- 仕事を辞めたくなる主な理由は「労働時間が長い」「残業代がもらえない」「上司のパワハラがひどい」など5つ
- 労働時間や待遇、ハラスメントの問題は法律問題にもなるので弁護士に相談するべき
- モチベーションやメンタルヘルスの問題は素人ではどうにもできないので、カウンセラーや医師にみてもらおう
【Cross Talk】人間関係・職場環境で悩んでいませんか?
仕事って、楽しいことばかりじゃないんですよね……。
そんなの当たり前ですよ!でもなぜそんな愚痴が出てくるのでしょう。嫌なことでもありましたか?
実は、上司のパワハラがひどくて、もう限界なんです……。
「あんなに長時間働いているのに残業代がもらえないなんて……」
「今の会社、給料がめちゃ低いんだよなあ」
「新しく上司になった課長のセクハラがひどく困ってる!!」
こんな悩みを抱えながら、「もうそろそろ会社やめよっかな。でも「甘え」って言われるのは悔しいし、次の仕事見つけるの大変そうだし……」などと愚痴っている方、いませんか?
仕事を辞めたくなる理由は人それぞれですが、主に「待遇」「労働時間」「人間関係」「モチベーション」「健康」の5つに大別できます。
この記事では、5つの問題ごとに、問題が起きる背景と対処法について解説していきます。人に言えない悩みを抱え続けて心が壊れる前に、この記事を参考にしながら職場環境を見つめ直してみましょう。
仕事を辞めたくなる「5つの理由」
- 長時間労働や不規則な勤務が続くと、自律神経失調症などの深刻な体調不良を招く
- 「残業代が出ない」「休憩時間がない」などの待遇問題は、労基署や弁護士に相談すべし
- 職場の人間関係が悪いと、メンタルに強いダメージを受けてしまい、最悪の場合は退職に追いやられることもある
- モチベーションの低下が仕事を辞める理由になるのは、「仕事に重きを置いている」から
- メンタルヘルスの問題は「最悪の結果」を招く場合もあるので要注意
労働時間の問題
労働時間の問題とは、長時間労働や不規則な勤務時間などです。特に毎日遅くまで残業が長期間続くと、単なる睡眠不足や過労にとどまらず、自律神経失調症や免疫低下、高血圧など深刻な不調を招いてしまいます。
特に注意したいのが、「責任感の強い方が管理監督者やプロジェクトリーダーになった」という場合です。責任感の強いタイプがリーダーになると、自分の仕事だけでなく部下の仕事の様子も気になってしまい、どうしても労働時間が長くなってしまいます。
労働時間の問題については、別コラム「明日から実践できる!労働時間を減らす8つのテクニック」もあるので、参照してください。
待遇の問題
待遇の問題としては、「給料が低い」「給料がカットされた」「ボーナスが出ない」「残業代が出ない」「休憩時間がない」「有給が認められない」「休日出勤を強いられる」などがあります。
これらの問題は労働者が独力でどうにかできる事柄ではありません。労働組合や労基署、弁護士など、しかるべき相手に相談する必要があります。
待遇の悪い会社はぷらっく企業の可能性があります。ブラック企業かを判断したい方は「あなたの会社は大丈夫!?ブラック企業チェックリスト」を参考にしてみてください。
人間関係の問題
人間関係の問題には、セクハラ、パワハラ、いじめなどがあります。
これらの問題は仕事の内容と直接関わることではありません。しかし、職場の人間関係が悪いと、メンタルに強いダメージを受けてしまい、最悪の場合は退職に追いやられることもあるので注意が必要です。
なお、セクハラやパワハラといった問題は、ひどいケースでは損害賠償請求も可能となります。会社側に対してセクハラやパワハラの解消を求めたのに対応してくれない場合は、労働問題にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。
モチベーションの問題
「仕事が想定したものではなかった」、「きつい割にやりがいが感じられない」、「単純労働の繰り返しでつまらない」、「自分の仕事や職業に意義を見いだせない」、「期待して入社したものの、任された仕事に倫理的な問題があり、自分の価値観に反する」
このようなモチベーションの悩みもよく耳にします。
「給料さえもらえるなら、どんな仕事だろうが構わない」と割り切れる人ならいいのですが、多くの人は、やりがいを見いだせない仕事を続けることに「苦痛」を感じるものです。
モチベーションの低下が仕事を辞める理由になるのは、人生における仕事の価値がそれだけ大きいからかもしれません。
メンタルヘルスの問題
仕事による疲労やストレスがたまり続けると、過労や不眠の原因にもなります。過労や不眠が肉体的な不調にとどまっているなら、適切な睡眠や食事などを心がけること解決できるでしょう。
しかし「適応障害」や「うつ病」などメンタルヘルスの病気を引き起こしてしまうと厄介です。睡眠や食事だけで解決するのは難しく、専門医の治療なしではなかなか回復できません。メンタルヘルスの問題を理由に仕事を辞めざるをえない方も多く見られます。
仕事を辞めるだけなら、まだマシかもしれません。国の統計によると、業務上の原因でうつ病などの精神障害を引き起こし、自殺(未遂含む)に追い込まれた人の数は98名に達しています(平成29年度)。
仕事のために生きているのか、生きるために仕事をしているのか。仕事に価値を見いだすこと自体は間違いではありませんが、最悪の結果に至っては元も子もありません。
このようなメンタルヘルスの不調は、痛みなどを伴わず、目にも見えないことから、「単なる怠け」などと軽くとらえてしまう場合があります。重くなる前に早めに手を打ちましょう。
仕事を辞める前に!悩み別・相談先リスト
- 労働時間の問題は、「職場の上司」「労働組合やNPO」「労働基準監督署」「弁護士」などに相談するべきだが、ブラック企業など難しい会社を相手にする場合は、弁護士に依頼するほうが解決の可能性が高まる
- 給与などの待遇の問題は、労基署や弁護士に相談しよう
- セクハラ、パワハラ、いじめは、産業カウンセラーか弁護士に相談する
- モチベーション低下の問題は、プロであるカウンセラーに相談すべし
- メンタルヘルスの問題は悪化する前に一刻も早く医師に相談する
はあ……仕事自体はとても楽しいんですけど、上司のパワハラさえなければなあ。
自分だけで悩んでいないで、しかるべき人に相談しましょう。ひどいパワハラはれっきとした法律問題ですから、私がいつでも相談に乗りますよ!
仕事を辞めるのは簡単ですが、いつまでも無職だと生活にかかる費用を捻出できません。また無職の状態が長引けば再就職も難しくなります。できることなら辞めないで済ませたいものです。以下では、「仕事を辞めたくなる理由」を相談するのに適した窓口を紹介します。
労働時間の問題の相談先
労働時間の問題は、「職場の上司」「労働組合やNPO」「労働基準監督署」「弁護士」などに相談することになります。
上司への相談
上司は職場環境を熟知しているので、労働時間の問題もよく把握しています。労働者の権利について理解ある人物であれば、労働時間の短縮に向けて経営者にかけあってくれるでしょう。
ただし、会社がいわゆる「ブラック」で、しかも上司が経営者の言いなりになっている場合は、相談者の訴えは無視・軽視されるおそれがあります。
それどころか、「あいつはろくに仕事もできないくせに、生意気にクレームをつけてきた!」などと悪く受け止められて、いじめやパワハラの引き金になってしまうかもしれません。
労働組合、NPO法人への相談
そのような事態を避けたい場合は、労働組合を利用するとよいでしょう。職場に労組がない場合は、業界団体のなかに労組が組織されている場合もあります。また労組ではなく、労働問題を扱うNPOに相談する方法もあります。(中には問題のある組織もあるので相談先の選定は慎重に行うべき)
労働基準監督署への相談
労基署には匿名で相談できますが、労働環境の確実な改善を求めたいのであれば、労基署に直接訪問し、顔と名前を明らかにして相談したほうがより真剣味が伝わるはずです。
ただし、労基署は、労働基準法違反の疑いがなければ動かないので、証拠をある程度確保してから相談するのが望ましいといえます。
弁護士への相談
弁護士を立てて会社側と交渉する方法もあります。また、もし未払い残業代があるなら、その請求も弁護士に依頼して、問題を一気に解決してしまうのもよいでしょう。
ただし、弁護士に依頼するということは、会社側と労働者の間に法的紛争が生じたことを意味しますから、最終的に和解に持ち込めたとしても、会社側との間に何らかのしこりが残る可能性はあります。
弁護士への依頼を考えている方は「未払い残業代請求について弁護士の探し方や相談の仕方とは?」を参考にしてみてください。
待遇の問題の相談先
先にあげた労働時間の問題は、上司から残業を強制されているのでもないかぎりは、「仕事の処理能力を向上させる」「労働時間を短縮するために工夫する」などの対処法があります。また上司が労働者の権利について理解ある人物であれば、適切な解決に向けて経営者に働きかけてくれるはずです。
しかし待遇問題はそうはいきません。給与や休憩、休日をどうするかは会社の経営判断に関わる事柄です。
上司が問題の所在を把握し、経営者に働きかけたとしても、経営者が「うちの台所事情は君もよくわかっているだろう?給料アップなんて無理だよ」などと言われれば、それ以上は何もできません。
したがって、待遇の問題を解決に導くには、労働組合や労基署、弁護士といった「待遇問題のプロ」に相談するのがおすすめです。
最低賃金が守られていないなら、労組による交渉や労基署の指導によって改善されるでしょう。会社側が不当に残業代をカットしていたのであれば、弁護士に依頼することで残業代を正しく支払ってもらえる可能性が(独力で会社と交渉するよりも)高まります。
人間関係の問題の相談先
人間関係に悩んでいる場合は、まず自分の職場に産業カウンセラーが常勤しているか確認しましょう。産業カウンセラーはメンタルヘルスの相談に応じてくれるプロですから、人間関係の問題についても適切なアドバイスをしてくれます。
産業カウンセラーを常駐させるような企業なら、良好な職場環境の維持に対して意識の高い企業といえますから、カウンセラーが経営者に対して人間関係の問題があることを指摘すれば、「ハラスメントやいじめの加害者に警告を与え、改善が見られない場合は異動させる」など、問題解決に向けた解決が期待できます。
職場に産業カウンセラーがいない場合は、NPO法人や一般社団法人などで相談などを行っていることもあるので、そちらに相談してみるのも良いかもしれません。
なお、心身に不調をきたすほどのひどいハラスメントやいじめのケースは、れっきとした法律問題となるので、一刻も早く弁護士に相談しましょう。
モチベーションの問題の相談先
仕事に対するモチベーションの低下は、まず同じ職場の上司や先輩に相談するとよいでしょう。仕事へのモチベーションの問題は、業務内容によって原因や対策が異なります。上司や先輩は、あなたと同じ(または似ている)仕事の経験が豊富ですから、モチベーションが低下した場合の原因や対処法について適切な助言をしてくれるでしょう。
もっとも、上司や先輩のアドバイスが参考にならない場合もあるでしょうから、そのときは産業カウンセラーや心理カウンセラーの力を借りるのが手っ取り早い方法です。モチベーションの問題は心理学の領域に関わるので、しかるべきプロの意見を求めるとすっきり解決できるかもしれません。
メンタルヘルスの問題の相談先
常勤の産業医や提携先医療機関がある場合は、その医師に相談するのが最善です。「生兵法は大怪我のもと」ですので、「メンタルヘルスの本を読んで自分でどうにかしよう」などと考えることは、控えましょう。
ただ、メンタルに関わる診療は医師との相性もあるので、すでにかかりつけの医師がいるならそちらに相談するほうがベターです。
医療機関を選ぶ際は、居住地を管轄する保健所や精神保健福祉センターに問い合わせると、しかるべき医師を紹介してくれるので、活用するとよいでしょう。
まとめ
労働条件や人間関係で問題を抱えている人は大勢いることでしょう。しかし、それでも大半の人は仕事を辞めたりしません。「収入が途絶えても構わないので今すぐ辞めたい!」と切望するようなケースは、よほどひどい職場環境が背景にあるはずです。
職場環境の問題の多くは労働法に関わる問題でもあります。労働時間、待遇、ハラスメントなどを理由に仕事を辞めるべきか悩んでいる方は、一度ぜひ弁護士に相談してみてください。