- 遺言書は何回でも書き直すことが可能。書き直した内容は日付の新しいものが有効となる
- 遺言書によっては検認の手続きが必要
- 遺言書の内容に納得できない時には弁護士に相談を
【Cross Talk 】遺言書が複数見つかった際には、どの遺言書が有効となるのか?
父が亡くなり、自宅で遺言書が複数見つかりました。複数ある場合遺言書は有効なのでしょうか?また、どの遺言書の内容を実行したら良いでしょうか?
遺言書は何回でも書き直すことが可能です。書き直している部分は、基本的には日付が最新のものが有効となります。
詳しいお話をお願いします。
遺言書が複数見つかった場合、相続人はどのような対応を取れば良いのでしょうか?基本的に、法律上の要件を充たしている限り、遺言書を複数作成することは可能です。また、複数の遺言書のうち、内容が変更されている部分については、日付が古いものについては撤回がされたものとして扱かわれ、最新の日付の遺言書が有効となります。 遺言書が複数ある時には自筆証書遺言・秘密証書遺言は検認の手続きを行った後、時系列順に整理し、内容が変更されている箇所がないか確認しましょう。 まずは基本的な遺言書の決まりを知っておきましょう。
遺言書とは?遺言書は何回でも変更可能
- 遺言書は複数回作成、変更することが可能である
- 1通目の遺言書と2通目の遺言書の内容が変更されている場合には、1通目の遺言書が撤回されたものと扱われ、2通目の遺言書が有効となる。
そもそも遺言書は複数回書いても良いものなのでしょうか?
遺言書作成後に遺言者の考えが変わることもありますので、複数回、遺言書を変更して書くことは出来ます。
遺言書は何回でも変更可能
遺言書は、法律上の要件を充たす限り、遺言書を再度作成し、内容を変更することが可能です。 遺言書には「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類があります。いずれの種類の遺言書においても、以下の作成方法を守って遺言書を作成することで、遺言書の内容を変更することができます。【自筆証書遺言】 |
■作成方法 ■保管場所 |
---|---|
【秘密証書遺言】 |
■作成方法 ■保管場所 |
【公正証書遺言】 |
■作成方法 ■保管場所 |
遺言書を撤回するには、原則、撤回する旨の遺言書が必要
民法第1022条 には「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができる。」と記載されています。遺言書は遺言者が亡くなった時に効力が発生します。内容を撤回するためには、前述の作成方法に従って、いずれかの種類の遺言書で、従前の遺言書を撤回する必要があります。
なお、自筆証書遺言・秘密証書遺言を自身で保管している場合、遺言書を破棄する事で撤回できます。 (民法第1024条「遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。」) 法務局に保管している際には、「遺言書の保管の申請の撤回」手続きを行い、法務局から遺言書を返還してもらった後処分を行います。
公正証書遺言は、新たに遺言書を作成することで前の遺言書の内容を撤回できます。抵触する遺言書がある場合には後のものが効力を有する
遺言書は原則として最新の日付のものが有効となります。前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
例えば、自筆証書遺言2通存在しているケースで考えてみましょう。 日付の古い1通目は配偶者に全額遺産を相続する旨、日付の新しい2通目は配偶者に遺産の80%を、お世話になった方に20%を遺贈するという内容だった場合には、1通目の「配偶者に100%」という遺言書は撤回され、2通目の内容が有効という事になります。
遺言書が複数見つかった場合の相続人の対応
- 自筆証書遺言・秘密証書遺言は検認の手続きを行う
- 遺言書と財産処分についての時系列を整理、内容を確認する
遺言書が複数見つかった時には何をすれば良いでしょうか?
遺言書が自筆証書遺言・秘密証書遺言であり自宅といった身近な場所に保管されている場合は検認の手続きを行います。その後は時系列順に整理し、内容を確認しましょう。
自筆証書遺言・秘密証書遺言があった場合には検認をする
自筆証書遺言・秘密証書遺言の内容通りに相続を行う場合、家庭裁判所で「検認」の手続きを行います。 検認は遺言書の偽造・変造を防ぐためのものです。 また、遺言書をもとに預金口座の解約手続き等をする場合、検認をしたこと証明する「検認済証明書」が必要となります。 そのため、遺言書が見つかった場合、しっかり検認の手続きをしましょう。なお、自筆証書遺言が法務局に保管されている場合や、公正証書遺言が公証役場で保管されている場合には、検認を行う必要はありません。
遺言書を時系列順に整理する
遺言書が複数ある場合には、遺言書に記載されてある年月日を確認し時系列順に整理しましょう。 遺言書によって、遺産の目録や処分方法などが前の遺言書と変わっている可能性があります。遺言書の内容が矛盾している場合には、最新の遺言書が法的に有効であるならば、最新の遺言書通りに相続を行うことになります。 なお、遺言書と異なる内容の相続手続きをすることについて、すべての相続人・受遺者が同意している場合には、遺産分割協議を行ったうえで、遺言書の内容と異なる相続を行うことは可能です。遺言書の内容を争う場合
「遺言書が法的に無効である」と主張したい場合には家庭裁判所に「遺言無効確認の調停」を申立てることが考えられます。例えば、遺言書作成時、被相続人の認知機能が著しく低下しており、誰かに言われるがままに遺言書を作成した疑いが残るような場合、遺言無効の主張が認められる可能性があります。また、遺言書の内容によっては、相続人の遺留分(法律上認められた相続人の最低限の持ち分)が侵害されている場合もあります。その場合、遺言書の内容を争うことはできませんが、法定相続分以上に遺産を取得している相続人や受遺者に対して、遺留分侵害相当額の金額を請求することができます。
いずれの場合も、法律の専門家であり相続トラブルの対処に詳しい弁護士に相談する事をおすすめします。まとめ
このページでは遺言書の種類と作成方法、遺言書が複数見つかった時の相続人の対処法についてお伝えしてきました。 遺言書が法務局・公証役場以外に保管されている時は検認を行い、時系列順に整理・確認を行います。内容に従う事が難しい場合は遺産分割協議で他の相続人と話し合い、場合によっては弁護士への相談を検討しましょう。
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