- 未払いの養育費を内容証明で請求するメリット・デメリットとは?
- 養育費を内容証明で請求する場合の書き方とは?
- 内容証明で養育費を請求したあとの流れとは?
【Cross Talk 】未払いの養育費を内容証明で請求すべき理由とは?
別れた夫が取り決めどおり養育費を支払ってくれない場合、どうすればいいのでしょうか。
まずは、内容証明郵便で未払いの養育費を請求していくことがおすすめです。
養育費を内容証明で請求することについて、詳しく教えてください。
離婚の際、養育費について合意していたとしても、相手方が取り決めどおり支払いをしてくれないという可能性があります。このような場合には、相手に対して内容証明で未払いの養育費を請求していくことになります。
この記事では、内容証明の概要や、書き方、内容証明で請求することのメリット・デメリットについて解説していきます。
未払の養育費は内容証明で請求する
- 養育費とは?
- 内容証明とは?
離婚した元夫の養育費が未払いになっています。どうすればいいのでしょうか。
未払の養育費は内容証明で請求することをお勧めします。
養育費とは?
そもそも、「養育費」とはどのようなものなのでしょうか。
養育費とは、未成年の子どもを監護するために必要となる費用のことで、離婚した父母の資力に応じて分担することになります。調停離婚や裁判離婚の場合には家庭裁判所が関与するため、ほとんどの場合、養育費が取り決められています。他方で、協議離婚の場合には、父母間で養育費の取り決めがなされていないことも少なくないため、母子家庭の貧困の一因となっています。
そして、具体的な養育費の金額の算定については、平成15円(2003年)に「東京・大阪養育費等研究所」が公表した算定表が実務上広く利用されています。養育費の金額については、この養育費算定表に基づく金額を基準に、当事者の具体的な事情を加味して決定されることになります。
しかし、父母間で養育費の取り決めがなされたとしても、その後の様々な事情で支払われなくなったり、支払義務者が減額を求めたりすることも珍しくありません。額の増減については、協議や調停などで解決されることになります。
内容証明とは?
内容証明とは、正式には「内容証明郵便」といいます。これは、一般書留郵便物の内容について、日本郵便株式会社が証明してくれるサービスです。内容証明郵便を利用することで、いつ・いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを差出人が作成した謄本によって日本郵便が証明してくれます。
内容証明を送るためには、集配郵便局か支社が指定した郵便局に持ち込む必要があり、すべての郵便局で対応可能なわけではありません。
また、内容証明を送るためには、次のものを窓口に提出する必要があります。
- 内容文書(受取人に送付する文書)
- 上記の謄本2通(差出人と郵便局が各1通ずつ保管する文書)
- 差出人及び受取人の住所氏名を記載した封筒
- 内容証明の加算料金を含む郵便料金
内容証明を送るための料金は、「基本料金+一般書留郵便の加算料金+内容証明の加算料金」となります。
養育費を内容証明郵便で請求するメリット・デメリット
- 養育費を内容証明郵便で請求する場合のメリット・デメリットとは?
どうして未払いの養育費は内容証明で請求すべきなのでしょうか。
養育費を内容証明で請求するのには、メリットとデメリットがありますので、ここで解説していきます。
養育費を内容証明郵便で請求するメリット
まず、内容証明郵便等の書面による方法を利用すれば、相手方と直接やり取りせずとも、未払いの養育費を請求することができます。離婚した相手の場合には、「直接やり取りしたくない」「顔を合わせるのにストレスを感じる」という方も少なくありません。内容証明では文書を送付することになるため、直接的な接触を避けることができます。
また、内容証明は未払いの養育費を請求した証拠として利用できます。内容証明郵便は、日本郵便が内容文書について証明してくれるため、相手方が「請求は受けていない」という反論ができなくなります。あとから「請求した・していない」という水掛け論を回避することができるのは大きなメリットです。
さらに、内容証明郵便を送ることで、相手方に心理的なプレッシャーをかけることができます。内容証明は裁判になった場合に、請求の事実を立証するために提出される証拠であるため、本人が裁判の準備をしているということを相手にアピールすることができます。内容証明を代理人弁護士の名前で送り付けると、相手によっては素直に支払いに応じてくれる場合もあります。
養育費を内容証明郵便で請求するデメリット
まず、内容証明のデメリットとして法的な拘束力がないという点が挙げられます。内容証明郵便とは、文書を相手に送付したという事実を証明するための手段にすぎないため、内容証明を送ることで何らかの法的な効果が発生するわけではありません。そのため、内容証明を送付しても相手がこれを無視する場合には、裁判などを起こして次の段階に進む必要があります。
また、内容証明郵便は、作成の方法が詳細に決まっているため、はじめて内容証明を送るという場合には、時間や手間がかかる可能性もあります。文書の内容についてもどのような権利に基づいていくらの支払いを求めているのかが明確となるように請求していく必要があります。
そして、内容証明は一般書留郵便の一種であるため、相手方の住所が分からないと送付することができません。なお、弁護士に依頼した場合には、相手の住所・居所を調査できる可能性があります。
内容証明郵便の書き方
- 内容証明郵便の書き方とは?
未払いの養育費を求める内容証明はどのように書けば良いのでしょうか。
ここでは、内容証明の書き方について解説していきます。
内容証明の書き方について、用紙の大きさに指定はなく、手書きやパソコンで作成することができます。
ただし、字数や行数については、次のようなルールがあります。
・縦書きの場合:「1行20字以内、1枚26行以内」
・横書きの場合:「1行20字以内、1枚26行以内」または「1行13字以内、1枚40行以内」または「1行26字以内、1枚20行以内」
一般的に、未払いの養育費を内容証明で請求する場合には、以下のような内容を記載します。
- 表題:「請求書」や「催告書」などと記載します。
- 作成年月日
- 相手方の住所、郵便番号、氏名
- 差出人(あなた)の住所、郵便番号、氏名
- 養育費に関する取り決めの内容
- 期限が経過しても取り決めどおり養育費の支払いがなされていないこと
- 現在支払いが遅れている養育費の金額
- 支払期限、支払方法、支払金額を特定して請求する旨 など
内容証明で養育費を請求した際の流れ
- 内容証明を送った後の流れとは?
- 最終的には裁判を起こして強制執行する必要がある
内容証明を送ってから養育費を受け取るまでにはどのような流れになりますか。
ここでは、内容証明郵便を送付した後の流れについて解説していきます。
調停を申立てる
相手方に内容証明郵便で未払いの養育費を請求して、支払わない場合には、家庭裁判所に調停を申立てる必要があります。これを養育費請求調停といいます。
調停手続きでは、家庭裁判所の裁判官と一般市民の中から選ばれた調停委員2名が当事者の間に入って話し合うことになります。調停で解決できない場合には、裁判官が審判で判断することになります。
調停などの裁判手続きで取り決められた養育費の支払いがない場合には、家庭裁判所から支払いを勧告する制度を利用することができます。
民事訴訟を提起する
養育費について、離婚時に合意が成立している場合には、合意した金額やその後の未払分を含めて、民事訴訟を提起して請求することができます。一般的に民事訴訟では、合意の成否や将来の養育費まで請求が認められるかといった点が争点となります。
強制執行する
未払いの養育費を原因として相手方の財産に強制執行をするためには、債務名義という公文書が必要となります。次のようなものが強制執行をする際の債務名義となります。
- 確定判決
- 仮執行宣言付判決
- 和解調書
- 調停調書
- 仮執行宣言付支払督促
- 執行認諾文言付公正証書
強制執行をすることで、相手方が有している不動産や給与債権などを差し押さえて、強制的に支払いを行わせることができるのです。
まとめ
以上、この記事では、未払いの養育費を内容証明郵便で請求すべき理由について解説してきました。
内容証明で請求することが、未払いの養育費を回収するための第一歩となります。内容証明の送り方や書き方に不安がある方は、専門家である弁護士に相談するようにしてください。
養育費トラブルや離婚問題に詳しい弁護士に相談することで、適切なアドバイスやサポートを受けることができます。