相続手続きの代行をしている専門家の種類と費用相場・選ぶ場合のポイントについて確認
ざっくりポイント
  • 相続に関する専門家には行政書士・司法書士・税理士・弁護士がいて職種ごとに権限が異なる
  • それぞれの専門家に相続手続きを依頼する場合の費用相場
  • 専門家に相続手続きの代行を依頼する場合の注意点
目次

【Cross Talk 】相続手続きを依頼できる専門家が多くてどうやって選べばいいかわかりません

先日父が亡くなり相続手続きをすることになりました。相続手続きの代行を依頼しようと思うのですが、相続手続きには弁護士の他にも行政書士・司法書士や税理士が携わっているようで、誰に相談すればいいか、どうやって選べば良いかわからないです。

専門家ごとに権限があるのですが、弁護士は税務申告以外全て代行をすることが可能で、一番手続きができる範囲が広いのでまずはご相談いただければと思います。

そうなんですね!詳しく教えて下さい。

相続手続きを依頼する専門家の種類と権限・費用の相場を知ろう

相続に関する手続きを代行しようとインターネットで専門家をさがしていると、弁護士・司法書士・行政書士・税理士などいろんな種類の専門家が登場して、よくわからないと感じる方も多いです。それぞれの資格を持っている人がどんな役割の人なのか、相続において具体的にどんな権限を持っているのかなどを確認するのが望ましいですが、弁護士は相続税申告以外は何でもできるので、よくわからない場合にはまずは弁護士に相談するというスタンスで良いといえます。

相続手続きを代行している専門家の種類と相場

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続手続きを代行している専門家の種類とその権限の範囲
  • 専門家に相続手続きを代行してもらう場合の費用相場

どの専門家がどのような権限をもっているのでしょうか。

専門家ごとにもっている権限と、その仕事を代行したときの報酬の相場を確認しましょう。

相続手続きを代行している専門家の種類と費用の相場について確認しましょう。

行政書士・司法書士

相続手続きを依頼できる専門家として、行政書士・司法書士が挙げられます。 それぞれで名称は異なるものの、実態として対応できる業務範囲には通ずるものがあり、相続手続きにも対応しています。 相続については比較的幅広く取り扱っており、遺産分割や遺留分の交渉・調停・訴訟・相続登記・相続放棄の申述・限定承認・準確定申告・相続税申告以外のことは基本的に取り扱うことができます。 なお、司法書士は相続登記に幅広く対応しており、行政書士は車の名義変更などにも対応できるのが異なる点です。

税理士

税理士は、税務申告に関する手続きの代行をしており、相続との関係では準確定申告と相続税申告の手続きを行っています。 また、遺産分割協議書の作成や銀行解約手続き及び有価証券の名義変更を行うこともあります。 準確定申告については、雑所得しかないような場合には3万円~が相場ですが、個人事業をしていて事業所得の申告をしなければならないような場合には事業規模に応じて10万円~の費用が必要です。

相続税申告については、遺産の0.5%~1%が報酬の相場となっています。 例えば遺産が5,000万円である場合には、25万円~50万円程度が目安になります。

不動産の数が多かったり、計算が難しい非上場企業の株式を保有しているようなケースや、申告期限の10ヶ月まで期間が少ない場合には割高になることがあります。

弁護士

弁護士は、法律に関する手続きなら何でも代行・代理をすることができ、相続に関しては税務申告以外の手続きを全て依頼することが可能です。 遺産分割などの交渉を依頼する場合には、遺産の内容や交渉する内容に応じて20万円~が相場となります。

調停や訴訟になる場合には、遺産の内容や争いの内容に応じて着手金として20万円~が相場となり、成功した場合に成功報酬として40万円~が相場となります。

遺言書の作成については、20万円~が相場です。 参考:遺言・相続に関する費用|東京新宿法律事務所

その他

銀行で遺産整理業務を行っています。 これは、形式的には弁護士や司法書士などに依頼しつつ、遺産に関する相続手続きを行なうものです。 その対象は普段から銀行と親しい関係をもっている資産家などで、費用としては100万円以上かかるものになります。 相続税申告は別途税理士に依頼する必要があります。

相続手続きごとに誰に依頼できるか

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続手続きごとに誰に依頼するのか
  • 遺産分割の交渉の代理を依頼できるのは弁護士のみ

遺産がどれくらいかによっても費用に大きな影響を与えるんですね…。ところで誰がどのようなことをしているかだいたいわかったのですが、自分が依頼したい手続きは誰に相談するのが良いか、お伺いしても良いですか?

そうですね!この相談・依頼であればどの士業というのをまとめてみましょう。

相続手続きごとに誰に依頼するのかを確認しましょう。

相続登記

相続登記は法務局で行なう手続きになるので、司法書士に依頼することになります。 ただし、司法書士に依頼するのは、遺産分割の内容が決まってから、相続登記を行なう場合です。 前提となる遺産分割の交渉や、遺産分割調停・遺産分割審判などの手続きについては、弁護士に依頼することになります。

相続税申告・準確定申告

相続税申告・準確定申告は税理士に依頼することになります。 なお、相続税申告をするときに、共同相続人が遺産分割をしていることが前提となるのですが、この遺産分割の代理や調停・審判は弁護士に依頼することは前述した通りです。

その他の相続手続き

その他銀行預金の解約・自動車の名義変更などについては、弁護士・行政書士のどちらかに依頼することになります。 基本的には遺産分割協議が終わっていないと手続きができないものになるので、遺産分割協議の行方によって弁護士・行政書士のどちらかに依頼するか決めると良いでしょう。 遺産分割協議の内容についてアドバイスが欲しい場合や、遺産分割協議も任せたい場合、遺産分割協議がうまくいかないような場合には弁護士に相談しながら行なうことをおすすめします。

調停・審判など

遺産分割がうまくいかないような場合には調停・審判を利用することになりますが、この場合、基本的には弁護士に依頼するのがおすすめです。 弁護士は、法律に関する全ての手続を代行・代理をすることができ、相続に関しては税務申告以外の手続きの依頼が可能であるためです。

遺留分侵害額請求

遺留分侵害額請求については、請求をすること、最終的な金銭の支払いをすること、2つの段階に分けて考えましょう。 遺留分侵害額請求は、遺留分の侵害を知った日から1年で時効にかかることになっているので、1年以内に支払いを求める請求をする必要があります。

1年以内の間に遺留分侵害額請求を行ったことを証明するためには、配達証明付き内容証明を送る必要があり、この内容証明の作成だけであれば弁護士・行政書士双方に依頼をすることが可能です。 ただし、行政書士は遺留分の内容についてのアドバイスはできず書面を作成するだけなので、いくらを請求すればいいかわからない場合には弁護士に依頼することになります。

その後の交渉・法的手続きの代行については弁護士のみが行なうことができます。

相続放棄

相続放棄については、家庭裁判所に申述書を提出して行なうことになるため、弁護士へ依頼がおすすめです。 特に、争いのある相続放棄の場合、上申書を添付する必要があり、弁護士であれば専門的な知見からの適切なアドバイスや手続きに応じてくれます。

相続手続きの代行を依頼するポイント

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続手続きの代行を依頼する際には権限の範囲に注意する
  • 争いになる可能性がある段階で早めに弁護士に相談・依頼する

相続手続きの代行を専門家に依頼する際のポイントとしてはどのようなものがありますか?

どうしても値段は安く…と思う気持ちはわかりますが、士業によって行えることに制限がある以上、値段だけでは決めないことですね。

相続手続きの代行を依頼する場合のポイントには次のようなものがあります。

権限の範囲に注意する

上記のようにどの専門家・士業かによって権限の範囲が異なります。 一般的に行政書士の費用が安めに見えるので依頼をしたいという希望も多いのですが、遺産分割協議の内容のアドバイスや他の相続人との交渉を行なうことができません。 稀に行政書士がこれらのアドバイスや交渉をしていることがあるのですが、弁護士法72条に違反する行為であるとともに、知識や経験が十分ではなく依頼をした結果不利益を被る可能性も否定できません。

自分の依頼したいものが、適切に代行してもらえるのかをきちんと確認するようにしましょう。

基本的には、準確定申告・相続税申告以外のものについては、全ての権限を有する弁護士にまず相談をするのがおすすめです。

争いになる前に弁護士に依頼する

相続において一番避けなければならないのは、相続当事者間で争ってしまうことです。 単なる民事上の争いではなく、相続の当事者は家族であり、相続争いによって関係が断絶してしまうのはできる限り避けるべきです。

意見が一致しないまま当事者で交渉を続けると、感情的な対立が深まってしまうことが多いのが相続争いの特徴です。 このような場合には弁護士に早めに依頼すれば、法的なアドバイスを受けられることに加え、必要がある手続きを代理で行なってくれるので、依頼者の負担軽減につながります。

手続きの期限に注意する

相続放棄や相続税申告は手続きに期限があります。 依頼をするかどうか迷っている間に期限を過ぎてしまうことがあり、これによって相続放棄ができなくなり負債を全額背負うことになったり、延滞税を払う必要が発生します。 期限のあるものについては代行を依頼することを迷う前に早めに相談・依頼するようにしましょう。

まとめ

このページでは、相続手続きの代行は誰に依頼すべきか、依頼できる内容や費用の相場についてお伝えしてきました。 相続については様々な専門家・士業がその権限の中で仕事をしているため、依頼をする側からするとどの専門家・士業に相談すればいいかわかりづらいことがあります。 基本的には、税金関係は税理士で、それ以外はまず弁護士に相談をすることをおすすめします。 なお東京新宿法律事務所には相続税に詳しい税理士も所属していますので、お悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

弁護士 出澤 洸第二東京弁護士会
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