残業代請求についてなど退職前に確認したい法的な4つのポイント

退職自体や残業代に疑問点を持っている場合、退職前に確認すべきポイントを説明します。

退職を決意した理由に、法律上請求できるものが含まれていないか
退職前に相談することは有効な手段の一つ
退職前であれば後の交渉や裁判に有利な証拠を集められる

【Cross Talk】退職前に念頭に置いておきたい法的な知識

食品工場で働いています。次の仕事が決められなくて、何だかんだ5年いましたが、サービス残業も多いし、上司からのパワハラもひどく、耐えられないので辞めるつもりです。

ご心労お察しします。サービス残業やパワハラとお聞きしましたが、仮に今後、残業代請求や慰謝料請求などをご検討の場合、退職前でしか準備できないこともあります。

ぜひ知りたいです。

退職前に確認することって何？

あなたが退職自体や残業代に疑問点を持っている場合、退職する前と退職した後では準備できることが変わってきます。「退職前に行うべき事務的な8つのポイント」では退職の準備や保険給付など事務手続の解説をしていますが、本コラムではその他に確認しておくべきことを説明します。
なお、もし残業代を請求しようと考えているのでしたら、残業代簡易計算シミュレーターもあわせてご利用ください。

退職理由を確認する

サービス残業とパワハラがひどくて退職を決意したのですが、何か請求できないのでしょうか？

サービス残業については、残業代が支払われていない可能性が高いので残業代の請求が考えられます。また、パワハラについては、精神的損害を被ったとして不法行為に基づく損害賠償請求などが考えられます。

退職を決意した理由の中でよくあるものとして、「サービス残業が多い」、「パワハラ、いじめ、セクハラを受けた」などが挙げられます。

前述の会話のとおり、サービス残業については、残業代が支払われていない可能性が高いので残業代の請求が考えられます。また、パワハラについては、精神的損害を被ったとして不法行為に基づく損害賠償請求などが考えられます。

しかし、従業員側が声をあげなければ、会社にはもちろん届きません。他方、会社に対し声をあげるためには、大きな力を使わなければなりませんし、一人での活動には限界があります。

「これって法律違反では？」、「これは不当なのでは？」と疑問に感じたら、労働基準監督署、労働組合、弁護士の無料相談などを利用してみてはいかがでしょうか。

あなたが退職を決意した理由に、法律上請求できるものがある可能性があります。

退職前に相談先を決め、相談する

まずは、どこに相談した方がよいのでしょうか？退職前でも相談に乗ってもらえるのですか？

相談先によって、取り扱い内容に特徴がありますので、相談先の特徴を事前に確認しておきましょう。また、退職前でも相談は可能で、資料を集めるためにも、むしろ有効な手段の一つです。

労働問題に関する主な相談先と特徴

・労働基準監督署（労基）→　労働問題、労働災害に関する相談がメイン
・ユニオン（労働組合）→　労働問題の予防改善がメイン
・社労士→　社会保険に関する相談がメイン
・弁護士→　残業代請求、パワハラ、セクハラなど、労働問題全般に関する相談が可能

弁護士に相談する場合

上記特徴を見ると、弁護士は労働問題全般に関する相談が可能なので、最初から弁護士に相談するという方法が有効でしょう。
しかしながら、弁護士に相談したくても敷居が高く感じたり、お知り合いにいない場合には、どの弁護士に相談したらよいか迷ってしまうところです。
弁護士を探す主な方法は、①インターネットで直接見つける、②弁護士会への問い合わせ、③法テラスへの問い合わせなどがありますが、それぞれの検索方法にも特徴があります。詳細は、「未払い残業代請求について弁護士の探し方や相談の仕方とは？」をご参照ください。