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遺言書にかかる費用と遺言書の種類別に解説
ざっくりポイント
  • 自筆証書遺言作成にかかる費用
  • 公正証書遺言作成にかかる費用
  • 秘密証書遺言作成にかかる費用
目次

【Cross Talk 】遺言書にはどれくらいの費用がかかりますか?

現在自分の相続についての対策の検討をしています。遺言書は作成しておくべきかと思っているのですが、どれくらいの費用がかかるものでしょうか。

遺言書の種類にもよりますが、作成費用と専門家に相談・依頼する費用について分けて考えるべきですね。

なるほど!どのようになっているか教えてください。

遺言書をするにはどれくらいの費用が必要なのか

遺言書を作成するのに必要な費用はどのくらいなのでしょうか。遺言書といっても通常方式の遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、それぞれで手続きも異なることから遺言書の種類ごとにかかる費用を確認しましょう。

自筆証書遺言作成のための費用

知っておきたいポイント
  • 自筆証書遺言を作成するための費用自体は微々たるもの
  • 自筆証書遺言作成を専門家に依頼する場合の相場

自筆証書遺言作成のための費用はどれくらいでしょうか。

自筆証書遺言は遺言書全文を自署するものなので、費用としてかかるのは紙・ボールペン・印鑑くらいの微々たるものです。

自筆証書遺言作成のための費用は次の通りです。 なお、自筆証書遺言の書き方については、「そんなに難しくない?自筆証書遺言の書き方(メリット・デメリット)」 を参照してください。

遺言書作成のための費用だけでいうと紙とボールペンと印鑑代のみ

自筆証書遺言は、遺言書全文を自署して、署名捺印することが必須の要件となっています。 逆に言うと、他の2つの遺言書の類型のように、公証役場などその他の機関を利用するわけではないので、遺言書作成のためにかかる費用としては、紙とボールペンと印鑑代のみです。 なお、印鑑については、いわゆる三文判といわれる簡易のものでも効力が否定されるものではありませんが、勝手に書き換えられる可能性が否定できないうえに、遺言書をみつけた遺族がその遺言書が本物なのかどうか争う可能性が否定できません。 ですので、きちんとした実印を利用したほうが良いでしょう。

専門家に相談する費用

遺言書を作成するにあたっては、弁護士や行政書士等が相談・作成指導を行なっています。 弁護士・行政書士ともに遺言書作成の費用に制限があるわけではないので、報酬は自由に設定されています。 遺言書の作成といっても遺産の内容によって考慮することが異なってきます(遺産の総額や種類が多いほうが金額も高くなることもあります)。

なお、極端に安い費用の設定をしている場合、金上乗せで遺言執行がセットになっていることがあるので、依頼する前に必ず確認するようにしたほうが良いでしょう。 自筆証書遺言は、遺言書の書き方に誤りがある場合、無効になるリスクがあります。できる限り弁護士に相談をして指導や内容のチェックをしてもらいながら作成するのが望ましいといえます。

自筆証書遺言保管制度を利用する場合

自筆証書遺言については、法務局で作成した遺言書を保管してくれる、自筆証書遺言保管制度というものがあります。 法務局で保管してくれることで、検認が不要になるなどのメリットがあります。 遺言書の保管の申請には、遺言書1通あたり3,900円の費用が必要となります。

公正証書遺言作成のための費用

知っておきたいポイント
  • 公正証書遺言作成のための費用
  • 公正証書遺言作成を専門家に依頼するための費用

公正証書遺言を作成するにはどのような費用がかかるのでしょうか。

遺言書を公正証書という公文書として作成するので、公証人に支払う手数料がかかります。

公正証書遺言作成のためにはどのような費用がかかるのでしょうか。

遺言書作成のための費用

公正証書遺言は、遺言書を公正証書として作成する形でする遺言書です。 公正証書を作成するので、公正証書を作成してくれる公証人に支払う費用が発生します。 公正証書遺言を作成する場合は、
  • 遺産の合計が1億円以下の場合には遺言加算として11,000円
  • 遺産の額に応じて公証人手数料令第9条別表に規定された5,000円~の費用(出張してもらう場合は1.5倍)
  • 公証人に自宅・病院・施設に出張してきてもらう場合には、1.5倍の手数料と日当
  • 証人に支払う費用
以上の費用がかかります。

公証人手数料令第9条別表に記載されている手数料額については、「公正証書遺言とは?作成の流れ・費用について解説」こちらのページに詳しく記載されていますので参考にしてください。 例として、遺産の額が5,000万円ですと、手数料は29,000円となります。 また、公正証書遺言は、公証役場において公証人に作成してもらうので、原則として公証役場に出向く必要がありますので、そのための交通費なども発生することがあります。 病気などの理由で公証役場に行けない場合は、公証人が出張してくれることもあります。公証人が出張する場合の日当は、4時間以内の場合には1万円・1日かかる場合には2万円です。 証人は自分で用意できる場合には費用を支払う必要はありませんが、公証人に証人を紹介してもらう場合には(地域の弁護士・税理士などの士業が紹介される)、1人あたり1万円程度の費用がかかります。

専門家に相談・依頼するための費用

公正証書遺言も、専門家として弁護士や行政書士等が作成の手伝いをしています。 公正証書遺言を作成する際には、事前に公証人と綿密な打ち合わせを行って作成することになります。 そのため、専門家に間に入ってもらうことで、スムーズな公正証書遺言書作成が可能になるので、できる限り専門家に依頼して行うことが望ましいです。 費用は概ね自筆証書遺言作成と変わらず、行政書士の場合には5万円~10万円・弁護士の場合には10万円~20万円程度になります。 遺産の種類が多い・遺産の額が多いような場合にはその分費用も大きくなるのも変わりません。

秘密証書遺言作成のための費用

知っておきたいポイント
  • 秘密証書遺言作成のための費用
  • 秘密証書遺言作成を専門家に依頼するための費用

秘密証書遺言を作成するにはどのような費用がかかるのでしょうか。

遺言書を自分で作成する費用と、公証役場での費用がかかります。

秘密証書遺言作成のためにはどのような費用がかかるのでしょうか。 なお、秘密証書遺言については「秘密証書遺言の作成方法やメリット、開封方法などについて解説!」 で詳しくお伝えしていますので、あわせて確認してください。

遺言書作成のための費用

秘密証書遺言については、自分で遺言書を作成して、公証役場で存在を証明してもらいます。 遺言書の作成の部分については、自筆証書遺言作成と変わりません。 公証役場で、存在を確認して封印をするのですが、この際に必要な費用は11,000円と証人2名の費用のみです。 証人については公正証書遺言と同じく、相場として一人1万円程度の手数料がかかります。

専門家に相談・依頼するための費用

秘密証書遺言も弁護士や行政書士等が業務として対応しています。 費用は自筆証書遺言・公正証書遺言と変わらず、行政書士が5万円~10万円・弁護士が10万円~20万円程度です。 秘密証書遺言は、自筆証書遺言と同様に自分で内容を作成しなければならず、無効にならないようにする・争いにならないようにするために、内容をチェックしてもらうことが望ましいので、できる限り専門家に相談して行うのが望ましいでしょう。

遺言書作成時には費用以外にも注意すべき点がある

知っておきたいポイント
  • 遺言書作成時の費用以外の注意点
  • 無効にならないようにする・争いにならないようにするなど

遺言書を作るにあたって費用以外にはどのような注意がありますか?

無効にならないようにする・遺言書が原因でトラブルにならないようにするなどの注意点があります。

遺言書作成時には、費用以外にも注意すべき点があります。

遺言が無効にならないように遺言書を作成する

まず、遺言が無効にならないように遺言書を作成しましょう。

せっかくトラブル回避・スムーズな手続きのために遺言書を作成しても、無効になってしまうと、有効性が争われるなど、余計にトラブルとなり、スムーズに相続できなくなります。

そのため、遺言書を作成する場合には遺言が無効にならないように、法律上の要件をしっかり確認しながら行う必要があります。 どのような方式の遺言をする場合でも遺言能力が必要で、その他は以下のように、遺言の種類によって要件が異なります。

自筆証書遺言の要件

自筆証書遺言が有効となる要件は次の通りです。
  • 遺言書の全文を自署(財産目録を除く)
  • 署名をする
  • 作成日付を記載する
  • 印鑑を押す
なお、訂正がある場合には訂正のルールがあり、これを守る必要があります。

公正証書遺言の要件

公正証書遺言の要件は次の通りです。
  • 証人2名の立ち会い
  • 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する
  • 公証人が遺言者の口述を筆記し遺言者及び証人に読み聞かせる
  • 遺言者および証人が筆記の正確なことを承認した後各自これに署名し押印する
公正証書遺言において、遺言書は公証人が作成します。

秘密証書遺言の要件

秘密証書遺言の要件は次の通りです。
  • 遺言者が遺言を作成し遺言書に署名・押印する。
  • 遺言者がその遺言を封筒に入れ遺言で用いた印鑑で封印をする。
  • 遺言者が公証人と証人2人以上の前に封筒を提出し自分の遺言であることと氏名・住所を申述する
  • 公証人がその遺言に提出した日付及び遺言の申述を封筒に記載する
  • 公証人・証人・遺言者本人が封筒に署名押印する

弁護士・行政書士・銀行や信託銀行等の違い

遺言については、弁護士のほか、上述したように行政書士や銀行・信託銀行が取り扱いを行なっています。

遺言については弁護士法72条所定の法律事務となるので、基本的には弁護士に依頼することになるのですが、例外として行政書士も報酬を得て作成をすることが認められています。

また、遺言書の保管や遺言執行などを通じて、銀行や信託銀行も遺言書に関する相談を受け付けています。

行政書士は書類の作成代行を権限としているので、遺言の内容に関するアドバイスを有料ですることはできません。

また信託銀行については遺言に直接関わる権限はなく、遺言書の作成については弁護士等に任せることになっています。

遺言でトラブルにならないようにするには

知っておきたいポイント
  • 遺言でトラブルにならないようにするための方法
  • できる限り公正証書遺言を作成する・専門家にチェックしてもらう・専門家に遺言書の保管を依頼するなど

遺言でトラブルにならないようにするにはどうすれば良いでしょうか。

できる限り公正証書遺言にするなどの対策を知っておきましょう。

遺言でトラブルにならないようにするにはどうすれば良いでしょうか。

できる限り公正証書遺言をする

できる限り公正証書遺言をするようにしましょう。

遺言にはいくつかの種類がありますが、法律の専門家である公証人が遺言公正証書を作成することになっている公正証書遺言は、形式面で無効となる可能性は極めて低く、高い信頼性があることから争いになりにくいです。

そのため、できる限り公正証書遺言で作成しておくことをおすすめします。

専門家に作成を依頼する・作成した遺言書をチェックしてもらう

専門家に作成を依頼するか、作成した遺言書は専門家にチェックしてもらうようにしましょう。

自筆証書遺言・秘密証書遺言では、遺言書は自分で作成することになります。そのため、法律が定める様式に違反してしまい、遺言が無効になることがあります。

これらの遺言書を作成する際に、専門家に依頼をして作成をしてもらうか、自分で作成した場合でも専門家にチェックをしてもらうことで、誤りやトラブルになる可能性はないかを確認してもらうのが良いでしょう。

遺言の作成を相談した専門家が遺言書を保管してくれる・遺言執行者になってくれる

遺言の作成を相談した専門家に遺言書を保管してもらうことも検討しましょう。

遺言書に関するトラブルとしては、そもそも遺言書が見つからない、遺産分割をしてから見つけられてしまい混乱するといったことや、自宅に保管をしていて誰かが見つけてしまい破棄・隠匿・改ざんされることが挙げられます。

専門家の中には、費用はかかりますが遺言書を保管してもらえる場合がありますので、これらのサービスを利用しましょう。

また、遺言の内容を実現する遺言執行者になってもらっておくと、遺言書の保管を行ってくれますし、手続きをスムーズに行ってもらえます。

まとめ

遺言書が方式を満たさない場合や、遺言能力を欠いた状態で作成された場合は、遺言無効確認訴訟を起こすことで、遺言書の無効を主張できます。 遺言書に基づく相続によって遺留分が侵害された場合は、侵害した相手に対して、遺留分侵害額請求をすることが可能です。 相続トラブルを防止するためにどのような遺言書を作成すべきか知りたい場合は、相続問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめいたします。

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この記事の監修者

弁護士 水本 佑冬第二東京弁護士会 / 第二東京弁護士会 消費者委員会幹事
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