- 相続人となる方は誰か
- 相続人となる方がいない場合に何が起こるか
- 相続権のないいとこに財産を継がせるための方法
【Cross Talk 】いとこには相続人がいないのですがそのまま亡くなるとどうなりますか?
高齢で病気で寝込んでいるいとこの面倒を見ています。いとこには相続人になる方がいないのですが、そのまま亡くなってしまった場合、遺産はどうなるのでしょうか?いとこなので私が受け取ることができますか?
相続人がいない場合には、その遺産は国庫に属することになり、いとこだと相続人になれないので、そのままだと受け取ることはできません。ただ、特別縁故者として財産を受け取ることができる場合もあります。
そうなんですね!詳しく教えてもらっていいですか?
いとこに相続人がいないまま亡くなった場合、いとこの遺産を受け取ることはできるのでしょうか。誰が相続人になるのか、相続人がいない場合に遺産がどうなるかについては、法律(民法)で規定されています。いとこは相続人となるわけではないので、相続の仕組みで遺産を受け取ることができません。いとこが遺産を受け取ることができる仕組みと、いとこに遺産を受け取らせるための生前の対策について確認しましょう。
いとこの相続人になりうるのは誰か
- いとこの相続人となる人
- いとこ同士で相続人となることはできない
いとこの相続人は誰になるのでしょうか。私は相続できるのでしょうか?
いいえ、いとこ同士では相続をすることができません。誰が相続人となるのかについては法律の規定を確認しましょう。
いとこの相続人は誰なのでしょうか。 誰が相続人になるかについては、民法886条以下に規定があるので、確認しましょう。
配偶者
配偶者は常に相続人になる とされています(890条)。 この配偶者は現に配偶者であることが必要で、離婚をした場合には配偶者として相続をすることはできません。 また、配偶者は法律婚をしている相手をいい、事実婚に過ぎない内縁の妻・夫は、配偶者として相続人となることができないので注意が必要です。子供
子供は相続人となります(民法887条)。 子供であれば嫡出子・非嫡出子は問いませんし、離婚した相手との間に子供がいる場合でもその子供も相続人となります。 子供の代襲相続人として孫などの直系卑属がいる場合も子供として相続をすることになります。 普通養子縁組・特別養子縁組を問わず養子も、子供として相続をすることができます。直系尊属
子供がいない場合には、次の順位の相続人として、直系尊属が相続人となります。 直系尊属とは、自分から直通する血族関係にある(直系)、親等が上の人のことをいい、具体的には親・祖父母・曽祖父母などが挙げられます。 普通養子縁組・特別養子縁組問わず、養親も相続をすることができます。兄弟姉妹
子供も直系尊属もいない場合には、兄弟姉妹が相続をします。 兄弟姉妹については再代襲が認められていないので、おい・めいが代襲相続をすることができるのみで、その子供は相続できないので注意しましょう。いとこには相続権はない
おじ・おばの子供であるいとこは、以上の法律上の規定のどの場合にもあてはまりません。 そのため、いとこである場合には、たとえ親族であったとしても、相続をすることができません。相続人がいない状態でいとこが亡くなると相続財産はどうなるか
- 相続人がいない状態でいとこが亡くなった場合の手続き
- いとこが遺産を手にすることができる制度
相続人がいない状態でいとこが亡くなると、相続財産はどうなるのでしょうか?生活の面倒をみている私は遺産を受け取ることができないのでしょうか。
相続人がいない場合の手続きと、いとこが財産を手にすることができる制度について確認しましょう。
相続人がいない状態でいとこが亡くなるとどうなるのかを確認しましょう。
相続人の不存在
相続人がいない状態でいとこが亡くなった場合については、民法951条以下相続人の不存在という章の規定が適用され、次のように手続きが進みます。- 相続人が明らかではないときには相続財産は相続財産法人となり裁判所が相続財産清算人を選任
- 期間を定めて公告するなどして相続人の捜索を行う
- 亡くなった方に対する債権者などへの弁済などの精算を行う
- 最終的に相続財産は国庫に帰属する
特別縁故者による請求
ただし、相続財産に対して特別縁故者がいる場合には、家庭裁判所の許可を得て、相続財産の精算の際に財産を分け与えることができます (民法958条の2)。 亡くなったいとこと内縁関係にあった場合や、いとこの生活の面倒を見ていたような場合には、特別縁故者として財産を分けてもらうように請求することが可能です。特別の寄与の制度は相続人がいる場合の制度で適用対象ではない
なお、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした被相続人の親族がいる場合に、相続人に対して特別寄与料を請求できる制度が2019年7月1日から施行されています。 いとこは4親等の血族となり、民法725条で親族にあたるので、生活の面倒を見るなど、療養看護をしていた場合には、相続人がいる場合には特別寄与料の請求が可能 です。 ただし、これは相続人がいる場合の規定で、相続人がいない場合にはあくまで特別縁故者として請求をすることができるにとどまります。相続権のないいとこに財産を継がせるための方法
- 特別縁故者として財産を請求するためには手続きに時間がかかる
- 生前に相続権のない
相続権のない私がいとこの財産を継ぐためには、どのような方法があるのでしょうか。
いくつか方法があるので確認してみましょう。
特別縁故者にあたらない場合には、そのままではいとこの遺産を引き継ぐことができません。 また仮に特別縁故者にあたる場合でも、いとこの遺産を引き継ぐためには非常に時間がかかります。 そのため、生前に対策をすることで、いとこに財産を継がせる方法を検討しましょう。
婚姻
婚姻をすることで配偶者となれば、上述した通り相続人となることができるので、いとこの財産を相続することができます。 なお、民法734条は近親婚を禁止していますが、具体的には直系血族と3親等内の傍系血族の婚姻を禁じるもので、4親等内の傍系血族であるいとこ同士は婚姻をすることが可能です。 婚姻をした場合には、亡くなった後に相続をすることができますが、生前は同居義務や扶助義務等も発生することに注意が必要です。養子縁組
養子縁組をすることで親子関係が発生すれば、養子・養親として相続人となり、相続することが可能となります。 婚姻と同様に法律上の親子関係が発生するので、扶養義務などが発生する点に注意が必要です。遺言書の作成
遺言書を作成することで、相続人でない方に遺産を譲り渡すことが可能です。 遺言書は自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言を問いませんが、無効となってしまうリスクを避けるために、公正証書遺言にすることや、自筆証書遺言・秘密証書遺言を作成する場合でも専門家に様式不備がないか確認してもらうようにしましょう。死因贈与
遺言書の他にも、死亡を条件とする贈与をする、死因贈与を行うことで遺産を譲り渡すことが可能です。 贈与契約の一種なので、法律上は口頭でも成立するのですが、手続きを行うにあたって証明することができず手続きが行えないので、きちんと死因贈与契約書を作成するようにしましょう。生前贈与
亡くなる前に生前贈与を行ってしまうのも一つの手 です。 この場合でも、生前贈与を本当に受けたのかトラブルにならないように、贈与契約書を作成しておくようにしましょう。 また、110万円以上の生前贈与を行うと、贈与税の申告・納税が必要となる点についても注意が必要です。まとめ
このページでは、相続人のいないいとこが亡くなった場合に、遺産がどうなるかについてを中心にお伝えしました。 いとこが相続人として相続することはなく、特に対策がなく特別縁故者に該当しない場合には、その遺産は手続きの後に国庫に収められることになります。 特別縁故者と認定されたとしても、遺産を受け取れるのは相続人の不存在の手続きが終わった先のことになりますので、できれば遺言などの対策をしておくようにしましょう。 どのような対策が適切かについては、是非弁護士に相談してみてください。
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