- 任意後見受任者と任意後見人・任意後見監督人は存在する時期が異なる
- 任意後見受任者とは、後に任意後見人となる人のことをいう
- 任意後見人とは、財産管理・療養介護のための契約などを行う人のこと
- 任意後見監督人は家庭裁判所が選任する
【Cross Talk 】任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人、似たような言葉の意味が分かりづらいのですが…
終活をしており任意後見の利用を考えています。いろいろ調べていると、任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人など、いろんな人がいてわかりにくいです。
それぞれの言葉の意味を知っておくと区別しやすいですよ!どのタイミングで出てくる人か、どんな人がなるのか、誰が選任するのかなどの基本的なことをおさらいしましょう。
是非教えてください!
自分の判断能力が無くなって後見が開始するときに、自分が選んだ後見人に事務を依頼できるのが任意後見制度です。この制度についての解説をする際に、任意後見〇〇という単語が頻繁に出てくるので、法律用語に馴染みがなければなかなか理解しにくいです。任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人それぞれの単語の意味と、どのような違いがあるのかについて整理をしましょう。
任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人の意味を確認
- 任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人それぞれの言葉の意味
- 任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人はどのような人がなるのか
任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人それぞれの言葉の意味をどう理解すればいいですか?
一つずつ確認しましょう。
任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人の言葉の意味を確認しましょう。
任意後見受任者
任意後見受任者とは、後見が開始した段階で任意後見人となってもらう人のことをいいます。 任意後見契約では、将来判断能力がなくなったときに任意後見人としての業務が開始され本人のために事務を行います。
つまり、任意後見契約が締結されても、判断能力がなくなって任意後見が開始されるまでは任意後見人はいないので、その間に任意後見人になる人のことを指すために使われる用語です。 任意後見受任者に関しては、任意後見契約に関する法律(以下「任意後見契約法」)2条3号で規定されているので、法律用語です。
誰を任意後見受任者とすることも自由ですが、任意後見を利用する際、- 以下の民法847条の後見人の欠格事由がある人
- 家庭裁判所に法定代理人・保佐人・補助人を免ぜられた人(同条2号)
- 破産者(自己破産手続き開始決定を受けてから免責がされるまでの間の人)(同条3号)
- 行方の知れない人(同条5号)
- 本人に対して訴訟をした人とその配偶者・直系血族
- 不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適さない事由がある人
任意後見人
任意後見人は、任意後見を利用する際、本人の保護のために財産管理・療養介護のための契約などを行う人のことをいいます。 任意後見人も任意後見契約法2条4号に規定されている法律用語です。 任意後見人に選ばれる人は本人の状態や意向まわりにどのような人がいるかによって様々です。 身内の人にお願いをして報酬を安く抑えてもらうこともできますし、弁護士などの専門職に依頼をすることもあります。 任意後見人には法人もなることができますので、社会福祉法人やNPO法人などが就任することも可能です。任意後見監督人
任意後見監督人とは、任意後見制度を利用する際に選任される人で、任意後見人の職務を監督する立場の人をいいます。 任意後見監督人は、任意後見人の職務が適切に行われているかどうかを監督する立場の人で、任意後見をする場合には必ず家庭裁判所によって選任されます(任意後見契約法4条) 任意後見監督人は、家庭裁判所から弁護士などの専門家が選任されることがほとんどです。任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人それぞれの違い
- 任意後見受任者と任意後見人・任意後見監督人は存在する時期が違う
- 任意後見監督人は家庭裁判所が選任
なるほど任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人3つの言葉の意味が大体わかりました。
それぞれ、いつ存在する人なのか、誰が選任するのかというところで違いがありますので、確認しましょう。
任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人の3つの用語の違いについて確認しましょう。
任意後見がはじまる前は任意後見受任者で、任意後見がはじまると任意後見人・任意後見監督人
まず、任意後見受任者と任意後見人・任意後見監督人は存在する時期が異なります。 任意後見契約を結んで任意後見が始まるまでの間は、任意後見人・任意後見監督人はまだ選任されておらず、後に任意後見人となる人が任意後見受任者ということになります。 逆に、任意後見監督人が選任されると、任意後見受任者はそのまま任意後見人となって任意後見が始まるので、任意後見受任者という立場の人が居なくなります。任意後見人監督人は家庭裁判所が選任する
誰が選任するのか、という点からも明らかな違いがあります。 任意後見受任者は本人が任意後見契約で選びます。 任意後見人は任意後見受任者が就任するので、本人が選んだといえます。 一方、任意後見監督人は家庭裁判所が選任します。 これは、家庭裁判所が、本人が選んだ任意後見受任人を監督するために選任されるのが任意後見監督人だからです。まとめ
このページでは、任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人3つの用語についてお伝えしました。 任意後見という制度は、用語に馴染みがないと、内容を理解するのが難しいこともあります。 弁護士にご相談いただき、不明な点を解消することをおすすめします。
- 判断力があるうちに後見人を選んでおきたい
- 物忘れが増えてきて、諸々の手続きに不安がある
- 認知症になってしまった後の財産管理に不安がある
- 病気などにより契約などを一人で決めることが不安である
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