- 公正証書遺言は公証役場が作成してくれる
- 自筆証書遺言の形式について
- 秘密証書遺言の形式について
【Cross Talk 】遺言を書くんだけどどんな紙に何を書けばいいの?縦書き横書き?
自筆証書遺言をしようと思っています。 いろいろ調べていると自筆で書かなければならない、日付を書くなど大体はわかったのですが、そもそも紙ってどのような紙なのでしょうか?A4とかB4とか決まりはありますか?あと、書くのは縦書きでしょうか横書きでしょうか。
紙や書く方向について決まりはありません。その他の遺言も含めて守らなければならない事項について確認をしましょう。
是非お願いします。
遺言を自分で作成したい場合に、どのようなことを書くのか、というだけではなく紙をどうするのか縦書きなのか横書きなのか、などの形式について気になると思います。 公証人が作成をする公正証書遺言の場合は作成者は公証人となるので問題にならないのですが、自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合には問題になります。
遺言書はどのような形式にすべきか
- 遺言書をどのような形式にするか
- 形式が問題になる遺言は自筆証書遺言・秘密証書遺言
遺言書の形式についてどうするべきという規定はあるのですか?
数字をアラビア数字にすべきか、漢数字にすべきか・紙の大きさ、複数のページにまたがる場合の処理など、民法の定める記載になっていれば大丈夫です。
遺言書はどのような形式で記載されるべきなのでしょうか。
公正証書遺言は公証人が作成するので形式を気にする必要がない
遺言書の形式について確認する前提として、誰が遺言書を作るのかを確認しましょう。 自分の遺言書は自分が作成するのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、公正証書遺言については、民法の条文上は遺言者が遺言の趣旨を口授した上で公証人がこれを筆記する、とされています(民法969条)。現実にも遺言者が事前に公証役場と打ち合わせをして公証役場が遺言書を作成しておき、日時を決めて公証人と遺言者・証人2人の前で遺言書の内容を読み聞かせるという運用になっており、文章を作成するのは公証人です。そのため,公正証書遺言書の場合,遺言書の形式面について悩む必要はありません。
自筆証書遺言・秘密証書遺言は自分で作成するので形式が問題になる
遺言書を自分で作成する遺言は自筆証書遺言・秘密証書遺言となります。 以下記載内容についての形式と、遺言書そのものの形式について確認します。自筆証書遺言の形式
- 自筆証書遺言の記載内容の形式
- 自筆証書遺言自体の形式
自筆証書遺言の形式についてはおしえてください。
遺言書の記載内容の形式と、遺言書自体の形式について確認しましょう。
自筆証書遺言の形式について確認しましょう。
日付
自筆証書遺言をする際には遺言書に日付を記載しなければなりません(民法968条)。 日付が必要なのは、その遺言が相続開始前(被相続人の死亡時)にされたことや、他の遺言があった場合の優先関係の判断等に必要だからです。 後述するように,日付は自書が求められます。日付の書き方については、西暦・和暦などの記載方法について法定したものはありませんので、「令和2年8月1日」でも、「2020年8月1日」のどちらでもよいです。 過去の判例では「◯◯歳の誕生日」という記載で日付として認められているのですが、「◯◯年○月吉日」は認められていません。
これは、前者は日付を特定できるのですが、後者は日付を特定できないことになります。 判例で認められているとはいえ、争いになる可能性はあるので、日付の形式は西暦または和暦で明確に記載すべきです。
自書
自筆証書遺言は、後述の遺産目録以外は、全文を自書することになっています(民法968条)。 書くものを指定する規定はないのですが、消すことができる鉛筆・シャーペン・ゲルインキの消せるボールペン等では記載しないようにしましょう。 消せないものであれば、油性・水性は問いませんし、ボールペン・万年筆のいずれでもよいです。用紙は何でもよい
用紙の指定も同じくありませんので、用紙の大きさ(A4・B4)、紙質なども問いません。 高級紙でなければならないということもありませんし、わら半紙では遺言として認められないということもありません。日付欄などが印字されたものは、問題がないにしても当事者で争いになる可能性は0ではありませんので、できれば何も印字されていない真っ白な紙に印字をするのが良いでしょう。 書く方向も縦書き・横書きの指定はありません。 書籍などでは縦書きのものを見ることも多いのですが、横書きだからといって効力が否定されるものではありません。
訂正の形式
書いている最中に間違える場合もあります。 この場合に訂正をする形式については規定されているので注意をしましょう。 民法では968条3項で、場所を指示して変更内容を記載して印鑑を押す事になっています。 実際には、- 削除したい文字がある場合には、削除したい文字に二重線を引いて印鑑を押して、「本遺言書◯◯行目の「◯◯」の●字を削除した」と記載することになります。
- 訂正する場合には、訂正したい文字に二重線を引いて印鑑を押してその横に訂正内容を記載し、「本遺言書◯◯行目の「◯◯」を「●●に変更した」と記載します。
- 文字をつけくわえるのであれば、付け加えるところを指定して付け加える文字を入れ「本遺言書◯◯行目に第◯字の次に「●●」の●文字を加入する」と記載します。
複数のページにまたがる場合
遺言書が複数のページにまたがる場合について、民法では何も規定はされていません。 しかし、複数のページにわたっている遺言書が一つの遺言書であることの証明をすることができるように、契印をしておくのが通常です。遺産目録
自筆証書遺言については自書することが原則ですが、唯一の例外として、遺産目録を作成して遺言をする場合に、目録については自書をする必要がないということになっています(民法968条1項)。遺言書の書き方として、一つ一つの財産を記載していっても良いのですが、遺産が多いなどの事情がある場合には、遺産目録を作って、条文では遺産目録の何を与えるという形で指示することがあります。 この遺産目録については自書でなくてもいいので、パソコンで作成してもかまいません。
自筆証書遺言書保管制度を利用する場合
自筆証書遺言について2020年7月10日から、法務局で自筆証書遺言書を預かってもらえる制度がスタートしています。この制度を利用して遺言をする場合には、遺言書の様式に指定があるので注意をしましょう。 例えば、用紙はA4サイズで、上部と右に5mmの余白、下部に10mmの余白、左に20mmの余白が必要とされています。 運用が始まったばかりで変更点もある可能性がありますので、詳しくは弁護士や法務局に確認をしてみてください。
秘密証書遺言の形式
- 秘密証書遺言の形式
秘密証書遺言を利用するときには形式はありますか?
署名と印鑑が必要とされています。
秘密証書遺言についてはどのような形式があるのでしょうか。
秘密証書遺言で規定されているのは署名と印鑑
秘密証書遺言で規定されているものとしては、作成した遺言書に署名と印鑑を押すことです(民法970条1項1号)。 日付については公証役場に提出したときに公証人が封紙に記載することになっており不要です(民法970条1項4号)。 また、訂正の形式については自筆証書遺言と同様にする旨が規定されています(民法970条2項)。公証役場での手続き
秘密証書遺言は自分で遺言書を作成したあとに、その遺言書を公証役場に提出して所定の手続きをすることで効力が生じます。 遺言者が遺言書を封印する(封紙の中に入れることです:民法970条1項4号2号)、公証人・遺言者2人の前で自分の遺言書である旨と自分の名前・住所を伝える。公証人・証人が署名・押印をする。となっています。
まとめ
このページでは、遺言書の形式についてお伝えしてきました。 遺言は法律に規定された重要なものになるので、形式については標準的なものを利用することが望ましいといえます。 不明な点があれば弁護士に相談をするようにしましょう。
- 遺言書が無効にならないか不安がある
- 遺産相続のトラブルを未然に防ぎたい
- 独身なので、遺言の執行までお願いしたい
- 遺言書を正しく作成できるかに不安がある
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