- 管轄とは、どの裁判所が事件の担当をするかについての仕組み
- 遺産分割調停の管轄
- 遺産分割調停の土地管轄
【Cross Talk 】遺産分割調停はどの裁判所に申立てれば良いのでしょうか?管轄とは?
相続についての質問です。遺産分割協議を長い間やっていたのですが、なかなかまとまらず家族がギスギスしはじめてきてしまいました。そこで、冷静になるためにも遺産分割調停を利用しようと思っているのですが、どの裁判所に申立てをするのでしょうか。調べているうちに「管轄」という言葉も出てくるのですが、詳しく教えてもらえますか?
管轄というのは、どの裁判所が事件を担当するかについての定めをいいます。遺産分割調停については、規定に従った家庭裁判所に申立てをします。
詳しくお話しを聞いてもらってもいいですか?
遺産分割調停を行うには裁判所に申立てをします。裁判所と一口に言っても、いくつもの種類が日本全国にあります。 ある案件について、どの裁判所が担当をするかについての問題を管轄と呼んでいます。このページでは遺産分割調停についてお伝えいたします。
遺産分割調停の管轄とは
- 管轄とは、どの裁判所が事件を担当するかという問題
- 管轄の重要性
遺産分割調停の管轄とはどのような意味ですか?
遺産分割調停の管轄とはどのような意味ですか?
遺産分割調停における管轄とはどのような意味なのか確認しましょう。
管轄とは
管轄とは、ある事件について、どの裁判所が担当をするか、を決めるものです。 裁判所と一口にいっても、さまざまな種類の裁判所が日本全国にあります。 イメージしやすいのは、地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所ですが、高等裁判所・最高裁判所も裁判所には違いありません。管轄には、職分管轄・事物管轄・土地管轄などの種類があります。 職分管轄とは、ある事件や手続きを、どの種類の裁判所が取り扱うか、という管轄の種類で、地方裁判所・簡易裁判所・家庭裁判所のどれが担当するかについて決めるものです。例えば、判決を出すのは地方裁判所ですが、判決に基づいて強制執行を行うのは執行裁判所、という具合です。
事物管轄とは、裁判の第一審を地方裁判所と簡易裁判所のどちらが担当するか、を決める管轄のことをいいます。場合によっては、上記の職分管轄も含めた意味で用いられることもあります。 遺産分割調停にはあまり関係ないですが、例えば請求額が140万円を下回るような請求の場合は簡易裁判所が行います。 土地管轄とは、どの土地の裁判所が、遺産分割調停事件を担当するか、についての管轄です。 こちらについては後述します。管轄の重要性
管轄については紛争解決において重要な役割をします。 特にどの土地で手続きを行うかについて、あまりにも遠方で遺産分割調停をすることを強いられると、- 遺産分割調停の期日ごとに遠方の裁判所に行くことを強いられる可能性がある。
- 弁護士に依頼をする場合、交通費などの実費の出費を強いられる可能性がある。
- 電話会議で行う場合に、調停委員に表情を察してもらったりすることができず、自分が考えていることを伝えきれないことがある。
遺産分割調停の土地管轄
- 土地管轄の原則は相手の住所地
- 不利な場合には電話会議システムを利用可な場合がある
家庭裁判所に申立てをするというのはわかったのですが、家庭裁判所は全国にありますよね?どこの裁判所に申立てをすれば良いのでしょうか。
どの土地の家庭裁判所に申立てをするかは土地管轄の問題になるので確認しましょう。
遺産分割調停は家庭裁判所に申立てをしますが、家庭裁判所は日本全国にあるので、どの場所の家庭裁判所に申立てをするか、という土地管轄の問題が発生します。
遺産分割調停の土地管轄の原則
遺産分割調停は家庭裁判所に申立てをするのですが、家庭裁判所は日本全国に存在します。 どの場所の家庭裁判所に遺産分割調停を申立てるか、言い換えれば、どの場所の家庭裁判所が担当するか、を土地管轄と呼びます。遺産分割調停に関しては、家事事件手続法245条1項によって、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行うのが原則となります。 そのため、自分が大阪市に住んでいて、遺産分割調停を起こす相手が東京に住んでいる場合には、東京の家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。合意管轄
同じ家事事件手続法245条1項は、当事者が管轄についての合意を定めた場合に、その裁判所の土地管轄を認めています。 この合意については、書面・電磁的記録によってされなければ効力を生じません(家事事件手続法245条2項、民事訴訟法11条2項・3項)。管轄で不利な場合の処理
上述のように、自分が大阪市に住んでいて、相手が東京都に住んでいる場合には、原則として東京都(23区の場合には東京家庭裁判所)に調停を申立てることになります。 当然ですが、このような場合に、大阪市の裁判所に遺産分割調停を申立てる合意をとろうと思っても、相手は合意しないことが多いです。 このような場合には、電話会議システムを使うことが可能となっています。 電話会議というと、携帯電話に電話をかけて当事者と調停委員が話し合うという方法をイメージするかもしれませんが、それでは本当に電話に出ている人が、調停委員・当事者であると確認することが難しいといえます。そのため、電話会議システムで出席する当事者が、最寄りの家庭裁判所に出向いて、そこで電話会議システムの設備がある部屋で会議を行う、という運用になっていることが一般的です。 ただし、電話会議で行うかどうか、最終的には裁判所が判断します。 場合によっては、電話会議が認められない場合もあります。
通話は複数の人が同時に聞くため、通常の携帯電話のように耳にあてて聞くのではなく、スピーカー機能を持つ電話をつかって通話を行います。 通常の当事者が出席している期日では、調停委員は当事者がどのような表情をしているか、といったことも考慮することが可能なのですが、電話会議システムでは音声のみの通話になるので当事者の表情を読み取ることができません。 遺産分割調停は複数回あるため、どうしても言いたいことが伝わらない場合には、直接出向くことも検討しましょう。
まとめ
このページでは、遺産分割調停についての管轄についてお伝えしました。 どの裁判所に申立てをするかについて確認をして、不明な点があれば弁護士にご相談をするようにしてください。
- 遺産相続でトラブルを起こしたくない
- 誰が、どの財産を、どれくらい相続するかわかっていない
- 遺産分割で損をしないように話し合いを進めたい
- 他の相続人と仲が悪いため話し合いをしたくない(できない)
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