- 相続した家を売却するための方法
- 相続した家を売却するまでにかかる可能性のある税金
【Cross Talk 】相続した家を売却したいけど、何からすれば良いですか?
父が亡くなり、私たち子3人で相続をしました。すでに母は亡くなっています。遺産に父の自宅があるのですが、私たちはすでに独立していて、管理も大変なので売却してしまおうということになりました。これからすべき手続きについて教えて欲しいのですが。
遺産分割協議書の作成から売却、税金についても確認しておきましょう。
相続財産に家がありその家を売却しようという結論になる場合には、相続手続きに加え家の売却手続きがあります。 それぞれどのような手続きが必要なのかと、どのような税金がかかるのかについて確認しましょう。
相続した家を売却するための手続き
- 相続した家を売却するための手続き
相続した家を売却する手続きについて教えてください。
遺産分割協議と相続登記をした上で不動産会社に依頼することが一般的です。
相続した家を売却する場合にはどのように行うのかを確認しましょう。
相続した家を売却するための流れ
売却をするための流れを確認しましょう。 家などの不動産を取得したり売却したりする場合には、その内容を反映させた不動産登記を行い公にすることが必要です(民法177条参照)。被相続人が亡くなった際には、その不動産の登記名義が自動的に相続人に移転するわけではなく、その登記名義の変更の手続をとらなければ、そのまま被相続人の名義になっています。
もっとも、被相続人はすでに亡くなっているので、新しい買い主が見つかったとしても、被相続人自身がその不動産を売却することはできません。すなわち、被相続人と新しい買主との間でその不動産の売買ができない以上、不動産登記上も、被相続人名義のままでは売買の登記ができないということになります。
そこで、相続で被相続人から相続人に所有権が移転しているという内容の不動産登記を行い、そのうえで、その相続人から新しい買主への売買の不動産登記を行う必要があります。 そして、この不動産登記をするための前提として遺産分割協議をする必要がある場合があります。
遺産分割協議
不動産の遺産分割にあたり、不動産を売却したお金を相続人で分けるような場合には、不動産は共有にしてもかまいません。 もっとも、この場合は相続人全員で売却をする必要があるため、足並みが揃わなくなると売却ができなくなるので注意しましょう。また、分割方法として一人が不動産を単独で取得し、他の相続人が現金などの財産を受け取るとすれば、その一人で不動産を売却することが可能となります。 そして、話し合いにより合意した内容を遺産分割協議書という形の書面にしたうえで、その遺産分割協議書の内容をもとに、不動産の登記を行います。
なお、遺言があり不動産の相続について記載されているのであれば、これに従って以後の手続きを行います。 遺言が自筆証書遺言・秘密証書遺言である場合には検認の手続きを行うことも忘れないでください。
相続登記
相続登記は法務局に書類を提出して行います。 書類は登記申請書と付属書類を提出します。 登記申請書については、法務局ホームページ「不動産登記の申請様式について」こちらのページでダウンロードできます。 ワープロソフトWordで作成するためのファイルがありますので、こちらを利用しましょう。付属書類・登録免許税については、 「不動産の相続登記に必要な登録免許税って?納付方法や計算方法は?」 こちらの記事でお伝えしていますので確認してください。
作成された遺産分割協議書や遺言書は添付書類として必要になり、他には戸籍謄本などを取得することが必要となります。 戸籍謄本については 「相続したときに必要な戸籍謄本の取り方・見方・提出先について解説!」 こちらで詳しくお伝えしていますので併せて確認しましょう。
売却
売却は不動産売却の仲介をしている会社に依頼することが一般的です。 極端に田舎であるなどで、なかなか買い手がつかないような場合には、役所で地方創生や移住支援をしている部署で空き家バンクとして情報公開をしていることもあるので利用をしましょう。遺産分割や相続登記を専門家に依頼したような場合には、信頼できる不動産販売業者を紹介してもらうのが良いでしょう。 相続に関する手続きに強い専門家であれば、相続手続きに付随するすべての専門家とネットワークを持っていますので、適切な専門家を紹介してくれるでしょう。
相続した家を売却する際に気を付ける税金
- 相続した家を売却する際の印紙税
- 相続した家を売却した場合の所得税
- 相続した家がある場合に相続税・贈与税がかかるケース
相続した家を売却する際に気を付ける税金にはどのようなものがありますか。
不動産の売却をする場合には、売買契約書に収入印紙を貼るのですが、これは印紙税を納めることになります。不動産の売却で利益があった場合には譲渡所得となるので所得税が発生します。その前段階として不動産を相続しているような場合には相続税がかかるケースもあるので、併せて確認をしておきましょう。
相続した家を売却する際に気を付ける税金について確認しておきましょう。
印紙税
不動産を譲渡するにあたっては売買契約を結びます。 この際に必ず売買契約書を作成するのですが、売買契約書に収入印紙を貼ることを知っている方も多いと思います。これは印紙税法で定められたもので、売買契約は課税文書にあたるので、印紙税の対象となります。 その納付の方法が、収入印紙を購入して貼り付けることなのです。 納付する印紙税(購入して貼り付ける収入印紙)は、以下になります。
契約金額 | 印紙税額 | 軽減税率 |
---|---|---|
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円をこえるもの | 60万円 | 48万円 |
所得税・住民税
取得した不動産を売却して利益がでた場合には、その利益部分(譲渡所得)に対して、譲渡所得税が課税されます。具体的には、譲渡価格から取得費及び譲渡費用を差し引いた差額がプラスである場合に、その差額部分が譲渡所得となります。 取得費とは、不動産を購入したときの不動産の購入費用や仲介手数料等その不動産の取得のために要した費用の合計です。
建物がある場合には、建物所有期間中の減価償却費相当額は差し引かれて計算します。 譲渡費用とは、仲介手数料・測量費・取り壊し費用(建物を取り壊して土地だけ売却した場合)などがこれにあたります。
不動産は売却した年の1月1日現在で所有期間が5年を超えるか否かで税率が異なります。 5年を超える場合を長期譲渡所得といい、所得税15%・住民税5%が課されます。 5年以下の場合を短期譲渡所得といい、税率は所得税30%・住民税9%が課されます。
なお、相続に関して相続税がかかり、かつ相続税の申告期限から3年以内に売却を行うと、相続税にかかった一定金額を取得費に加算できる取得費加算があります(租税特別措置法39条)
相続税
相続したときに、相続税の基礎控除額を超える遺産を相続していると、相続税がかかります。 不動産を売却したからといって相続税がかからなくなるわけではないので注意しましょう。また相続税の申告・納税は相続開始を知ったときから10ヶ月以内に行う必要があります。 相続放棄(3ヶ月以内)や準確定申告(4ヶ月以内)に比べると時間に余裕があるように見えますが、相続税に関する規定は非常に複雑であり、かつ添付する書類も非常に多いので、実際にはあまり時間はないと思っておいたほうが良いでしょう。
まとめ
このページでは家を相続した場合の手続き・税金についてお伝えしてきました。 複雑な手続きが必要なものですので、うまく進まないときには専門家に相談してみてください。
- 相続税対策は何から手をつけたらよいのかわからない
- 相続税について相談できる相手がいない
- 税務署に調査されないように申告をしたい
- 税務署から通知が届いて困っている
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この記事の監修者
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