相手が遺産隠しをした可能性がある場合どう調査すれば良いかについて解説
ざっくりポイント
  • 遺産隠しをした可能性を調査する方法
  • 遺産隠しのペナルティ
  • 遺産隠しをされた場合の対応方法
目次

【Cross Talk 】他の相続人が遺産隠しをしたかもしれない?どうやって調べればいいですか?

相続についてお伺いします。共同相続なのですが、他の相続人が遺産を隠したかもしれないのです。どうにか調べる方法はないですか?

財産ごとに遺産隠しの調査方法を確認しましょう。

はい、よろしくお願いします。

共同相続で遺産隠しをされた場合の調査方法とは?

共同相続をした場合に、相続人の中には遺産隠しを行う人もいます。この場合に他の相続人は遺産隠しをどのように行えば良いでしょうか。遺産隠しといってもどのような遺産を隠そうとしているかによって調査方法が異なります。遺産隠しをした場合のペナルティや、遺産隠しをした場合の対応方法と併せて確認しましょう。

相手が遺産隠しをしたかどうかを調査する方法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相手が遺産隠しをしたかとどうか財産ごとに調査する方法

相手の遺産隠しはどのように調査すればいいですか?

財産の種類ごとに遺産隠しの調査の方法を確認しましょう。

共同相続人の相手が遺産隠しをしたかどうかをどのように調査すれば良いでしょうか。 遺産隠しがよく問題となる、預貯金・貸金庫・有価証券・不動産について確認してみましょう。

現金・預貯金

現金・預貯金の遺産隠しはどう調査すれば良いでしょうか。 被相続人と一緒に暮らしている相続人がいる場合には、生活のための現金・預貯金を預かっていることがあり、そこから遺産を自分のものにしてしまうことがあります。 預貯金については、現在の残高は残高証明書で確認ができ、入出金明細でいつ・いくら出金したのかを確認可能 です。 そこから、どれくらいの現金を手元に持っていたか、毎月の生活費はいくらくらいだったかを計算し、特別な出費があるような場合に、何に使ったのか確認してみるのが良いでしょう。

貸金庫

よく利用する銀行があった場合には、貸金庫の利用がなかったかどうかを確認 すべきでしょう。 不動産・有価証券のような重要な資産を保有している場合には、紛失・滅失しないように権利証などの書類を貸金庫に預けておくことも珍しくありません。 もし貸金庫の利用をしていた場合、相続人であれば、各銀行で必要な手続きをすることによって貸金庫を確認することが可能です。

株式など有価証券

株式など有価証券を保有している場合があります。 これらは、証券会社を通じて購入するのが通常なので、証券会社に確認 をしましょう。 有価証券や証券会社の特定ができない場合には、証券保管振替機構(ほふり)に登録済加入者情報の開示請求を行いましょう。 参考:ご本人または亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合|証券保管振替機構

不動産

被相続人が亡くなったときに所有している財産については、市区町村役場において、固定資産税課税台帳や名寄帳を取得して調査 をします。 亡くなる前に売却された可能性の有無については、銀行口座の入出金履歴の売却代金を確認してみましょう。

遺産隠しのペナルティ

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺産隠しをした場合のペナルティ
  • 相続欠格となる・相続放棄ができなくなる・刑事罰に処せられるなどがある

遺産隠しをした人にはどんなペナルティが課されますか?

いくつか考えられるものについて確認しておきましょう。

遺産隠しをした場合にはどのようなペナルティが課されるのでしょうか。

相続欠格となる可能性がある

民法891条は、一定の行為を行った相続人について、相続欠格として相続できなくなることが規定されており、その中には、「詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者」は相続人になれない、との規定があります(民法891条5号) 遺産隠しをするために遺言書を偽造したような場合には、891条5号によって、相続欠格となる可能性があります。

相続放棄ができなくなる可能性がある

相続の承認をした、あるいは法定単純承認事由がある場合、相続放棄はできなくなります(民法921条)。 遺産隠しをした場合には、民法921条3号で法定単純承認となり、相続放棄が無効となる可能性があります。

刑事罰に処せられる可能性がある

遺産隠しによって遺産が少ない状態であると認識させて遺産分割協議を行うことは、詐欺罪にあたる可能性があります(刑法246条)。 詐欺罪は10年以下の懲役刑が法定されており、非常に重い罪です。

他の相続人に遺産隠しをさせないための方法

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  • 他の相続人に遺産隠しをさせないための方法
  • 財産管理方法について話し合っておくとともに

他の相続人に遺産隠しをさせないためにはどのような方法がありますか?

相続人の間で財産管理方法を話し合っておくべきでしょう。特に認知症が疑われる場合には早めに対策しておきましょう。

他の相続人に遺産隠しをさせないための方法を確認しておきましょう。

財産管理方法について話し合っておく

遺産隠しを防ぐためには、被相続人の財産管理方法について話し合っておくことが大事です。 特に相続人が同居していて、通帳などの財産の管理については任せているような場合には、遺産隠しが容易になります。 被相続人含めて財産管理方法について事前に決めておくと、ほかの相続人が財産隠しをしづらくなります。

認知症が疑われるときには早めに対策をする

被相続人に認知症が疑われるようになったときは、早めに財産管理についての対策を行いましょう。 認知症が疑われるような状態になると、どうしても周りに生活を助けてもらう必要があり、本人の管理も行き届かなくなります。 遺産隠しももちろんのこと、本人が管理できなくなって遺産隠しがされていなくても使途不明金が発生するようなことになりかねません。 財産管理方法についての話し合いはもちろん、成年後見人の選任などの対策を早めに行いましょう。

遺産隠しをした相続人がいる場合の対応方法

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 遺産隠しをした相続人がいる場合の対応方法
  • 遺産分割協議のやり直しなど

遺産隠しをした相続人がいる場合にはどのようにすればいいでしょうか。

遺産の返還や、遺産分割協議で特別受益者として扱う、遺産分割協議の無効を主張して、やり直しをしましょう。

遺産隠しをした相続人がいる場合の対応方法は次の通りです。

隠した遺産の返還を要求する

まだ遺産分割協議をしていない場合には、隠した遺産の返還を要求 しましょう。 既に遺産分割協議をしてしまっている場合には、隠した遺産の返還を要求したうえで、その遺産について新たに遺産分割協議をすることを検討しましょう。 任意に返還しない場合には、隠した遺産について、法律の原因なく取得していることから、不当利得返還請求権を行使します(民法703条)。

遺産分割協議で隠した遺産を特別受益として持ち戻しの主張をする

遺産分割協議で隠した遺産について、特別受益として持ち戻しの主張をします。 特別受益とは、複数の相続人がいる際に、特定の相続人生前贈与や遺贈などによって得た利益のことをいいます。 (特別受益について詳しく知りたい方はこちら https://souzoku.shinjuku-law.jp/column/tokubetsujueki-keisan/) 特別受益を受けた相続人がいる場合、法定相続分の相続をすると相続人の間で不公平が生じますので、特別受益を受けた分について持ち戻しによって控除することで、具体的相続分を調整します(民法903条)。 遺産隠しを行った者に対しても、隠した分を特別受益として控除し、遺産分割で考慮することができます。

遺産分割協議をやり直す・無効を主張する

隠した遺産の内容や額によっては、返還や特別受益による処理では、遺産分割が公平にならない、当事者が納得できない、という場合もあるでしょう。 このような場合には、遺産分割協議をやり直すことも検討しましょう。 遺産分割協議のやり直しに応じない場合は、遺産分割について詐欺が行われた、錯誤があったなどを主張して、遺産分割協議の取消・無効を主張します(民法95条・民法96条)

まとめ

このページでは、遺産隠しを行われた場合の調査方法や、対応方法についてお伝えしました。 相続人であれば情報を取得できることもあるので、隠した疑いがある遺産の種類に応じて調査をしてみましょう。 遺産隠しが発覚した場合、隠した遺産について改めて話し合うのか、遺産分割協議自体をやり直すのか、など、相続ごとに判断する必要があります。 まずは弁護士に相談してみてください。

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