- ブラック企業かどうかはその「ブラック」な状況を改善する姿勢があるかどうかの別による。
【Cross Talk】ブラック企業ってどんな会社なのでしょうか。
私の会社では、営業課長が無理難題のノルマを掲げ、達成できない社員に対しては、厳しい檄が飛ぶなどしています。そのため、営業担当をはじめ、社内ではノルマの達成や膨大な業務をこなすために、長時間残業が横行しています。このような状況は、ブラック企業といえるのでしょうか。
活気のある会社と、ブラックな会社とは、しばしば重複してしまいがちです。会社が伸び盛りの場合、必然的に業務が多くなり、また、社内体制がいまだに完熟していないなどの理由により、長時間労働が恒常化する場合が少なくはありません。
こうした企業がブラックか否かについては、最終的には、こうした労働環境に対して、会社側が積極的に是正する精神があるか否かにあると考えます。仮に、相談者さんが、上司やその他の会社側の人間に相談した場合に、まったく取り合ってくれないといった場合には、ブラック企業である可能性が高まります。
この記事の本文に、ブラック企業かどうかのチェックリストがあるので、確認してみると良いでしょう。
大変よくわかりました。私の感覚が周囲と異なり、自分がおかしくなってしまったのではないかと不安に感じておりました。
最近ブラック企業という言葉が流行していますが、あなたの勤務されている会社は大丈夫でしょうか。そもそも、ブラック企業について、とくに決まった定義はありませんが、一般的な意味としては、劣悪な労働条件で労働者を勤務させる企業のことを指します。
自分の企業が「ブラック」なのか否かについては、気づかない場合もあり、主観としては、「体育会系の会社」であったり、「勢いのある企業」であるかもしれません。ここでは、どういった会社がブラック企業であるかについて、ご説明いたします(関連するものとして「残業時間・過労死ラインは80時間?100時間?労災認定の基準」というコラムもありますので合わせてご覧ください。)。
ブラック企業チェックリスト
- ブラック企業の特徴は極端な長時間労働や達成困難なノルマを課す。
- 会社全体でコンプラ意識が低い。
- ブラックな状況のなかで社員を過度に選別を行う。
「ブラック企業」の特徴とは何か。下記にリストを記載いたします
(下記一覧は、厚生労働省が考える、一般的なブラック企業の内容です。)
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
- サービス残業をするのが当然、
- タイムカードなどの労働時間管理がずさん、
- 未払い残業代がある
- 採用時と勤務条件がなんの断りなしに変更されている
- 大量採用・大量退職、
- 社訓を大声で唱えさせる
- 精神疾患での休職者が多い
- 募集要項に情熱的な文句や感情的な文句が多い
あなたの会社がブラック企業だったときにとる対処法3つ
ブラック企業に入社または、勤務してしまった場合にはどのように対処すれば良いのでしょうか。
ブラック企業に入ってしまった場合には、理想論としては、会社に問題点の改善を求めるなど行い、待遇改善などをつうじた、社内環境の改善を図るといったことでしょう。
しかしながら、一般的に労働者は弱い立場にあるため、声をあげて会社と向き合うことは困難な場合が多いでしょう。
会社との向き合い方としては、下記のものが考えられます。
転職する
ブラック企業に就職してしまった場合には、その会社をやめてしまうといったことも選択肢の一つです。ただし、自ら希望して退職した場合には、次の就職先が見つからない場合などに、失業保険の給付を受けるための給付制限期間が長期化するといったデメリットがあります。
具体的には、自己都合退職の場合には、待機期間経過(7日間)経過後、3か月間は給付制限となり、その期間は失業保険の給付を受給できなくなります(雇用保険法33条1項)。
ただし、1か月あたり100時間を超えるような残業、または2か月に平均して80時間を超えるような残業、あるいは、労基署などから健康障害の危険の是正勧告がされたにもかかわらず、これに従わないような場合には、上記の給付制限はありません(雇用保険法施行規則36条5号)。
したがって、転職を検討する場合であっても、長時間勤務の事実関係を証明することができる証拠として、タイムカードなどによる勤務時間の記録などを準備しおくと良いでしょう。方法がわからない場合には、弁護士に相談してみるのも選択肢の一つです。また、未払いの残業代がある場合も同様に弁護士に相談してみると良いかもしれません。
証拠の集め方については、「未払い残業代請求のための証拠の集め方」を参考にしてみてください。
待遇を改善するため相談する
会社内部にコンプライアンス委員会や労働組合がある場合には、こうした機関に相談してみるのも良いでしょう。しかしながら、近時は労働組合がある会社は減少しており、また、コンプライアンス委員会は会社側の組織であるといった事情があり、思うような相談の結果が得られない可能性があります。
他方で、明確に労基法違反であったり、長時間労働などが横行している場合には、労働基準監督署(労基署)へ相談するといった手段が考えられます。しかしながら、労基署は、法律違反に対し会社に是正措置を行うことから、個別具体的な事案については、対応が十分ではありません。
会社に残りたいなどの希望があり、会社の環境を変えたいならば、弁護士に相談すると良いでしょう。
会社と戦う
サービス残業が横行し、残業代の不払いがあるのであれば、未払い残業代を請求するために会社と戦うといった手段が考えられます。また、パワハラ、セクハラなど各種ハラスメントにより、精神的な被害を受けたのであれば、損害賠償請求を行うことも考えられます。
未払い残業時間の認定や未払い残業代の算定には、労働法に関する専門的な知識が必要となります。また、例えば、未払い残業代を請求する方法としては、内容証明郵便、支払督促、労働審判、訴訟の提起などいくつかの手段があり、個別の事情により最適な方法が異なります。
各種ハラスメントによる被害の場合にも、一般不法行為責任(民法709条)を問うためには、不法行為の事実の立証が必要となります。いずれも専門知識が必要なことであるため、弁護士に相談すると良いでしょう。
まとめ
ブラックな勤務や、ブラックな環境の会社を、「ブラック企業」と呼ぶことが、一般化されてきました。他方で、自分の勤務する会社が、ブラック企業に該当するのかについて、会社内部の雰囲気に染まってしまうと、なかなか、判断がつかないことがあります。自分の感覚が他者と違うのか、不安を感じた場合には、お近くの弁護士に相談してみると良いでしょう。
弁護士の探し方については、「未払い残業代請求について弁護士の探し方や相談の仕方とは?」を参考にしてみてください。