養育費について相談できる場所やおさえておきたいポイントを解説いたします
ざっくりポイント
  • 養育費については、法テラスや役所・NPO法人などの窓口では無料で相談できる
  • 養育費の目安は裁判所の「養育費・婚姻費用算定」
  • 請求期限は原則5年以内。不安な方、わからないことがある方は弁護士に相談するという方法も

目次

【Cross Talk 】養育費の相談が無料でできる窓口とは?

養育費についてわからないことがあり、まずは無料で相談したいです。どこに相談すればよいでしょうか?

無料で相談できる窓口には、養育費等相談支援センター・法テラス・役所の弁護士相談などがあります。

詳しく教えてください。

養育費を無料で相談できる窓口と、養育費のポイントについてお伝えしていきます。

「養育費を請求したいけど法律面でわからないことがある」「養育費の相場はいくら」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
無料で相談したい場合には、養育費等相談支援センターや法テラスなどを利用しましょう。ただし、踏み込んだ法律相談は弁護士への相談をすすめられる場合が多いでしょう。
養育費について無料で相談できる窓口4つ、相談する前に知っておきたい養育費のポイントを解説していきます。

養育費の相談を無料でできる窓口とは

知っておきたい離婚のポイント
  • 養育費等相談支援センターや法テラスなどで養育費について無料で相談できる
  • 法律面については弁護士への相談を促される場合がある

法律面で養育費について相談したいのですが、どこに相談すればよいのでしょうか?

役所で弁護士に相談できる場合は活用してみましょう。法律面ですので法律事務所など弁護士に相談するとよいでしょう。

養育費等相談支援センター

養育費等相談支援センターはこども家庭庁の委託事業です。
電話やメールで、手続きに関する相談ができますが法律相談ではありません。
サイトにアクセスすると、AIチャットボットでも一般的な相談が可能です。
手続きに関して無料で相談できる点がメリットですが、法律相談の窓口ではありませんので注意しましょう。

法テラス

法テラスは経済的な事情で弁護士に相談することが困難な方のために、無料の法律相談を実施しています。
まずは近隣の法テラスまたは法テラス・サポートダイヤルに連絡をとり、無料の法律相談が利用できるか、確認をします。
法テラスを利用するためには、収入や資産が一定額以下であるなどの用件を満たす必要があります。
収入・資産基準は以下のとおりです。

収入基準 資産基準
単身 182,000円以下
(200,200円以下)
180万円以下
2人家族 251,000円以下
(276,100円以下)
250万円以下
3人家族 272,000円以下
(299,200円以下)
270万円以下

東京、大阪など生活保護一級地の場合、()内の基準を適用します。
家賃・住宅ローンを負担している場合には金額が加算されます。

役所の無料相談

各地方自治体の役所では、行政サービスの一環として弁護士などによる法律相談を実施しています。

専門家に総合的な法律相談が無料でできます。
あらかじめ日時が決まっており、時間内に相談するところもあれば予約が必要な場合もあり地方自治体によって異なります。
まず管轄の役所のホームページを確認し、相談方法を調べ問い合わせをしましょう。

NPO法人・支援団体

ひとり親を支援するNPO団体や支援団体に相談することで、問題解決ができる可能性があります。

東京都の場合、東京都福祉保健局の「シングルママ・シングルパパくらし応援ナビTokyo」の「民間団体のご紹介」のページで、ひとり親家庭や子育て家庭に向けた支援を行う民間団体が紹介されています。※5

内容によっては、NPO法人に相談すると法律事務所を紹介されることもあります。
「トラブルがある」「法律についてじっくり相談したい」という場合には、法律事務所で相談するという方法もあります。

※5 参照:東京都福祉保健局「シングルママ・シングルパパくらし応援ナビTokyo 民間団体のご紹介」

相談する前に知っておきたい養育費のポイント

知っておきたい離婚のポイント
  • 養育費は両親が相談して金額・支払期間・支払時期などを取り決め、書面に残しておく
  • 離婚後5年以内は養育費の請求が可能。養育費算定表が目安になる

養育費はいくら請求すべきなのか、相場がわかりません。

裁判所が公開している「養育費・婚姻費用算定表」が目安といわれています。ただし、あくまで目安ですので、夫婦が話し合い個々の事情を考慮して金額を取り決めます。

どこまでが養育費?どうやって決める?

法務省のホームページ※6では、養育費について以下のように記載されています。

養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。一般的には、子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれにあたります。

※6参照:法務省「養育費」
養育費とは、主に子どもの生活や教育に必要で両親の経済力に応じて負担します。離婚し、親権を持たない親であっても、子どもの養育に必要な費用を負担する義務を負います。

養育費は両親が相談して金額・支払期間・支払時期などを取り決めます。取り決めたあとは書面に残しておきましょう。合意書を作成する、離婚協議書に記載するという方法は自分でも書類の作成できますが、可能であれば公証役場で公正証書を作ることをおすすめします。
公正証書には、養育費について取り決めた内容と「強制執行認諾文言」(養育費を支払う人の支払いが滞った場合に強制執行を認諾すること)の記載が可能です。
強制執行認諾文言つきの公正証書は、支払いが滞った際にただちに強制執行の手続きができます。

養育費の相場は算定表を参考に

養育費の金額は、子どもの人数や父母の収入などを考慮し決定します。
調停や裁判では、裁判所が公開している「養育費・婚姻費用算定表※7」をもとに話し合われることが多いです。
養育費は、取り決めたあとも両親の収入の変化や子どもの進学・病気などにより増額もしくは減額を請求できます。

※7参照:裁判所「養育費・婚姻費用算定表」

養育費の請求方法

養育費は両親が話し合って決定しますが、話し合いがまとまらないときや相手と連絡が取れない場合には「養育費請求調停※8」を申立てることが可能です。
調停では、調停委員や裁判官と話し合いながら話し合いをしていきます。相手が欠席した、話し合いがまとまらない場合などでは調停が不成立となります。その場合、裁判官が様々な事情を考慮して審判を下すこととなります。
いずれにせよ、早めに弁護士など専門家に相談しておくことをおすすめします。

※8 参照:裁判所「養育費請求調停」

離婚後でも養育費は請求できる

養育費は、権利を行使できることを知ったときから5年間は行使が可能です(2020年4月1日施行の改正民法対応)。

民法166条※9 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知ったときから五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

たとえ離婚したあとでも、離婚を決め養育費を請求することを把握しているときから5年以内であれば請求ができます。養育費請求については特別な事情がない限り、請求が可能と推測されますので基本的に5年以内となります。

まとめ

養育費について無料で相談したい場合には、法テラスや役所の法律相談などを活用しましょう。
しかし「法律の専門家に対処法を教えてほしい」「調停に発展するかもしれない」などの場合では、弁護士への相談が有効といえます。
離婚問題に強い弁護士から対処法が聞ける、スムーズに調停を申立てられるなどのメリットがあります。
親権・養育費について不安や悩みある方は、まず弁護士に相談することをおすすめします。