- 不動産には4つの評価の方法がある
- 遺留分侵害額請求 をする際にはまず実勢価格で評価をするのがよい
- 遺留分侵害額請求をするにあたって不動産の評価で争いのある場合の対応方法
【Cross Talk 】遺留分侵害額請求をしようと思っているのですが不動産はどうやって計算すればいいですか?
先日父が亡くなり相続が開始した件でご相談です。父は全ての遺産を兄に相続させる旨の遺言書を残していました。私も子どもが高校にあがることもあり物入りなので、遺留分侵害額請求をしようと思っています。遺留分がいくらなのか計算しているのですが、不動産はどのように計算すればいいのでしょうか。
確かに、不動産の評価の方法は複数あって分かりづらいですね。遺留分侵害額請求をするときには実勢価格で計算するのが良いでしょう。
そうなるとだいぶ争いになるかもしれません…対象方法なども教えてもらえますか?
遺留分を侵害された相続人は、侵害者に対して遺留分侵害額請求をすることができます。その計算にあたって遺産の総額を求める必要があるのですが、不動産がある場合には実勢価格で計算をしましょう。 不動産の評価にはいくつかの種類があり、相続税などでは他の基準を利用することもあって、不動産をいくらで計算するか争いになることもありますので、争いになった場合の対処方法についても確認しておきましょう。
遺留分侵害額請求権を行使する場合の不動産の評価方法
- 不動産の4つの評価方法
- 遺留分侵害額請求をする場合には実勢価格で評価するべき
遺留分侵害額請求をする場合の不動産の評価方法は実勢価格で評価するのが良いんですね。
はい、不動産には主に4つの評価方法がありますが、遺留分侵害額請求をする場合の評価方法はまず実勢価格で評価をするべきです。
遺留分侵害額請求権を行使する場合の不動産の計算をするための評価方法は実勢価格で行いましょう。
4つの評価方法
不動産の評価方法には主に次の4つの種類があります。- 公示価格
- 相続税評価額
- 固定資産税評価額
- 実勢価格
公示価格(公示地価)は、一般の取引価格に指標を与え、公共事業用地の取得のための計算の基準とするために、地価公示法に基づいて定められる価格です。 相続税評価額は、相続税における不動産の算定のために用いられる価格です。いわゆる路線価などを利用する場合がこれにあたります。 固定資産税評価額は、固定資産税の算定のために用いられる価格です。 実勢価格は、実際に取引をする際の価格のことをいいます。 それぞれの目的に従って不動産の価値を評価するので、同じ不動産でも異なる価格で算出されることになります。
遺留分侵害額請求権を行使する場合には実勢価格で評価をするのが良い
遺留分侵害額請求権の行使にあたっては、まず、具体的に遺留分がいくらなのかを計算する必要があります。 そして、遺産に不動産が含まれている場合には、不動産がいくらであるのかを計算する必要があります。 このときの価格は実勢価格で評価をするべきです。 遺留分は遺産がいくらの価値を持っていたかによって決まるものですので、まずは遺産が現実にいくらの価格なのかによって確定させるのが適切だからです。遺留分侵害額請求権を行使して不動産の価格に争いがある場合の処理
- 遺留分侵害額請求は内容証明で行う
- 争っているのは本当に不動産の価格の部分かを見極める
遺留分侵害額請求をした場合で、不動産の価格に争いがある場合には、どのような処理が望ましいのでしょうか。
時効の関係があるので早めに内容証明を出すことと、争っているのが本当に不動産の価格の部分かを見極めるようにしましょう。
遺留分侵害額請求権を行使したものの不動産の価格に争いがある場合には、どのような処理をすべきか確認しておきましょう。
遺留分侵害額請求は必ず内容証明郵便で行う
まず、口頭や書面で請求したにもかかわらず、不動産の価格の部分等で話し合いが全く進まない場合には、早めに内容証明郵便を送るようにしましょう。 遺留分侵害額請求権に関しては、相続が開始して遺留分の侵害を知ったときから1年が経過すると時効で消滅することになっています(民法1048条)。 この1年の間に遺留分侵害額請求をしていたことを証明できないと、後々裁判を起こしても時効の主張をされてしまい、請求が棄却されることになりかねません。 内容証明郵便(配達証明付き)で遺留分侵害額請求をすることによって、遺留分侵害額請求をする旨の書面を時効期間内に送ったことを証明することができます。 口頭やただの書面で請求をし、不動産の価格で争っているうちに1年が経過した、ということがないように、早めに内容証明を送るようにしましょう。不動産の価格に争いがあって支払いに応じない場合には早めに調停を提起する
不動産の価格については上記のように4つの評価基準があります。 その中で比較的目に触れやすいのが、毎年の固定資産税の納税のために役所から送られてくる固定資産税の納付用紙に記載されている固定資産税評価額です。
この固定資産税評価額は実勢価格よりも低い価格で見積もられることが多いです。 そのため、実勢価格をベースに請求をしても、固定資産税評価額で計算した場合には「遺産の価格はもっと低いはずである」などと反論されることが想定されます。 しかし、これもまずは、不動産会社に出してもらった実勢価格を相手に示して、固定資産税評価額では計算されないことを主張すべきです。
もっとも、不動産の価格をどう計算するかで長期間揉め続けるというのは、あまり現実的ではありません。 にも関わらず、不動産の価格を持ち出して長期間支払いに応じない状態が続く場合は、現実には不動産の価格がいくらなのかを争っているというよりは、そもそも遺留分侵害額請求に応じるつもりがないと考えられる場合も少なくありません。 というのも、遺留分侵害額請求をされた場合には、遺留分として計算された金額を金銭で支払わなければならず、遺贈されたものがほとんどが不動産しかないような場合、支払う金銭が不足している可能性も高いからです。 こうなった場合は、早めに弁護士に依頼をしたり、法的手続きである遺留分侵害額請求調停の提起をするなど、はっきりとした請求のための手段を取ったほうが、解決しやすいといえます。
まとめ
このページでは、遺留分侵害額請求をした場合の、不動産の評価についてお伝えしました。 遺留分侵害額請求をするときには、4つある不動産の評価方法のうち、まずは実勢価格を利用するべきなのが通常です。 また、争いがある場合には早めに内容証明を送るようにしましょう。
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