- 残業代請求をすることにはリスクがある
- リスクを知っておけば対応はできる
- 専門家である弁護士に依頼をすることでリスクは大幅に減る
【Cross Talk】残業代を請求するとリスクを背負うってどういうこと!?
私は以前とある会社で働いていたのですが、その会社では特に理由もなく残業代の支給がなかったので、きちんと法的な手段で取り戻そうかと思っています。残業代も給料なわけですから、請求したとしてもリスクがあるなんてことは無いですよね。
いいえ、残業代請求によってリスクを背負うこともあります。ただ、どのようなリスクを背負うことになるか知っておくと対応ができるので、知っておいてください。
残業代は本来労働者に支払われるべき給与であり、取り戻そうとすることは正当な行為です。
しかし、残念ながら残業代の請求でリスクが生じる場合はあります。
どのようなリスクが発生するかを知っておけば、リスクを最大限回避できるようになりますので、そのリスクの内容と対応策について知っておきましょう。
残業代請求におけるリスク
- 残業代請求をすると、在職中・退職後に会社による嫌がらせを受けるリスクがある
- 適切な請求をしないことによって残業代の請求に失敗するリスクがある
残業代請求によってどんなリスクが生じるのですか?
残業代請求によって会社から嫌がらせをされるリスクが在職中・退職後双方にあるのと、残業代請求を適切に行わないことで請求そのものが失敗に終わってしまうというリスクがあります。
残業代請求をすることによってどのようなリスクが生じるのでしょうか。
在職中に嫌がらせに合うリスク
まず、在職中に勤務先に残業代請求をすることによって、会社側から嫌がらせを受けることが考えられます。
具体的には、転勤をさせられる・配属を変えられる・仕事を与えてもらえない、といったものから、ひどいものになると長時間の叱責を受ける、暴力を振るわれるといった違法性の強いものが想定されます。
退職後に請求する場合でも嫌がらせされるリスクはある
では退職後に請求する場合には、いかなる嫌がらせもされないのか?というとそういう訳でもありません。
いくつか想定される事例としては、会社が転職先の職場に連絡を取ることができるような場合には、残業代請求をしている事実をバラす事があります。
また、在職中に備品を壊してしまったなどの失敗を原因として、または退職をしたことにより忙しくなった・人手が足りなくなった、などを原因に損害賠償をするような事もあります。
もちろんこれらの行為は違法なものであったり、過大な請求であったりするケースもあるのですが、その判断は一般的には難しいため、残業代の請求に二の足を踏んでしまうことにつながります。
残業代請求に失敗して準備にかけた時間と手間が無駄になるリスク
嫌がらせの他に考えておきたいリスクとしては、残業代請求が失敗におわり、準備をしてきた時間や手間などが無駄になるリスクがあります。
残業代というのは労働の対価ですので法律上は正当に受け取る権利があるのですが、最終的にその請求権の有無は裁判で決着をつけることになり、裁判になった場合には原告となる請求側で立証しなければなりません。
立証の手段としてタイムカードなどの証拠を揃える必要があるのですが、漫然と残業代の支払を請求した結果、証拠になるものの一切を隠匿されてしまい、請求することが不可能になってしまうような場合があります。
また、残業代請求は2年(場合によっては3年)の消滅時効にかかるのですが、請求に手間取ってしまった結果、時効期間を経過してしまい請求ができなくなってしまうようなケースも考えられます。
残業代請求に失敗するケースについては、「未払い残業代請求が失敗するケース9例」こちらの記事も参照してください。
リスクを抑えて残業代請求する方法
- 残業代請求のリスクを抑える方法を知る
では、以上のような残業代請求のリスクはどうやったら抑えられますか?
3つの方法を知っておいてください。
では、リスクを抑えて残業代請求をするためには、どのようにすれば良いでしょうか。
請求時のための証拠を集めておく
まず、残業代請求に失敗する多くの場合は、証拠の確保に失敗することにあります。
いざ退職を決めてから、過去のタイムカードを探す・パソコンのログを探す・入退館記録を探す、といった行為は、人事・総務といった部署で管理をしていることがほとんどで、従業員が一人で過去のものを全部揃えられるような環境にないと考えるべきです。
そのため、タイムカードは提出前にコピーを取ってから提出する、インターネット等で管理をしている場合には画像に残しておく、などの措置をこまめにするようにしておきましょう。
退職後に請求をする
残業代の請求は退職後にしましょう。
残業代請求をするということは、労働者と会社が当事者となって紛争になることを意味します。
在職中に残業代請求を行うということは、給与という形で生活を会社に依存しながら、民事の紛争当事者になるという事を意味しますので、やはり弱い立場での残業代請求を強いられます。
嫌がらせが度重なれば精神的に参ってしまい、不本意な解決をしてしまう可能性もありますので、残業代請求は退職後に請求するのが賢いといえるでしょう。
弁護士に代理で請求をしてもらう
請求にあたって弁護士に代理で請求してもらう事でも、リスクを低減する方法できます。
弁護士に依頼をするというのは、法律的な面で助けてもらう、というイメージが強いかもしれませんが、他にもメリットはあります。
まず、残業代請求の当事者が面と向かい合うと、交渉が感情的になってしまい、必要のない訴訟や会社側からの嫌がらせ行為に発展する可能性があります。
弁護士が間に入ることで、法律的に正しい主張をしつつ、冷静な交渉をしてもらうことができるようになります。
また、弁護士による請求がされている事を知れば、嫌がらせをすることで余計に事態をこじらせることになると会社も考えると期待できます。
まとめ
このページでは、残業代請求に伴うリスクについてお伝えしてきました。
本来は給与として支払われるべき残業代ですが、それを請求することによって嫌がらせや、やり方を間違えば残業代が請求できなくなってしまうというリスクがあります。
リスクへの対処方法をもう一度確認していただき、請求が難しくなるような事が想定されるならば、弁護士に相談するなどして、リスクを最大限減らして残業代請求を行うようにしましょう。