- 遺産分割には遺産分割協議・遺産分割調停・遺産分割審判の3種類の手続きがある
- 遺産分割は現物分割・換価分割・代償分割・共有分割の4種類がある
- 遺言書がある場合は原則として、遺言書に沿って遺産分割をする
【Cross Talk 】遺産分割にはどのような方法があるの?
相続人で話し合って、遺産分割をしなければなりません。遺産分割にはどのような方法がありますか?
遺産を実際に分ける際の分け方は現物分割や換価分割など4つの方法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。相続の性質に応じて、適したものを選ぶことが重要です。
遺産分割には4つの方法があるんですね。遺産分割にあたっての注意点も教えてください!
どのように遺産分割をするかについて、相続人が協議をして決めることを、遺産分割協議といいます。 相続人全員が同意しなければ遺産分割協議は成立しないので、相続人が揉めないように遺産分割をしなければなりません。 遺産分割には4種類の分割方法があるので、相続の性質に合わせて適した方法を選ぶことが大切です。 そこで今回は、遺産分割の4つの方法や、遺産分割の注意点などを解説いたします。
遺産分割とは?
- 遺産分割には遺産分割協議・遺産分割調停・遺産分割審判の3種類の手続きがある
- 遺産分割調停と遺産分割審判は、裁判所による手続きである
遺産分割にはどのような方法がありますか?
遺産分割の手続きは3種類あります。相続人全員で取り決めをする遺産分割協議、裁判所の手続きである遺産分割調停、遺産分割審判です。
遺産分割の3つの手続き方法
遺産分割の手続きは3種類あるので、それぞれの概要を解説いたします。遺産分割協議
遺産分割協議とは、誰がどの遺産をどのくらい相続するかについて、相続人全員が協議をして取り決めをする手続きです。遺産分割協議が成立するには、相続人全員が協議の取り決めに合意しなければなりません。 遺産分割協議で取り決めをした内容は、遺産分割協議書という書類にまとめます。
遺産分割調停
遺産分割協議がまとまらない場合は、遺産分割調停という手続きがあります。遺産分割協議は裁判外で行いますが、遺産分割調停は裁判所(家庭裁判所)を介して手続きをすることになります。 遺産分割調停は、調停委員という第三者の介入のもとで話し合いをして、どのように遺産分割をするかを話し合いで決める手続きです。
遺産分割審判
遺産分割調停が成立しなかった場合は、遺産分割審判という手続きがあります。遺産分割審判とは、当事者の主張や証拠などをもとに、どのように遺産分割をするかを裁判官が決める手続きです。
遺産分割の4つの分割方法
- 遺産分割は現物分割・換価分割・代償分割・共有分割の4種類がある
- それぞれの分割方法にメリットとデメリットがある
遺産分割をしなければなりません。どのような分割方法がありますか?
遺産分割には4つの分割方法があります。現物分割・換価分割・代償分割・共有分割です。それぞれの特徴を把握して、適した方法を選びましょう。
現物分割
現物分割とは、文字通りに遺産を現物のままで分割する方法です。例えば、遺産として土地と預貯金がある場合に、長男が土地を相続し、次男が預貯金を相続するなどです。 現物分割は現物をそのまま分割するので、方法としてわかりやすく、相続が複雑になりにくいのがメリットです。
ただし、それぞれの遺産の価値に差がある場合は、公平に分割するのが難しくなりがちです。 例えば、遺産として1,000万円の土地と500万円の土地がある場合に現物分割をすると、相続した遺産の価値に大きな差が生じます。
換価分割
換価分割は遺産を売却したうえで、代金を分配する方法です。相続人のうち誰が遺産を相続するかで揉めている場合、誰かが遺産を取得するのではなく、遺産を売却して代金を分割するのが換価分割です。 例えば、遺産として1,000万円の不動産があり、相続人として長男と次男の2人がいるケースで見てみましょう。
長男と次男の法定相続分(民法が定める相続の割合)は、それぞれ1/2です。 不動産を売却した代金が1,000万円の場合、長男と次男が売却代金からそれぞれ500万円ずつ取得すれば、相続分にしたがって公平に分配できます。 換価分割は相続分にしたがって公平に分配しやすいのがメリットです。しかし、換価分割をすると遺産自体は処分しなければなりません。例えば、遺産の土地建物に、相続人の誰かが住み続けたい、という希望がある場合などは、使いづらい方法といえます。
代償分割
代償分割とは、ある相続人が遺産を相続し、他の相続人に対して代償金などを支払う方法です。例えば、遺産として1,000万円の不動産と500万円の預貯金があり、長男と次男が相続人のケースで見てみましょう。 長男と次男の法定相続分はそれぞれ1/2ですから、今回の事例では長男と次男は、法定相続分に基づけば、それぞれ750万円ずつ相続することになります。 長男が不動産を相続し、次男が預貯金を相続した場合は、長男のほうが500万円多く相続しているので不公平が生じています。 そこで、長男が次男に250万円の金銭を支払った場合、それぞれが取得した遺産の価値は750万円ずつになるので、遺産を公平に分配したのと同じ結果になります。
代償分割をすると、遺産を売却せずに手元に残すことができるうえに、公平に分配しやすいのがメリットです。ただし、代償分割をするには、代償金などを支払えるだけの資力が必要になります。遺産の中に預金や現金が十分にあればいいですが、それがない場合には、相続人が自身の財産の中から代償金を支払う必要があります。
共有分割
共有分割は遺産をきっちりと分割せずに、相続人で共有する方法です。例えば、親の実家を誰が相続するかで揉めて決められないので、実家の土地と建物を相続人全員で共有するなどです。 共有分割のメリットは、誰が取得するかで揉めている場合に、厳密な分割をする必要がないことです。 ただし、共有にすると後で遺産を処分するのが難しくなる、権利関係が複雑になってトラブルを招きやすいなどのデメリットがあります。
遺産分割の流れ
- 遺言書がある場合は原則として、遺言書に沿って遺産分割をする
- 遺言書がない場合は、まずは遺産分割協議によるが、場合によって調停・審判をする
遺産分割はどのような流れで進行するのかを教えてください。
遺産分割の流れは、遺言書がある場合とない場合で異なります。相続人の調査や協議書の作成などがあるので、遺言書がない場合のほうが、一般に手続きは複雑です。
遺言書がある場合の遺産分割
自分の遺産をどう処分するかについて、被相続人が最終的な意思表示を示したものを、遺言といいます。遺言が記載された書類を、遺言書といいます。 遺言書がある場合は、原則として、遺言書に記載された内容に従って遺産分割をします。 例えば、「不動産を長男が相続し、預貯金を次男が相続する」という内容の遺言書がある場合、不動産を長男が相続し、預貯金を次男が相続します。 1-1)相続人全員が賛成した場合は、遺言書の内容に沿わないで相続ができる 相続人全員が同意した場合は、例外として、遺言書の内容とは異なる遺産分割をすることができます。 例えば、相続人が長男と次男の2人の場合に、「長男が不動産を相続し、次男が預貯金を相続する」という遺言書があるとしましょう。 遺産分割協議によって「長男が預貯金を相続し、次男が不動産を相続する」という取り決めをして、長男と次男(全員)が同意すれば、その内容で相続をすることができます。 ただし、以下の場合は相続人全員が同意したとしても、遺言書の内容と異なる遺産分割をすることができません。・相続人以外の受遺者がいる場合(受遺者が遺贈を放棄しない場合)
・遺言執行者が同意しない場合
遺言書がない場合の遺産分割の流れ
遺言書がない場合は、相続人の調査や協議書の作成など様々な手続きがあるので、手続きの流れを解説いたします。相続人の調査
相続人の調査とは、遺産を相続する相続人としてどのような方がいるのかを調査することです。 相続人が誰かはわかっていると思っていても、被相続人が再婚する前に子どもがいたなど、家族が把握していない相続人が存在する場合があります。 遺産分割協議は相続人全員の同意が必要なので、一部の相続人だけで遺産分割協議をした場合、遺産分割協議が無効になってしまいます。 被相続人の戸籍を出生までさかのぼるなど、きちんと相続人の調査をすることが重要です。遺産の調査
相続が発生した場合、どのような遺産があるかをきちんと調査しましょう。相続の対象となる財産を相続財産といいますが、相続財産には預貯金や不動産などのプラスとなる積極財産と、借金や債務などマイナスとなる消極財産があります。 遺産をきちんと調査しておかないと、遺産分割協議をした後に他の遺産があることが判明し、誰が相続するかでもめるなどのトラブルになる可能性があるのです。
どのような遺産があるかを調査することで、遺産をめぐるトラブルを防止しやすくなります。遺産分割協議・遺産分割協議書の作成
相続人と遺産の調査が終わったら、相続人全員で遺産分割協議をします。遺産分割協議をするにあたっては、必ずしも相続人全員が一同に集まる必要はありませんが、協議の内容には相続人全員が同意する必要があります。 相続人全員が同意して遺産分割協議が成立した場合は、取り決めをした内容について遺産分割協議書という書類を作成します。
相続人のうち一人でも遺産分割協議に同意しない場合は、遺産分割協議は成立しません。遺産分割調停
遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所に申立てをして、遺産分割調停をすることになります。遺産分割調停では、調停委員という第三者を間に入れて当事者が話し合いをして、どのように遺産分割をするかを決めます。 当事者が調停の内容に合意した場合は、調停で取り決めをした内容に基づいて遺産分割をします。
遺産分割調停はあくまで話し合いであり、合意するかどうかは当事者の自由です。当事者が合意しない場合は、遺産分割調停は成立しません。遺産分割審判
遺産分割調停が成立しない場合は、裁判官による遺産分割審判の方法があります。 遺産分割審判は、裁判官がそれまでに提出された当事者の主張や証拠などを参考にして、どのように遺産分割をするかを決める手続きです。 遺産分割審判は裁判官が遺産分割の方法を決めるので、強制力がある一方、当事者にとって納得のいかない結論になる場合があります。遺産分割においての注意点
遺産分割には様々なポイントがありますが、特に以下の点に注意しましょう。・誰がどの遺産をどれだけ取得するかを明確にする
・後日発見された遺産をどう分配するかを決める
・不動産や預貯金などの遺産は明確に記載する
遺産分割の期日
遺産分割には法的な期限はありません。法的な期限がないことから、相続開始から多くの年月が経過したとしても、遺産分割をすることは理論上、制限されません。ただし、遺産分割自体に期限はなくても、相続に関連する様々な手続きには期限がある点に注意しましょう。
例えば、相続税の申告期限は原則として相続開始から10ヶ月であり、相続放棄の期限は原則として相続開始を知ってから3ヶ月以内です。 遺産分割が終わらないと、相続に関連する様々な手続きに影響する可能性が高いので、遺産分割はできるだけ早めに済ませるべきです。まとめ
遺産分割の4つの方法として、現物分割・換価分割・代償分割・共有分割があります。 遺産分割協議を成立させるには相続人全員の同意が必要なので、相続人が揉めないように、適した分割方法を選ぶことが重要です。 どの分割方法を選択すべきか悩んでいる場合は、相続問題の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
- 遺産相続でトラブルを起こしたくない
- 誰が、どの財産を、どれくらい相続するかわかっていない
- 遺産分割で損をしないように話し合いを進めたい
- 他の相続人と仲が悪いため話し合いをしたくない(できない)
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