- 録音・録画・ビデオメッセージによる遺言は無効
- 高齢や病気などで手書きが困難になる場合がある
- 手書きが困難な場合は公正証書遺言がおすすめ
【Cross Talk 】録画やビデオメッセージで遺言をしても大丈夫?
手書きをするのが困難なので、録画やビデオメッセージで遺言をしようと考えています。法的に問題はありますか?
遺言は要式行為であり、録画やビデオメッセージによる遺言は認められていません。手書きが困難な場合は、他の方法を検討しましょう。
録画やビデオメッセージで遺言をすることはできないんですね。手書きが困難な場合の対策について教えてください!
手書きで遺言書を作成するのが困難な場合は、録画やビデオメッセージで遺言をしようと考えるかもしれません。 しかし、録画やビデオメッセージで遺言をしても、法的な遺言の効力は認められないのです。 そこで今回は、録画やビデオメッセージでの遺言が認められない理由や、手書きが困難な場合の対策法を解説します。
録音・録画・ビデオメッセージでの遺言は無効
- 録音・録画・ビデオメッセージによる遺言は無効
- エンディングノートのように活用することはできる
録音や録画で遺言をしようと思うのですが、法的に問題あるでしょうか?
民法が定める遺言の方式を満たさないので、録音や録画による遺言をしても無効になってしまいます。遺言にはなりませんが、エンディングノートのように活用することはできます。
録音による遺言は法的には無効
遺言は要式行為であり、民法が規定する方式を満たした方法でなければ、遺言としての効力は認められません。 民法が規定する基本的な遺言の方式として、自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の3種類があります。 上記の3種類の方式は、いずれも紙媒体に遺言書を記載することを要件としています。録音による遺言をしても、紙媒体に記載されませんから、民法が定める方式を満たしていないことになります。そのため、録音による遺言をしても法的な効力は認められないのです。もし録音によって遺言をしたとしても、法的な効力はないので、相続人は録音の遺言で指定された内容に拘束されません。 例えば、「長男に土地を相続させ、次男に預貯金を相続させる」という内容の録音があっても、法的な効力がないので、長男と次男は遺産分割協議書をして、誰が何を相続するかを決めることになります。
なお、録音による遺言に法的な拘束力はありませんが、相続人全員がその内容に納得するのであれば、録音で指定された通りに遺産分割をすることが禁止されるわけではありません。録画・ビデオメッセージによる遺言は法的には無効
録音の場合と同様に、録画・ビデオメッセージによる遺言は法的には無効であり、遺言としての効力は認められません。 民法が定める基本的な遺言の方式は、全て紙に遺言を記載することを要式としているので、録画・ビデオメッセージによる遺言のように、紙に遺言を記載しないものには法的な効力がありません。録画・ビデオメッセージによる遺言が見つかったとしても、相続人はその内容に拘束されず、遺産分割協議書によって遺産を分割することができます。
エンディングノート的な利用としては有効
録音・録画・ビデオメッセージなどは遺言の効力はありませんが、エンディングノートのように活用することは有効です。エンディングノートとは、自分の死後に備えて、家族や友人などに伝えておきたいことをまとめたものです。 録音や録画などには法的な拘束力はありませんが、相続人をはじめとする家族・親族に対して、自分の死後にどのように生活してほしいかを伝える方法として活用できます。
手書きでの遺言が困難な場合とは?
- 高齢・病気・事故などで手書きが困難になる場合がある
- 気力が衰えて手書きが面倒になる場合もある
手書きでの遺言が困難になる場合として、どのような状況が考えられますか?
高齢や事故などが原因で、手書きが困難になることがあります。物理的には可能でも、気力が衰えて困難になる場合もありますね。
高齢で手書きが困難な場合
遺言は高齢になってから作成することが多いですが、高齢になると手書きが困難になる場合があります。 主な原因としては、高齢になって手が動かしづらくなったり、手書きの文字が見えにくくなったりなどです。病気や事故で手書きが困難な場合
病気や事故が原因で手書きが困難になることがあります。 病気によって手が震えて文字を書きづらくなったり、事故で手を動かせなくなったりなどです。手書きが面倒な場合
物理的には手書きが可能であっても、精神的に手書きが面倒になることがあります。 また、高齢になると気力が衰えて、手書きで遺言書を作成するのが困難になる場合があります。 単に文字を書くだけでなく、誤字脱字に注意したり、内容に誤りがないか確認したりする必要があるので、気力が追いつかなくなることがあるのです。認知症や障害を患っている場合
認知症によって判断能力が大幅に低下した状態の場合、文字を書くこと自体ができなくなったり、自分が何を書いているのかを把握できなくなったりすることがあります。 障害を患っている場合も同様に、手書きが困難になったり、書いていることを把握できなくなったりすることがあります。もっとも、認知症や障害により、自分が何を書いているのか把握できない場合、遺言を作成する能力がないと判断される可能性があります。そうなると、遺言が作成できなかったり、またはどのような方式で作成したとしても、遺言が無効となったりしてしまいます。もし遺言者(遺言を書く人)の判断能力が大幅に低下している場合には、遺言書を作成できるかどうかの段階から、慎重に判断すべきです。
手書きでの遺言書作成が困難な場合はどうすれば良い?
- 手書きが困難な場合に自筆証書遺言はおすすめできない
- 手書きが困難な場合は公正証書遺言がおすすめ
歳のせいか手が動きにくくなってしまい、手書きで遺言書を作成するのが困難です。どうやって遺言所を作成すればいいでしょうか?
遺言書はいくつか方法がありますが、手書きが困難な場合は、自筆証書遺言はおすすめしません。自分で手書きをする必要がない、公正証書遺言がおすすめです。
自筆証書遺言
手書きでの遺言が困難な場合は、自筆証書遺言の方法はあまりおすすめできません。 自筆証書遺言は財産目録をのぞいて、遺言者が遺言書の全てを自書しなければならないからです。 遺言者の手書きが困難な場合は、判例によって添え手による補助が認められる余地がありますが、細かい要件のもとで例外的に認められているだけです。 自筆が困難な場合は、誤った添え手の方法によって遺言書が無効と判断されないように、自筆証書遺言以外の方法によることをおすすめします。秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、内容を秘密にしたうえで遺言書を作成できる方式です。 秘密証書遺言を作成するには公証役場で手続きをする必要があります。 自筆証書遺言は全文を手書きする必要があるのに対し、秘密証書遺言では署名以外は自書する必要がありません。 秘密証書遺言の方法であれば、署名以外の本文などはパソコンを使用したり、第三者に代筆してもらったりなどが可能です。公正証書遺言が確実
手書きでの遺言が困難な場合に最もおすすめの方法は、公正証書遺言です。 公正証書遺言は公証役場で手続きをして、公証人という特別な公務員に作成してもらう遺言書の方法です。公正証書遺言を作成するのは公証人であり、遺言者が自筆する必要がないので、自筆が困難な場合の方法としておすすめです。 公証人が遺言書を作成するので、要式を満たさずに遺言書が無効になってしまう心配が少ないのも利点です。 手書きをする必要がなく、遺言書が無効になる心配も少ないことから、公正証書遺言は確実性の高い方法といえます。
まとめ
遺言は要式行為であり、録音・録画・ビデオメッセージなどで遺言をしても、法的な遺言としての効力はありません。 ただし、録画やビデオメッセージなどは、家族や親族に気持ちを伝えるためのエンディングノートのように活用できます。 高齢や病気などで手書きが困難な場合は、公証人が遺言を作成してくれる公正証書遺言の方法がおすすめです。
- 遺言書が無効にならないか不安がある
- 遺産相続のトラブルを未然に防ぎたい
- 独身なので、遺言の執行までお願いしたい
- 遺言書を正しく作成できるかに不安がある
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