- 相続手続きを何もしないとどうなるか
- 準確定申告・相続税申告は行わなければ刑罰が科される
- 速やかに手続きを行うコツ
【Cross Talk 】相続手続きが面倒!何もしないとどうなるのでしょうか。
こんなこと相談して良いのか…と思うのですが、相続手続きが面倒なのですが、もし何もしなかったらどうなるのでしょうか。
準確定申告、相続税申告については刑罰が科される可能性があります。相続手続きごとに確認しましょう。
お願いします。
相続手続きについて、面倒である・お金がかかる・時間がないなどの理由から、手続を行わないとどうなるのでしょうか。相続手続きと一口に言っても様々な手続きがあるので、一つ一つどのようなことが起きるのか確認しましょう。
相続手続きを何もしないとどうなるか
- 相続手続きをしないとどうなるのか手続きごとに解説
- 相続税申告と準確定申告については無申告加算税・重加算税に加えて刑事罰が科せられるので注意
相続手続きといっても、不動産の登記名義の変更や、預貯金を受け取るなど色々ありますが、どうなるのでしょうか?
手続きごとに確認しましょう。
相続手続きを行わないとどうなるのか、手続きごとに確認しましょう。
相続放棄・限定承認
相続放棄・限定承認については、原則として3ヶ月以内に行う必要があります(民法915条1項)。 3ヶ月以内に行わない場合には、民法921条2号によって単純承認したものとみなされ、以後は無限に権利義務を承継することになります(民法920条)。 そのため、手続きを行わないと、相続放棄・限定承認ができなくなります。 3ヶ月以内に相続放棄をすることができない事情がある場合には、相続の承認又は放棄の期間の伸長の手続きをすることで、3ヶ月の期間を延長することができます(民法915条1項ただし書)。準確定申告
被相続人が個人事業主などで、確定申告が必要である場合には、相続人が準確定申告を行う必要があります(準確定申告)。 準確定申告は相続開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に行うことになります。 この申告をすれば還付を受けられるケースがありますが、申告をしない以上、還付を受けることはできません。 準確定申告をしなければ、無申告加算税・重加算税・延滞税の支払いが必要となります。 また、場合によっては、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(併科もある)の刑罰が科される可能性があります。相続税申告
相続税は、相続開始を知ったときから10カ月以内に行う必要があります(相続税法27条)。 相続税の申告をしなければ、準確定申告同様に、無申告加算税・重加算税・延滞税の支払いが必要になります。 また、期限内に申告書の提出をしなければ、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となり、偽りその他不正の行為によって相続税を免れた場合には10年以下の懲役もしくは1、000万円以下の罰金が課されます。 遺産分割に手間取り10カ月以内に終わらないような場合には、一旦法定相続分で申告をして、後に更正の請求をして、納めすぎた相続税を取り戻すことになります。預金口座
預金口座は、口座名義人が亡くなり、金融機関に知らせると凍結されます。 預貯金は債権ですので、最後の取引から5年を経過すると、時効により消滅することになります。 また、最後の入出金から10年以上取引のない口座は休眠預金とされると、預貯金は預金保険機構に移されることになり、民間公益活動に利用される旨の法律が施行されています(休眠預金等活用法)。不動産
不動産については、相続によって手続きをする義務がなく、所有権の移転登記をする義務や罰則があるわけではありません。 また、預貯金のように手続きをしないからといって、時効にかかるものではありません。 ただ、不動産を所有している人は固定資産税を納める必要があります。 相続人が複数いる場合には、固定資産税に関する納税通知書を受取などの便宜の観点から、相続人代表者指定届を提出します。この届けについては提出されなくても罰則等はなく、市区町村が決めた相手に納税通知書が送られることになります。
速やかに手続きを行うために
- 戸籍の収集を速やかに行う
- 遺産分割がまとまらない場合には弁護士に依頼をすることも検討
なるほど、銀行預金が無くなったり、刑事罰になるのは困りますね。手続きを速やかに行うコツみたいなものはありますか?
相続手続きに不可欠な戸籍の収集と、遺産分割がなかなか前に進まない場合の対処法を知っておきましょう。
相続手続きを速やかに行うためのコツとして、必要な戸籍の収集と、遺産分割について確認しましょう。
戸籍の収集のコツ
遺産分割手続きにおいては、相続人を確定させるために戸籍の収集が必要となります。 他に相続人がいないことを証明するために必要となるので、最後に戸籍があった本籍地で取得するのみならず、生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍を取得する必要があります。年配の方ですと、現在の市区町村と異なる名称である場合があります(例:東京23区は明治22年から昭和18年までは東京市であり、戸籍も東京市のものとして取り寄せる)。 また、市区町村の合併により、戸籍の住所(本籍)が異なる場合もあります。 戸籍は連続して存在するので、一番直近の戸籍から、生まれた時期まで遡ることで取得していくのがコツです。
例えば、東京市の時の本籍が不明であっても、今の戸籍があるところから遡っていけば、東京市の時の戸籍の本籍が判明します。 戸籍については「相続したときに必要な戸籍謄本の取り方・見方・提出先について解説!」で詳しくお伝えしていますので参考にしてください。遺産分割がまとまらない場合
遺産分割の交渉を行ったけれども、当事者で揉めてしまい手続きが進まないということがよくあります。 相続に関しては、家族問題という側面もあるので、争いになると、相手の主張自体には納得せざるを得ない場合でも、感情的には認めがたく、話し合いが前に進まない、ということが発生することがあります。 このような場合には、弁護士に依頼をすれば、法律的な助力のほか、当事者の間に立つことで、いわば緩衝材となり、感情的な争いが和らげられることが期待できます。手続きが面倒
相続に関する手続きは、上記の戸籍の収集、添付書類の収集、書類の作成など、手間もかかり、特に相続税・準確定申告については税金に関する知識も必要です。 そのため、調べものをしたり、関係者同士ですり合わせをするのが面倒という方も多いです。 費用はかかりますが、専門家に依頼をするのが良いといえるでしょう。 また、相続税に関しては、申告期限が3ヶ月以内に迫っているような場合には、追加料金を請求されることもあります。 専門家に依頼をするのであれば、早めに依頼をするようにしましょう。まとめ
このページでは、相続手続きを行わないとどうなるか、についてお伝えしました。 面倒な相続の手続きですが、相続税・準確定申告については刑事罰の対象になることもありますし、預貯金については時効の問題点もあります。 費用がかかるものではあっても、弁護士に依頼することを検討してみてください。
- 死亡後の手続きは何から手をつけたらよいのかわからない
- 相続人の範囲や遺産がどのくらいあるのかわからない
- 手続きの時間が取れないため専門家に任せたい
- 喪失感で精神的に手続をする余裕がない
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