- 自分の相続で家族が相続争いをしないための対策
- これから遺産分割をする際に発生しがちな相続争いを避けるためのコツ
【Cross Talk】家族が争わないように相続対策をしておきたいんだけど…
終活の一環として相続について情報を収集しています。やはり遺された家族が自分の死後に争ってほしくはないので、何らかの対策をしておきたいのですが、どんなコツがありますか?
相続でどんな争いが発生するのか、よくあるケースについて確認しながら対策を考えましょう。
人が亡くなるとその遺産について相続が発生します。相続とは、単なる財産的な請求のみではなく、家族に関する法律関係でもあり、対応を1つ誤ると激しい争いになることがあります。自分の死後に家族がバラバラになるのを避けたい、相続がすでに発生していてこれから手続をする、それぞれのケースで争いにならないコツを確認しましょう。
今すぐできる!相続人が争いを起こさないための対策
- 自分の相続で相続人が争いを起こさないための対策方法
私の相続で相続人が争わないようにするコツのようなものを教えていただきたいです。
いくつかありますので順番にお伝えしますね。
自分の相続において、相続人が争わないようにするためには、どのような対策があるのでしょうか。
遺産についての見直し
まず、遺産になるものについてきちんと見直しをしておきましょう。 遺産分割で争いになるケースとしては、分けづらい遺産が多いために、無理やり分けたことで特定の相続人に著しく不利になってしまうなどの場合が挙げられます。 特に不動産がある場合は、遺産の価値の大部分が不動産であることが多く、かつ分けづらいということが珍しくありません。極端な想定として遺産が銀行預金だけなら、単純に相続分で分割すればいいので、分け方で争いになることもないのです。 どのような遺産があるのか、死後にどのような使われ方をするのかなどをきちんと把握し、分けづらいものは早期に売却しておくことも検討すべきです。そのまま相続が発生したらモメそうなポイントを整理
単純に法定相続分で均等に分割すれば相続で揉めなくなる、というわけではありません。 例えば、兄弟が数人いて、長男だけが親の面倒を見ていた、子のうちの一人だけ私立の医学部を卒業させてもらった、住宅取得のための資金の贈与を受けた、というような場合を考えてみてください。このような場合に、法定相続分のままで遺産を分けるとなると、不公平ではないか?という気持ちになる場合もあるでしょう。不公平を是正するために、民法は特別受益・寄与分といった規定をおいて、調整を図るようにしていますが、いったいどの程度、被相続人から特別受益を受けていたのか、被相続人に寄与したのか、ということが基となり争いになる可能性もあります。法律に従った形式的な分割によって、かえって不公平になるような事情はないかなど、検討するようにしましょう。
遺言書・エンディングノートを作成
実際に相続が発生すると、民法の相続に関する規定に沿って、相続人同士で遺産分割を行うことになります。ただし、遺言を作成していれば、相続に関する規定に優先して、遺言の内容が実現されることになります。 そのため、家族が話し合いをして争いになりそうなのであれば、遺言書を作成しておくことが望ましいといえます。また、遺言書に記載したことについて、なぜそのような記載の仕方をしたのかなどの考え方を遺言とは別にエンディングノートなどに記載しておくことで、相続人に納得してもらえることになるでしょう。 なお、遺言の作成方法を誤ってしまうと、遺言が無効となる場合があり、記載内容も専門的なものになります。そのため、遺言を作成する際には、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。
これから相続手続をするような場合の争いを回避するコツ
- 相続手続をするにあたって発生する争いを回避するコツ
ちなみに、以前に私が相続人になったときは兄弟と少し争いになったんです。これから相続するときに争いを回避するためのコツみたいなのもあるのでしょうか?
はい、特に気を付けておいたほうが良い事をお伝えしますね。
これから相続手続をするという場合に、争いになることを回避するためのコツについて知っておきましょう。
実印と印鑑登録証明書を要求されたら断る
まず絶対に気を付けて欲しいのが、「相続の手続をするから実印と印鑑証明書を送ってくれ」、と相続人の一人が一方的に言ってくるような場合は注意すべきです。 一般的に、相続が発生した場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、協議が整うと遺産分割協議書を作成することになります。この遺産分割協議書には署名・捺印をするので、捺印時には実印が、その後の手続には印鑑証明書(印鑑登録証明書)が必要になります。 これを預けてしまうと、相手が一方的に遺産分割協議書を作成した上で、実印を使って押印をしてしまうことが可能となり、自分の相続分を0とする遺産分割協議書を作成された上で手続が進んでしまうということが発生しかねません。 実印と印鑑証明書を預けてくれと言われた場合には、拒否をするようにしましょう。
話し合いはみんなのいるところでする
上述したとおり、遺産分割協議をした上で、遺産分割協議書を作成し、相続手続を行うことが一般的です。 協議の方法については特に法律で定めてはいないので、実際に会う・書面・メール・SNSなどを通じて行うなど、どのような方法でもかまいません。しかし、相続人が3名以上いるような場合、全員がどのような遺産を相続することになるのか見えないような状態で協議をすると、後から「そんなつもりじゃなかった」といった争いになる可能性があります。 出来る限り、協議は相続人全員が居るところで行うのが望ましいといえます。
争いになりそうな場合には専門家を入れて話す
遺産分割協議は、どんなに冷静に穏健に話し合おうとしていても、相手次第では争いになることも避けられません。 最終的には財産的な請求に帰着するものの、家族間の出来事で、遺産をどう分けるかということそっちのけで争い始めることもしばしば見受けられます。つまり、当事者間で妥当なラインでの解決策がすでに出ているにも関わらず、感情的な対立ばかりが激しくなってしまい、解決できないということが発生します。 このような場合には、当事者間で交渉を進めても、さらなる感情の対立を呼ぶだけになってしまうことになります。このような場合には、弁護士に依頼することで、法律的に妥当な結果になるようにしてくれるだけではなく、感情的な対立の緩衝材になってくれることも期待できます。 話し合いが平行線をたどり、相続人の間の関係が悪化しそうなときには、弁護士などの専門家に事前に相談をするようにしましょう。
まとめ
このページでは、相続で争いにならないようにするコツについてお伝えしてきました。 争いになるのはどのようなときなのか、概略を知っていただいた上で、これからの自分の相続に、または、相続手続のための話合いに、専門家である弁護士を利用することを積極的に検討してみてください。
- 死亡後の手続きは何から手をつけたらよいのかわからない
- 相続人の範囲や遺産がどのくらいあるのかわからない
- 手続きの時間が取れないため専門家に任せたい
- 喪失感で精神的に手続をする余裕がない
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