判離婚の手続きの流れ

知っておきたい離婚のポイント
  • 審判離婚をするための手続きの流れ

審判離婚の手続きの流れを教えてください。

まずは離婚調停を申し立てるところから始まります。

審判離婚の手続きの流れについて確認しましょう。

離婚調停を起こす

まず、離婚調停を行います。
離婚審判は、離婚調停が成立しない場合において、相当と認めるときに行うことができるため、まずは離婚調停を行う必要があります。

なお、離婚審判をするかどうかは、裁判所の判断によりますが、離婚調停の中で離婚審判をしてほしい旨を伝えれば、尊重してもらえる可能性があります。

裁判所で「調停に代わる審判」

裁判所が離婚審判を行うのが相当と認めるときには、離婚審判が開始します。
特にあらためて申立書を作成するなどの手続きを行うわけではありません。

離婚審判が開始すると、裁判所は離婚調停を担当した調停委員に事情を聞いたり、家裁調査官によって意見や事実の調査を行ったりします。
当事者も主張や証拠による立証を併せて行います。
裁判所は、当事者の主張・立証と調査内容から、審判を下します。
その後、2週間以内に異議申立てがなければ内容が確定し、離婚が成立します。

審判確定後に離婚届を提出

審判が確定すれば離婚が成立しているのですが、戸籍法上の手続きとして離婚届を提出する必要があります。
離婚届は、審判が確定してから10日以内に行います(戸籍法77条・戸籍法63条)。

まとめ

このページでは、離婚審判についてお伝えしました。
離婚全体の1.2%と、非常に少ない割合ではありますが、昨今は割合が増加していることもあり、協議離婚ができない場合には知っておくことが望ましいのが審判離婚です。
手続きの内容や、前提となる調停・離婚全体の進め方など、不明な点がある場合には、弁護士に相談してみましょう。