- 遺言を見つけた、遺産分割のやり方がわからない、遺産分割後の手続きが分からない場合は専門家に相談
- 遺産分割協議で意見がまとまらない時には弁護士へ相談
- 遺産分割の手続き・悩み別の相談先とは
【Cross Talk 】遺産分割、第三者に相談する?相談すべきケースと相談先とは
遺産分割で疑問点や不明な事があるのですが、第三者に相談した方が良いのでしょうか?
相談先には弁護士・行政書士など士業の専門家に加え、不動産会社・保険会社などもあります。遺産の種類や相談内容によって相談先を選ぶ事になります。
遺産分割では遺言書の検認や相続人の間での話し合い、必要書類の収集・作成や各種手続きなどやるべき事は数多いです。 しかし人が一生のうちで相続を経験する機会は少なく、「どうしたら良いか」「誰かに相談すべき?」と悩まれる方は少なくありません。まずは遺産分割で相談が必要な事例を把握しておきましょう。 相談内容によっては、国家資格を持った弁護士や司法書士など士業の事務所の他に保険会社や金融機関に相談したほうが良いケースもありますので確認していきましょう。
遺産分割で相談が必要なケース
- 遺産分割で第三者に相談が必要なケースと理由を知る
- 遺言書がある、遺産分割で不明点がある、手続きが分からないなどのケースは相談が必要
遺産の分割方法・割合について相続人の中で意見が別れています。どうしたら良いのでしょうか?
遺産分割協議のトラブルは弁護士に相談するのが第一です。他に遺言書が見つかった、どのように遺産分割をするのか、手続きの方法が分からない際にも専門家に相談する必要があります。
遺言を見つけた場合
遺言書には書式ごとの決まりがあります。例えば自筆証書遺言の場合、遺言者が自ら遺言書の全文・日付・氏名を書くこととされ押印しなければなりません。 財産目録だけはPC作成が可能ですが、目録の全てのページに署名・押印が必要で、書式のルールが守られていない場合、遺言書が無効になります。遺言書は自宅・銀行の貸し金庫など被相続人(亡くなった方)が保管していたときには、家庭裁判所で「検認」の手続きを行う必要があります。 また、内容にも「遺留分(遺族の最低限の取り分)を侵害しない」といったルールがありますので、専門知識を持つ人に相談することが望ましいと言えます。
どのように遺産分割をするかわからない
遺産分割は基本的に遺言書がある際には遺言書の内容に従い、遺言書がない場合は遺産分割協議で相続人全員が話し合って決め、話し合いで決定できない時には民法で定められた法定相続で行います。 しかし、遺産の種類や遺言書の内容によっては、「どのように遺産分割をすべきか分からない」というケースも存在します。 中には例外的に「遺言書はあるが遺産分割協議で決めた方が良い」という事例もあります。例えば遺産が不動産のみでどうやって分割すべきか分からない、遺産を相続したい人がおらず遺産分割協議で話し合っても解決しない、相続人と連絡が取れない、遺言書の内容が明確ではないなどの事態が想定されます。
遺産分割協議がうまくいかない
遺産分割協議で相続人の間での意見がまとまらない時には、トラブルに発展する可能性があります。 相続人の間では感情的になってしまう事例が多いため、第三者に相談し介入させることで冷静な話し合いができることがあります。また、被相続人に離婚歴があり前妻と後妻の間にそれぞれ子どもがいる、養子がいるなど複雑なケースでも第三者に相談したほうが良いことがあります。 対人トラブルの解決は弁護士の得意分野となりますので、弁護士への相談をおすすめします。
お互い弁護士を代理人として話し合うことで、調停や訴訟に発展せず解決できる事例もあります。遺産分割をしたあとの手続きがわからない
遺産の分割割合や相続人が決定した後、どのように手続きを行ったら良いのか分からない時にも専門家に相談することでスムーズに相続できることがあります。 例えば相続放棄の手続きや不動産の相続登記、各遺産の名義変更、遺産分割協議書・相続関係説明図など書類の作成などがあります。遺産分割の相談相手
- 遺産分割では誰に相談すべきか
- 相談内容・手続き別で誰に相談したら良いのかを把握する
相談が必要なケースは分かりましたが、誰に相談したら良いのでしょうか?
相談先がどのような役割を担っているのかを把握し、手続きや相談内容別に相談先を選びましょう。
弁護士
弁護士は相続や交通事故・労働問題など日常の紛争や事件について、法律の専門家として予防策や解決方法などをアドバイスする役割を担っています。相続分野では代理人としての仲裁、遺言の執行、遺産分割調停・審判での代理人就任などが可能です。 遺産分割協議で話がまとまらなかった場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て話し合いますが、遺産分割調停で代理人弁護士が付く割合は年々増加し2020年には79.7%です。
遺産分割調停・審判の代理人に就任できるのは弁護士のみとなりますので、調停や審判に発展しそうな場面では弁護士に相談しましょう。法律の専門家としてのアドバイスや相談も可能で、遺言書の有効性や検認手続き、遺産分割の流れや方法も相談できます。 遺言執行者として弁護士が選任される事例も多いです。 基本的に遺言執行者は誰でも就任することができますが、相続人や受遺者(遺産を受け取る人)は利害関係があり遺言執行者になるとトラブルが起こってしまう可能性があります。
士業の中でも法律に精通した弁護士に依頼することで、トラブルを回避し法律の専門知識を持った者に遺言内容の実行を依頼できます。税理士
相続税・贈与税に関しては税理士に相談しましょう。 生前贈与を行った場合の贈与税や自身が相続税の支払い対象になるかなど税金に関する相談ができます。相続税の計算で遺産を評価する際にも税理士にアドバイスを求めるケースがあります。相続開始から4ヶ月以内に行う被相続人の準確定申告も税理士に依頼できます。
行政書士
行政書士は依頼を受けて官公庁に提出する申請書類の作成や提出手続き・行政不服申立て手続きの代理などを行います。 提出書類のほとんどは 許認可を得るためのものです。 相続関係では遺言書作成の支援、遺産分割協議書の作成 遺産の調査などに対応しています。司法書士
司法書士は相談先の中で唯一不動産の登記手続きの代理を行う事が可能です。筆界特定(土地の境界を明確にすること)手続書類の作成もできます。 相続登記を始め、裁判所等に提出する書類の作成、訴訟や調停の相談、後見人・不在者財産管理人への就任も依頼できます。金融機関
信用金庫・銀行・証券会社などの金融機関では、被相続人が預けていた遺産の払い戻しの手続きができます。また、信託銀行では一定の費用がかかりますが相続人や遺産の調査、名義変更など士業の事務所と提携しながら相続手続き全般をサポートしてもらうことができます。 ただ自身で士業の事務所を探し契約するよりも料金が割高になる傾向があります。不動産会社
不動産会社の中には、遺産に不動産が含まれる際に相続登記や売却などのサポートを行う企業があります。不動産の活用に関するアドバイスを受けられる会社もあり、相続税対策として不動産を購入する際に相談する方もいます。しかし信託銀行と同様に料金が高めに設定されている所があります。
保険会社
保険会社には主に被相続人が加入していた保険の解約と保険金申請の手続きなどを行います。 信託銀行と同様に士業の事務所と連携し、必要書類の収集や相続人・遺産の調査や遺産分割協議書の作成、相続税の申告などをワンストップでサポートしている会社もあります。まとめ
相談先に相談できることを表にまとめました。
相談先 | 相談できること |
---|---|
弁護士 | 法律相談全般、遺産分割でトラブルが起きた時、遺言執行者として遺言を執行するなど 弁護士のみができる業務:法律の相談、代理人として交渉すること、調停・審判の代理人 |
税理士 | 相続税・贈与税、被相続人の準確定申告 遺産の評価 |
行政書士 | 遺産分割協議書・相続関係説明図など書類作成 |
司法書士 | 不動産登記の手続き、筆界特定は司法書士だけが行える各種書類作成 |
金融機関 | 遺産の払い戻し | 士業事務所と連携してワンストップで相続の手続きができる会社もある |
不動産会社 | 不動産活用のアドバイス | 同上 |
保険会社 | 保険の解約・保険金申請手続き | 同上 |
このページでは遺産相続の相談をしたほうが良いケース4つと相談先についてお伝えしてきました。 金融機関は主に遺産の払い戻し、保険会社は保険金申請や解約など特定の遺産について相談します。 「遺産分割について幅広く相談したい」という場合は、対応できる業務の幅が広い弁護士に相談することで解決に繋がるケースが多いです。 しかし、税金の相談は税理士、不動産登記は司法書士のみが対応可能ですので注意しましょう。 「とりあえず弁護士に相談してみたい」と言う方は、役所の無料相談や法テラスなどを利用してから検討するのも良いでしょう。
- 死亡後の手続きは何から手をつけたらよいのかわからない
- 相続人の範囲や遺産がどのくらいあるのかわからない
- 手続きの時間が取れないため専門家に任せたい
- 喪失感で精神的に手続をする余裕がない
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