- クレジットカードは使えなくなる
- 未払い残高は相続の対象になる
- ポイントは相続できないことが多いがマイルは相続できる
【Cross Talk 】クレジットカードも相続の対象になる?
亡くなった父の遺品を整理していたらクレジットカードが出てきたのですが、どうしたらいいですか?未払いの料金や貯まったポイントなどがあったら相続することになるのですか?
亡くなった方のクレジットカードは使えなくなるので、解約・退会の手続きが必要になります。 既に利用した分の未払い残高は相続の対象になるので、相続人が支払わなければなりません。ポイントは原則として相続することができませんが、規約で相続を認めている場合には相続することができます。
規約も関係があるのですね。探してみます!
クレジットカードを持っていた方が亡くなった場合、クレジットカードそのものや、これまで利用した分の料金、貯まったポイントやマイルは相続の対象になるのでしょうか。 今回は、クレジットカードが相続の際にどのように扱われるのかについて解説いたします。
クレジットカードの契約者が死亡した場合の処理
- クレジットカードの会員の資格は一身専属のものであるため相続できない
- カード会社に連絡して解約の手続きを
亡くなった父が持っていたクレジットカードはどうなるのですか?ほかの遺産と同じように相続するのですか?
クレジットカードの会員資格は、相続の対象にはなりません。そのため、相続人の手元にクレジットカードがあったとしても、相続人が利用することはできません。 速やかにカード会社に連絡をして、解約・退会の手続きをとるようにしてください。
相続が始まると、相続人は、被相続人(亡くなった方)の一切の権利義務を承継します(民法896条本文)。 では、クレジットカード、より正確に言えばクレジットカードの会員の資格(クレジットカードそのものはクレジットカード会社の所有物であり、会員はそれを貸与されているという関係にあります)も、相続人が相続することになるのでしょうか。
実は先ほど紹介した民法の規定には例外があり、被相続人の「一身に専属したもの」は、相続人に承継されません(同条ただし書)。 「一身に専属したもの」とは馴染みがないかもしれませんが、特定の方だけに帰属し、他の方に移転しない権利または義務をいいます。
例えば、ある新聞社が有名な小説家に、朝刊に掲載する小説の連載を依頼したが、連載途中で小説家が死亡したとします。小説家は新聞社のために小説を執筆する義務を完全に果たすことはできなかったことになりますが、小説家の遺族がその義務を引き継いで小説の続きを執筆しなければならない、とは誰も思わないでしょう。これが、一身に専属する、ということです。
クレジットカードの会員の資格は、個人の経済的な信用(収入、借入、返済に関する事故情報など)を審査したうえで認められるものですから、一身専属的なものと考えられます。 したがって、クレジットカードの会員の資格は相続の対象にはならないといえます。
一般的に、クレジットカードの会員規約・利用規約の中で、会員が死亡した場合には、会員の資格を喪失することが明記されています。そのため、会員が死亡した場合、相続人がクレジットカードを利用することは認められません。
クレジットカードの契約者が死亡したら相続放棄したほうが良い?
- クレジットカードの利用残高が多い場合に相続放棄をしたほうが良いか
- 遺産の合計がマイナスであるような場合で相続したいものがなければ相続放棄を検討
クレジットカードの利用残額が多い場合には相続放棄をしたほうが良いでしょうか?
相続放棄をすると相続人の地位を失うということになるので、クレジットカードの利用残高だけではなく、遺産の合計がマイナスであるかどうかで判断することが求められます。
プラスの財産が多い場合
まず、クレジットカードだけ相続放棄をすることはできません。 相続放棄をすると、その方ははじめから相続人ではなかったものとみなされます(民法939条)。 そのため、クレジットカードのほかに財産がある場合でも、相続人となることができません。 そのため、相続放棄をせずに、プラスの財産からマイナスの財産を精算して、相続をするかどうかを決めることが良いでしょう。マイナスの財産が多い場合は相続放棄の検討を
一方、クレジットカードの利用残高だけではなく、他にも借金があるなどして、相続財産が合計でマイナスになっている場合には相続放棄を検討する必要があります。 ただ、相続財産にどうしても保持したい実家があるような場合には、債務の額によってはそのまま相続する・限定承認をするなどの方法も考えられます。 判断に迷った際には弁護士に相談することをおすすめします。。クレジットカードにまつわる法律関係
- 未払いの利用残高は相続人が相続する
- ポイントは相続しないがマイルや規約によって相続が認められる
クレジットカードの会員の資格を相続できないと、どんな影響がありますか?
まず、亡くなった方が利用した分の未払い残高は、通常の金銭債務と変わりありません。 ですから、会員資格が相続できなくても、利用残高は相続の対象になり、相続人が支払わなければなりません。 貯まったポイントは会員の資格に対して付与されるものですので、相続の対象にならないと考えられます。ただし、航空会社のマイルは、規約により所定の手続きをとることで相続が認められています。
利用残高はどうなるか
まず、「クレジットカードの契約者が死亡した場合の処理」で解説した通り、クレジットカードの会員の資格は相続の対象になりません。 したがって、相続人がそのクレジットカードを利用することはできません。 それでは、会員であった被相続人が生前に利用した未払いの利用残高はどうなるのでしょうか? 利用残高については、通常の金銭債務と異なるところはありませんので、債務として相続の対象になります。したがって、相続人は利用残高を返済する義務を負います。 返済をすることが難しいのであれば、相続放棄等を検討する必要があるでしょう。家族カードは使えなくなる
会員本人のほかに会員の家族に家族カードが発行されていることは珍しくありませんが、会員本人が死亡した場合、家族カードはどうなるでしょうか? 家族カードは、会員本人の経済的信用に基づき、会員と一定の身分関係にある家族に対し、通常は無審査で発行されるクレジットカードです。会員本人が死亡した場合、家族カードを発行する基礎がなくなることになるので、家族カードも使えなくなります。ポイントやマイルは相続をすることができる?
クレジットカードで貯めたポイントやマイルは相続の対象になるでしょうか? 被相続人が生前に貯めていたポイントは現金のようなものと捉えることができれば、「利用残高はどうなるか」利用残高はどうなるかと同じように相続の対象になって良いとも思われます。しかし、クレジットカードのポイントは、会員の資格に対して付与される特典、サービスであり、一身専属的なものと考えられます。したがって、会員が死亡した場合、ポイントも相続の対象にはならず、失効することになるでしょう。カード会社によってはこのことを規約に明記していますが、規約で明記されていないカードについても同様と考えられます。カード会社に問い合わせをして確認してもいいでしょう。
もっとも、例外的に規約によって相続が認められるものがあります。 航空会社の付与する、いわゆる「マイル」がその代表的な例です。例ええばANAやJALでは、法定相続人が所定の手続きをとることによって被相続人のマイルを相続することができるとされています。マイルについても,規約の確認が必要です。
ただし、相続できるとは言っても、例ええばANAの場合は会員の死亡後6カ月以内に所定の書類の提出をしなければならないなど、規約によって通常の相続とは異なる期限や手続きが定められていることがあります。規約に違反した場合には相続が認められませんので、注意が必要です。
相続財産の中にクレジットカードがある場合の注意点
- クレジットカードはきちんと解約する
- 引き落とし先の口座が凍結されている・残高を0にしておいても解約にはならない
相続財産にクレジットカードがある場合にはどのような注意が必要でしょうか。
解約手続きを確実に行いましょう。引き落とし口座が凍結されているから、あるいは先にお金を引き出してしまって口座から引き落とされない状態にしているだけでは手続きは終わりではありません。
引き落とし先の口座を凍結しても解約したことにはならない
引き落とし先の銀行の口座は、名義人が亡くなっていることを連絡すると、凍結されます。。 これによって手続きが終わったと勘違いしてしまうかもしれませんが、カードの引き落としがかけられないことと、クレジットカードの解約は別です。 カードの引き落としがあるということは支払い義務があるということなので、引き落としがかけられない場合には返済が滞ったことになり遅延損害金が発生します。 クレジットカードの解約手続きは別途確実に行いましょう。年会費のかかるクレジットカードがある場合には注意
カード会社は、通常は会員が死亡したことを把握できません。そのため、遺族が何もしないと年会費等の引き落としが続いてしまいます。そのような事態を避けるためには、速やかにカード会社に連絡し、会員が死亡したことを伝え、クレジットカードの解約・退会の手続きをする必要があるのです。まとめ
クレジットカードが相続の際にどのように扱われるかについて解説しました。手続きをしないと年会費等を請求されたり、マイルを相続できなくなったりする可能性があるので、早めに必要な手続きをとることをおすすめします。
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