訴訟に必要な書類は状態によって異なる。
B型肝炎給付金を受けるには、B型肝炎給付金請求訴訟を行う必要があります。
このときに、様々な書類を添付しなければならないのですが、どの書類が必要なのでしょうか。
どの書類が必要かは、請求する人の状態によって異なるので注意が必要です。
ポイント
- 訴訟には添付書類を提出する必要がある。
- その人の状態によって提出する書類が異なる
目次
一次感染者の場合
請求をする人が一次感染者である場合には
- 訴状
- B型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
- 満7歳になるまでに集団予防接種またはツベルクリン反応検査を受けていることを証明する書類
- 母子感染ではないことを証明する書類
- 集団予防接種等以外の感染原因がないことを証明する書類
- 病態を明らかにするために必要な書類
以上の書面の提出が必要です。
訴状
給付金を請求するための書類(訴状)を弁護士が作成します。
B型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
B型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類として、次のようなものを用意します。
-
6か月以上の間隔をあけた連続した2時点における、以下のいずれかの検査結果
- HBs抗原陽性
- HBV-DNA陽性
- HBe抗原陽性
- HBc抗体陽性(高力価)
前者の検査結果を利用する場合、2回目の検査をする前に亡くなってしまうケースがあります。
この場合、医学的知見を踏まえた個別判断により、B型肝炎ウイルスの持続感染が認められる場合があるので、弁護士にご相談ください。
満7歳になるまでに集団予防接種またはツベルクリン反応検査を受けていることを証明する書類
満7歳になるまでに集団予防接種またはツベルクリン反応検査を受けていることを証明する書類としては、次のものがあります。
- 母子健康手帳(母子手帳)
- 予防接種台帳
-
母子手帳または予防接種台帳を提出できない場合には、
- 提出できない事情を説明した陳述書
- 接種痕が確認できる医師の意見書(接種痕意見書)
- 住民票または戸籍の附票
- 予防接種台帳に記載がないことの証明書(該当時期の予防接種台帳を保存している市区町村に居住歴がある場合で予防接種 台帳に記載がない場合に必要)
母子感染ではないことを証明する書類
一次感染者としてB型肝炎給付金を受けるには、最も有力が原因である母子感染ではないことを証明するため、次のような書類を提出する必要があります。
- 母親のHBs抗原が陰性 かつ HBc抗体が陰性(または低力価陽性)の検査結果
- 年長のきょうだい(兄、姉)のうち一人でも持続感染者でない者がいることを証明する書面(母親が死亡している場合)
- その他、医学的知見を踏まえた個別判断により、母子感染によるものではないことが認められることが証明できる書面
集団予防接種等以外の感染原因がないことを証明する書類証明する書類
B型肝炎給付金は、国の予防接種等によって感染した場合に給付が認められるものであり、その他の感染経路によって感染していないことを確認する書類が必要です。
- カルテ等の診療記録
- 父親がB型肝炎ウイルスの持続感染者である場合には父親と請求者のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査(HBV分子系統解析検査)結果
- 請求者のB型肝炎ウイルスがジェノタイプAeではないことを証明する検査結果
病態を明らかにするために必要な書類
病態によって給付金の金額が異なるので、現在の病態を明らかにするために次のような書類などを提出します。
- 診断書(B型肝炎ウイルス持続感染者の病態に係る診断書|肝疾患診療連携拠点病院、肝疾患専門医療機関にて作成)
- カルテ(診療記録)
二次感染者(母子感染)の場合
二次感染者(母子感染)の場合には次のような書類が必要です。
- 請求者の母親が一次感染者の要件を満たすことを証明する資料
- B型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
- 母子感染であることを証明する書類
- 病態を明らかにするために必要な書類
請求者の母親が一次感染者の要件を満たすことを証明する資料
請求者の母親が一次感染者の要件を満たすことを証明する資料を提出します。
B型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
請求する人がB型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類を提出します。 内容は一次感染者に関するものと同様です。
母子感染であることを証明する書類
母子感染であることを証明する書類として、
- ①請求者が出生直後に既にB型肝炎ウイルスに持続感染していたことを示す資料
- ②請求者と母親のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査(HBV分子系統解析検査)結果
以上の①または②に該当する資料が必要です。
①または②の方法によることができない場合でも、、以下の条件をすべて満たすことで立証が可能です。
- 請求者の出生前に母親の感染力が弱かったこと(HBe抗原が陰性であったこと)が確認されないこと
- 請求者が昭和60年12月31日以前に出生していること
- 医療記録等に母子感染とは異なる原因の存在をうかがわせる具体的な記載がないこと
- 父親が持続感染者でないか、又は父親が持続感染者の場合であっても、請求者と父親のB型肝炎ウイルスの塩基配列が同定されないこと
- 請求者のB型肝炎ウイルスがジェノタイプAeでないこと
病態を明らかにするために必要な書類
こちらも、一次感染者に関するものと同様です。
遺族の場合
相続人である遺族はB型肝炎給付金を受け取ることが可能です。 この場合には、
- 被相続人が一次感染者または二次感染者ということが証明できる書類
- 相続人であることを証明する戸籍謄本等
- 死亡診断書
が必要です。